「峠走とスピード練習、どちらを優先すべきか?」
これは多くのランナーが抱える悩みのひとつです。
実はこの2つを掛け合わせることで、走力・心肺・フォームの“全方位”を鍛えることができます。
本記事では、筆者自身が実践した筑波山46km峠走の詳細レポートをもとに、
「峠走で得られる脚の粘り」と「スピード練習で磨く爆発力」をどう組み合わせると
効率よく強くなれるかを理論とデータでわかりやすく解説します。
フルマラソン後半に強くなりたい方、ウルトラマラソンに挑む方、そして自己ベストを更新したい全ランナーに、
役立つ内容を詰め込んでお届けします!
ウルトラ2週間前の練習|筑波山46km峠走レポート
りんごちゃん
「峠走」と「スピード練習」って、結局どっちをやれば速くなるの?
いつも迷っちゃってさ〜…💦
バナナぴろし
実はその2つ、優劣をつけるより組み合わせて使うことで最強の効果が出るんだよ🍌
でも、なんでそれが効果的なのかって言われると…よし、ここはあの人を呼ぼうか。
ナップル博士
「峠走」は筋持久力やフォームの安定、「スピード練習」は心肺機能と神経系を刺激するのじゃ。
例えるならば…地盤のしっかりしたロケットに強力な燃料を積むようなもの!
両方あってこそ、高く速く飛べるというわけじゃ!🚀
りんごちゃん
でもどうやって組み合わせればいいんだろう?それも気になる〜!✨
バナナぴろし
そのヒントは、ぼくが実際に取り入れてきた「筑波山峠走×スピード練習」にあるんだ。
詳しく見ていこうか!
ウルトラマラソン本番2週間前──どんな練習で最後の刺激を入れるべきか、迷う方も多いはず。
今回は、6月8日(二週間前)開催の会津磐梯山ウルトラマラソンに向けた最終調整として、筑波山を一周する峠走を実施しました。
実はこのコース、以前に下記記事でも紹介している定番の練習ルートです。
▶ 筑波山を使った峠走トレーニングのやり方と効果
※今回は後半のルートが一部異なり、「風返し峠〜筑波山」への登り返しを重視した構成となっています。計測ミスでログは2分割になったものの、合計で約46km・獲得標高1600m超という負荷はしっかり確保。
筋持久力・心肺機能・ピッチ維持といったウルトラに必要な総合力をチェックする絶好のトレーニングとなりました。
本記事では、前半・後半の詳細ルートや区間ごとのデータ、終了後の身体の状態チェックまで、
実践的な視点で詳しくお届けします。
実際のコースデータ(GPXファイル)は以下よりダウンロード可能です。
筑波山の縦走ルートを再現したい方や、登り返しの負荷を試したい方はぜひご活用ください。
▶
筑波山縦走(約46km)のGPXファイルをダウンロードする
Googleマイマップ上でもルート概要を確認できます:
▶ 筑波山を使った峠走トレーニングのやり方と効果
前半:筑波高原〜真壁方面へ|935m登って462m下るアップダウン区間
距離 | 21.45km |
---|---|
運動時間 | 2:20:02 |
総時間 | 2:48:38 |
平均ペース | 6'32"/km |
ベストkm | 5'31"/km |
出力ペース | 5'16"/km |
平均心拍数 | 158 bpm |
平均パワー | 168W |
平均ピッチ | 175 |
獲得標高 | 935m |
累積下降 | 462m |
トレーニング負荷 | 397 |
カロリー | 1449 kcal |
トレーニング焦点 | 有酸素 |
効率 | 94%(良くない) |
有酸素TE | 4.6(適切) |
無酸素TE | 2.3 |
