ウルトラマラソンの60km練習|サブテン(サブ10)に効くロング走のやり方

ウルトラマラソンの60km練習|サブテンに効くロング走のやり方

りんごちゃん りんごちゃん
ウルトラのサブテンって、才能がないと無理ですよね……? 練習で60kmなんて聞いただけで脚がプルプルします。

バナナぴろし バナナぴろし
才能より設計だよ。100kmで問われるのは42km以降の世界で、そこはフルの練習では一度も通らない。だから60km級を一度だけ通しておく——これが効くんだ。

ナップル博士 ナップル博士
しかもただ距離を踏むだけでは足りん。後半に坂を置く——それだけで練習の意味が変わる。今日は62kmを平均5分23秒/kmで走った実測をもとに、コース設計から補給まで示すぞい🍍

ウルトラマラソンでサブテン(サブ10=10時間切り)を狙うなら、60km級のロング走は一度は経験しておくべき距離です。

フルでサブ3を出していても、100kmはフルの延長ではなく、まったく別の競技です。問われるのは持久力だけでなく補給耐性だからです。

  • なぜ60km練習が要るのか——42km以降にある3つの壁
  • サブテンのペース設計——「キロ6分」をそのまま信じてはいけない理由
  • 後半に坂を置くコースの作り方
  • 62kmを平均5分23秒/kmで走った実測データ
  • 失速を防ぐ補給と胃腸対策

バナナぴろし バナナぴろし
本番の野辺山がどんなレースかはこちら🍌

この練習は野辺山ウルトラを想定して設計しています。完走率57%・累積標高2,000m超という本番の中身を先に知っておくと、なぜ後半に坂を置くのかが腹落ちします。


この記事でわかること
・ウルトラマラソンの練習で60kmを走る必要はありますか?
・サブテン(サブ10)にはどれくらいのペースが必要ですか?
・60kmのロング走はどんなコースで走ればいいですか?
・60km走がうまくいったかどうかは何で判断しますか?
・ウルトラで補給が受け付けなくなるのを防ぐには?

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なぜ60kmのロング走が必要なのか

フルマラソンの練習では、30km走までしかやらないのが普通です。しかし100kmでは42km以降が本番になります。

一度も通ったことのない領域を、本番で初めて通る——これが100kmでいちばん危険な状態です。60km走の価値は、そこを事前に体験できることにあります。
42km以降に起きること60km走で得られるもの
エネルギー枯渇(糖質が尽きる)脂肪をエネルギーに切り替える感覚を知る
内臓疲労(補給が受け付けなくなる)自分の胃腸がどこで音を上げるかを把握できる
精神的限界(「まだ半分ある」)その絶望感に慣れておける

とくに重要なのが2つ目の内臓疲労です。フルの距離では表面化しないため、「補給計画は完璧なのに、本番で受け付けなかった」という失敗が起こります。胃腸も練習が必要な器官だと考えてください。

そして60kmを一度でも走り切ると「フル以上を経験した」という自信が残ります。これは数値化できませんが、本番の後半で効いてきます。

サブテンのペース設計|キロ6分の罠

サブテン(サブ10=100kmを10時間切り)の必要ペースを単純計算するとキロ6分00秒です。

しかしこの数字をそのまま信じると失敗します。理由は2つあります。
計算に入っていないもの実際
エイドでの滞在時間10か所前後に立ち寄れば、合計で数十分になる
後半の失速終盤はキロ7〜9分まで落ちるのが普通

この2つを織り込むと、実際に走る区間ではキロ5分20秒〜40秒での巡航が現実的になります。つまり「キロ6分で走ればいい」ではなく「キロ5分半で走れる状態を作り、落ちても6分平均に収める」という設計です。

60km走の目的は、この巡航ペースを「余裕を持って刻めるか」を確かめることにあります。60kmで5分20〜40秒がきついなら、100kmでのサブテンはまだ射程外です。