この区間は、筑波高原キャンプ場を出発し、つつじヶ丘〜きのこ山〜真壁方面へと抜ける峠越えルート。
約21.4kmで935m登り/462m下るという獲得標高バランス型の峠走で、登り耐性+下りの衝撃耐性を同時に鍛える構成です。
序盤は比較的余裕のある登りが続きますが、中盤からは斜度10%超の区間もあり、臀部〜ハムストリングス中心の脚づかいが求められます。
ピッチは175をキープできており、接地とリズムの安定感は良好。
平均心拍は158bpm、最大でも170を超えず、LT(乳酸閾値)手前で押し切れたのは大きな収穫です。
また、出力ペース5'16"/kmという“体感以上の走力”も記録されており、フォーム効率の向上も感じられました。
特に注目すべきは、トレーニング負荷397・有酸素TE 4.6というデータ。
これは「ギリギリ持続可能な強度」で“心肺と脚”を鍛え切れたことを意味し、ウルトラ終盤の心拍制御に直結する経験値になります。
後半:真壁〜筑波山|ピッチ維持と登り返しの筋持久力勝負
距離 | 24.59km |
---|---|
運動時間 | 2:39:18 |
総時間 | 4:01:08 |
平均ペース | 6'29"/km |
ベストkm | 5'05"/km |
出力ペース | 5'50"/km |
平均心拍数 | 151 bpm |
平均パワー | 144W |
平均ピッチ | 177 |
獲得標高 | 655m |
累積下降 | 1092m |
トレーニング負荷 | 390 |
カロリー | 1631 kcal |
トレーニング焦点 | 有酸素 |
効率 | 81%(良くない) |
有酸素TE | 4.7(適切) |
無酸素TE | 0.4 |
後半パートは、真壁の市街地を抜けたあと、風返し峠〜つつじヶ丘へと登り返す「脚力勝負の後半戦」。
距離24.6km・獲得標高655m・累積下り1092mという構成で、前半の疲労が蓄積された状態からの登り返しが最大の山場です。
注目すべきは、ピッチ177を終盤でも維持できたこと。
特に脚が削られた後半においてピッチが前半よりも上がっているという事実は、ランニング効率の向上と脚づかいの最適化を示しています。
一方で平均心拍は151bpmと前半よりも7ポイント低下。
これは省エネフォーム+心拍管理の成功を示しており、後半型の戦略にも活きる内容です。
出力ペースは5'50"/km、トレーニング負荷390、TE 4.7と、有酸素能力をしっかり鍛えつつ、粘りの走りを実現できたトレーニングとなりました。
フル後半やウルトラマラソン30km以降の“勝負どころ”を想定した耐久力づくりとしては、非常に実戦的な内容だったと言えるでしょう。
まとめ:山で動き続ける感覚を磨け!
今回の筑波山46km峠走は、まさにウルトラ2週間前に最適な負荷でした。
特に以下の3点が、大きな収穫です:
- ✔ 登りと下りを交互に繰り返す構成で、脚の筋持久力を実戦的に強化できた
- ✔ 累積標高1600m超の高負荷で、心肺とフォームの「維持力」チェックにも最適
- ✔ ピッチ177・心拍151のデータからも、粘りの走り=ウルトラ仕様の感覚を確認
特にウルトラマラソンでは、登りよりも下りで脚が削られることが多いです。
今回のような登り返しを含むリアルな峠走は、脚・心肺・メンタルのすべてを仕上げるのに最適。
しっかり走れたことで、不安要素はクリア。
あとは笑顔で本番を楽しむだけ!
「どこが張る?」でフォームを見直す!痛み・だるさ・張りでわかる走りのクセとケア法
りんごちゃん
この前の峠走、46kmも走ってたのに、疲れた様子ぜんぜんなかったよね!?
どこか張ったり、痛んだりしなかったの?💦
バナナぴろし
でもそれって“悪い張り”じゃなくて、ちゃんと使えてたサインなんだよ。
フォームが整ってた証拠でもあるんだ。
逆に前ももや膝が痛むときは、フォームが崩れてることが多いんだよね。
りんごちゃん
それってどうやって見極めるの〜?知りたい!🍎
ナップル博士
わしが部位別に評価基準をまとめたから、身体からのメッセージを読み取っていくのじゃ〜🍎
どこが張る?どこがだるい?フォームチェックで見るべき部位と評価基準
「痛い」「張る」「だるい」──それは身体からのリアルなフィードバック。
走った後に感じる違和感や重さは、フォームが「どこに負担をかけたか」「どこをうまく使えたか」の証拠です。
ここでは、各部位ごとに張り・だるさ・痛みをどう評価すべきかを表で整理しました。
フォームの振り返りや、ケア・改善の参考にしてください。
部位 | 痛み / 張り | 評価 | 解説 |
---|---|---|---|
ハムストリング(裏もも) | 張る / 重い | ◎ 良好 | 登りやフォーム安定で使えた証拠。ストレッチで回復可能。 |
大臀筋(お尻全体) | 張る / だるい | ◎ 良好 | 推進力を生む筋肉。坂道・階段での活用は理想。 |
中殿筋・小殿筋(お尻の横) | ピンポイントで痛い | △ 注意 | 骨盤の安定に関与。片足重心や着地衝撃で炎症リスクあり。 |
腸腰筋(股関節の深部) | 張る / 押すと違和感 | ◎〜△ | 登りで使える部位。張るのはOK、痛むならリリースを。 |
大腿四頭筋(前もも) | 痛い / 突っ張る | △〜× | 下りでブレーキをかけすぎ。前傾不足の可能性。 |
膝(内・外側) | チクッ / 鋭い痛み | × 要注意 | 接地衝撃やフォーム崩れ、靴との相性に要注意。 |
ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋) | 張る / だるい | ◎〜△ | 登りや後半の粘りに使われる部位。ピリピリ痛はNG。 |
足裏(土踏まず・外側) | 疲労感 / 張り | ◎ 良好 | アーチが機能している証拠。痛みが強ければ靴チェックを。 |
感覚と評価の対応表
- 張ってる:◎ 正しく使えた部位の“使用後感”
- だるい:◎〜△ 筋疲労の証。使えているサイン
- 痛い(鋭い・押すと痛む):△〜× フォーム崩れ or 負荷集中の警告
フォームチェックに活かす!ハムストリングスの張りを見抜くセルフチェック法
ランニング後に「裏ももが伸びない」「ふくらはぎが張る」──
そんな違和感は、フォームの崩れや疲労の蓄積を示す重要なサインです。
ここではハムストリングスの張りを見抜くための3つのセルフチェック動作と、その評価ポイント・対処法をご紹介します。
① 仰向け脚上げテスト(Straight Leg Raise)
・仰向けで片脚をゆっくり真上へ上げる(膝は伸ばしたまま)・裏ももに「張り」や「引っ張り感」が出る角度をチェック
評価基準:
- 70〜90度:正常範囲、柔軟性あり
- 60度前後:軽い張り=疲労 or 使いすぎ傾向
- 45度以下:明らかな硬さ or 筋の過緊張
② 立位前屈(Toe Touch)
・膝を軽く曲げて、股関節から前に倒れながらつま先をタッチ・腰を丸めないのがポイント
評価の目安:
- 裏ももが張る:ハムにしっかり負荷がかかっている
- ふくらはぎが張る:ハムが硬く、負担が下位に逃げている
- 途中で止まる:筋の防御反応(=疲労蓄積)
③ 椅子ストレッチ応用(スローストレッチチェック)
・片脚を前に出してかかとを床につけ、膝を伸ばす・背筋を伸ばしたまま前屈し、つま先に手を伸ばす
チェックポイント:
- 気持ちよく伸びる:回復傾向、柔軟性OK
- 引っ張られる・止まる:筋の短縮 or 疲労残り
- 痛みはないが伸びない:良い疲労だがケアが必要
【最強の組み合わせ】スピード練習 × 坂練習で走力は劇的に伸びる!
りんごちゃん
でも、ぴろしは「この2つを組み合わせるのが最強!」って言ってたよね?