ナップル博士 ナップル博士
目標ペースと巡航ペースは別物じゃ。ウルトラでは「止まっている時間」と「落ちる時間」を先に予算に入れる。そこを甘く見た者から順に、後半で計算が崩れるのじゃよ。

コースの作り方|後半に坂を置く

ただ60kmを平坦で走っても、本番の再現にはなりません。後半に坂を配置するだけで、練習の意味が変わります。

今回設計したのは成田周辺の自作62kmコース、獲得標高347m。後半に激しいアップダウンを仕掛けた実戦仕様です。
設計のねらい本番で対応できるようになること
後半に坂を集める脚が終わりかけた状態での登坂。野辺山の後半そのもの
坂で心拍を上げすぎない登りで無理をせず、平坦でリズムを戻す技術
獲得標高を作る平坦だけでは鍛わらない下りのダメージ耐性

ポイントは「坂を速く登る練習」ではないことです。狙いは坂で心拍を上げすぎずに通過し、平坦に戻ったときにペースを回復できるか——この切り替えを体に覚えさせることにあります。

コースを自作するなら、30km以降に登りが来るように組むだけで十分です。ルート作成の手順はRide with GPSで自作ルートを作る方法にまとめています。

実走データ|62kmを平均5分23秒/km

実際にこのコースを走った結果です。62km・獲得標高347m・平均ペース5分23秒/kmでした。

前章で示した「キロ5分20〜40秒の巡航」にきれいに収まっています。設計どおりの強度で走り切れたということです。
項目実測読み取れること
距離62kmフル+20km。42km以降を20km分体験できる
獲得標高347m後半に集中配置
平均ペース5分23秒/kmサブテンの巡航ペース帯に収まっている
ラスト2km平均心拍 168bpm最終盤で心拍を上げられた=脚が残っていた
終盤のラップ5分09秒/kmいちばん疲れている区間でペースを上げ返せた

この練習でいちばん価値があったのは最終盤の数字です。もっとも疲労しているはずの区間で、ペースを5分09秒/kmまで引き上げ、心拍も168bpmまで上げられました。

ウルトラの後半で問題になるのは、たいてい「心肺が苦しい」ではなく「脚が動かない」ことです。終盤に心拍を上げられたということは、脚がまだ残っていた証拠になります。

逆に言えば、60km走で終盤に心拍を上げられなかった場合、その原因は心肺ではなく脚の耐久性です。次に鍛えるべきものが自動的に決まります。

りんごちゃん りんごちゃん
最後に心拍を上げられるかどうかが、脚が残っている証拠なんですね。分かりやすい指標です🍎

失速を防ぐ補給と胃腸対策

ウルトラの失速は、脚だけが原因ではありません。胃腸が受け付けなくなって補給できず、結果として動けなくなる——これが典型です。
やること理由
練習でも同じ補給食を使う本番で初めて口にするものを作らない。60km走は胃腸の練習でもある
お腹が空く前に入れる空腹を感じた時点では手遅れ。時間で区切って摂る
固形と液体を分ける受け付けなくなる順序は人により違う。選択肢を複数持つ
坂で心拍を上げすぎない強度が上がると消化に血が回らず、内臓疲労が加速する
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とくに最後の「坂で追い込まない」は補給と直結しています。登りで心拍を上げると、そのあとしばらく胃が動かなくなります。後半に坂を置いた練習をするのは、この感覚を確かめる意味もあります。

本番1ヶ月前からの調整はウルトラマラソン100kmのテーパリングにまとめてあります。60km走を入れるなら、本番から逆算して十分な回復期間を確保してください。

ウルトラの60km練習についてよくある質問

ウルトラマラソンの練習で60kmを走る必要はありますか?

100kmを目指すなら、一度は経験しておく価値があります。フルマラソンの練習は30km走までが一般的ですが、100kmでは42km以降が本番です。一度も通ったことのない領域を本番で初めて通るのが、いちばん危険な状態になります。
60km走で得られるのは①脂肪をエネルギーに切り替える感覚 ②自分の胃腸がどこで音を上げるかの把握 ③「まだ半分ある」という精神的な耐性の3つです。とくに②はフルの距離では表面化しません。

サブテン(サブ10)にはどれくらいのペースが必要ですか?