なんでそんなにすごいの?✨
バナナぴろし
だから交互に取り入れると、走力が“まんべんなく”底上げされるんだよ🍌
でも、どう違うのかはナップル博士にバトンタッチしようか!
ナップル博士
スピード練習は「限界を押し上げる爆発力」
坂練習は「支える脚とフォームの芯を作る基礎力」
例えるならば──ロケットのエンジンと土台みたいな関係じゃな🚀
両方揃って初めて、高く速く飛べるというわけじゃ!
りんごちゃん
それで“掛け算”になるってワケなんだね!
バナナぴろし
じゃあさっそく、「なぜスピード×坂が最強なのか?」を具体的に見ていこうか!
特性の違いや組み合わせ方も詳しく紹介するよ〜!
心肺・筋持久力・神経・メンタル──すべてを強化する“掛け算トレーニング”とは?
ゼーハー系インターバルと、静かなキツさの峠走──
一見真逆なこの2つを組み合わせると、ランナーに必要なすべての要素が一気に鍛えられます。
バナナぴろしが実感した通り、これは単なるメニューではなく、走力進化の方程式。
「スピード×坂=最強」になる理由を、具体的な比較・活用法とともに紹介します。
■ スピード練習 vs 坂練習|それぞれの特性と効果
要素 | スピード練習(閾値・インターバル) | 坂練習(峠走・ヒルリピート) |
---|---|---|
心肺への刺激 | VO₂MAXを高め、呼吸筋にも強い刺激 | 高心拍+乳酸耐性UP、深い呼吸が習慣に |
筋力・神経系 | 速筋&神経伝達の強化、脚の弾力UP | 持久筋の粘り、骨盤と体幹の安定性UP |
フォーム改善 | 上下動を抑えた効率フォームに | 前傾&軸安定、体幹主導の走りに |
ケガリスク | 高負荷ゆえ、関節・腱への負担大 | 接地衝撃が分散しやすく、負担が分散 |
メンタル効果 | 短時間で限界突破、集中力向上 | “無音の苦しさ”に耐える精神力が育つ |
■ なぜ「ミックス」すると最強なのか?
- スピード練習で限界領域に挑む → 最大パフォーマンスUP
- 坂練習で土台づくり → フォーム・持久力の底上げ
- 交互に組むことで負荷の偏りを防ぎ、ケガも予防
- 心肺×筋力×集中力を同時に育てる“全方位型トレ”が完成
■ 週スケジュール例(実践しやすい組み合わせ)
- 火曜:閾値走(20〜30分、LTペースで)
- 金曜:ヒルトレーニング(峠走 or 1km坂×3〜5本)
- 日曜:LSDやロング走で脚をつくり直す
※ポイント:坂練翌日は積極的リカバリー(ジョグ・ストレッチ)を忘れずに。
■ 結論:坂で育ち、スピードで飛ぶ走りへ
マラソン後半で「もうひと押しできる人」は、坂で粘りを作り、スピードで解放できる人。
走力の“両翼”を手に入れたとき、あなたの走りは変わる。
バナナぴろしの実体験をヒントに、あなたも“掛け算トレ”を取り入れてみませんか?
まとめ|脚・心肺・メンタルの仕上げに峠走は効く
ウルトラやフルマラソン本番に向けて、最後の仕上げに選ぶなら──
それは、やはり峠走です。
登りでは心肺と筋持久力を、
下りではフォームの安定性と衝撃耐性を、
そして全体を通して粘りのメンタルを鍛えることができます。
今回のように「前半に登って後半に登り返す」構成は、ウルトラの終盤の苦しさを想定した最適なシミュレーションになります。
- ✔ 累積標高1600m超で、脚の耐久力を仕上げる
- ✔ 心拍数・ピッチ管理を実戦で確認できる
- ✔ 「もうひと粘り」の感覚が、本番後半の自信になる
最後は、自分の身体と向き合う時間。
「ここまで積み上げてきた」という実感が、当日のエネルギーになります。
練習を信じて、笑顔で本番へ!
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