単純計算ではキロ6分00秒ですが、この数字をそのまま信じると失敗します。エイドでの滞在時間と後半の失速が計算に入っていないためです。
実際には走っている区間でキロ5分20秒〜40秒の巡航が現実的な設計になります。「キロ6分で走ればいい」ではなく、「キロ5分半で走れる状態を作り、落ちても6分平均に収める」と考えてください。60km走で5分20〜40秒がきついなら、サブテンはまだ射程外です。

60kmのロング走はどんなコースで走ればいいですか?

後半に坂が来るコースを自作するのがおすすめです。平坦を60km走っても、本番の再現にはなりません。
俺が使ったのは獲得標高347mの自作62kmコースで、後半にアップダウンを集めた設計です。ねらいは坂を速く登ることではなく、登りで心拍を上げすぎずに通過し、平坦でリズムを戻すという切り替えを覚えること。30km以降に登りが来るよう組むだけでも十分に効果があります。

60km走がうまくいったかどうかは何で判断しますか?

終盤に心拍を上げられたかが分かりやすい指標です。俺の実測では、もっとも疲労しているはずのラスト2kmで平均心拍168bpm、終盤のラップで5分09秒/kmまで上げ返すことができました。
ウルトラの後半で問題になるのは「心肺が苦しい」ではなく「脚が動かない」ことがほとんどです。終盤に心拍を上げられない場合、原因は心肺ではなく脚の耐久性——つまり次に鍛えるべきものが自動的に決まります。

ウルトラで補給が受け付けなくなるのを防ぐには?

胃腸も練習が必要な器官だと考えてください。対策は4つで、①練習でも本番と同じ補給食を使う ②お腹が空く前に、時間で区切って入れる ③固形と液体の選択肢を両方持つ ④坂で心拍を上げすぎないです。
見落とされやすいのは④で、登りで強度を上げると消化に血が回らず、内臓疲労が加速します。後半に坂を置いた練習をすると、この感覚まで確認できます。

60km走は本番の何週間前にやるべきですか?

この記事では具体的な週数を断定しません。60km走は回復に時間がかかる練習なので、本番から逆算して十分な回復期間を確保できる時期に置く、というのが原則になります。
直前に入れると疲労を持ち込むことになり、狙いと逆の結果になります。調整期の考え方はウルトラマラソン100kmのテーパリングにまとめているので、そちらと合わせて計画してください。


まとめ|距離ではなく設計で差がつく

  • 100kmでは42km以降が本番。60km走はそこを事前に通しておく練習
  • 得られるのは脂肪代謝の感覚・胃腸の限界の把握・精神的な耐性
  • サブテンは単純計算でキロ6分だが、実戦の巡航はキロ5分20〜40秒
  • コースは後半に坂を集める。速く登る練習ではなく切り替えの練習
  • 実測は62km・獲得標高347m・平均5分23秒/km
  • 終盤に心拍を上げられるかが、脚が残っている証拠
  • 補給は練習から本番と同じもの。坂で追い込むと胃が止まる

ただ60kmを踏むだけなら、得られるのは疲労だけです。
後半に坂を置き、巡航ペースを決めて走る——この設計があって初めて、60km走はサブテンへの一歩になります。

りんごちゃん りんごちゃん
距離を踏むだけじゃダメなんですね。後半に坂——コースから作るのが練習なんだ🍎

ナップル博士 ナップル博士
うむ。ウルトラは走る前に半分が決まっておる。コース設計・ペース設計・補給設計——この3つを詰めた者が、最後まで走れるのじゃよ🍍

バナナぴろし バナナぴろし
本番1ヶ月前からの調整はこちら🍌

60km走は回復に時間がかかります。いつ入れて、そこからどう疲労を抜くか——1ヶ月前から当日までの調整をレベル別にまとめています。


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