マラソンやウルトラを走るランナーにとって、“翌日をどう過ごすか”はトレーニング以上に重要です。
脚がバキバキになるほど追い込んだ次の日に、無理に走るか?
それとも整えるか?
本記事では、標高1000m超・猛暑の40km山ラン翌日に、
実際に筆者が行った水中ウォーキング・ドリルによるリカバリーの実例を紹介します。
「アクティブレストって何をすればいいの?」
「疲れを残さず、次につなげるには?」
そんな疑問に、経験ベースで具体的にお答えしていきます。
山ランの翌日、どう過ごすのが正解?
りんごちゃん
昨日40kmも山ランしたんでしょ? そんなバッキバキの翌日って…どうしてるの? まさかまた走ったりしてないよね!?
バナナぴろし
こういう日は「整える日」って割り切って、しっかりリカバリーに時間を使うのがポイントなんだ。
りんごちゃん
休めばいいのか、ちょっと動いたほうがいいのか…いまいちわかんなくて…
ナップル博士
実はのう、完全に休むよりも軽く動かした方が回復が早まることも多いんじゃ。
たとえば水中ウォーキングなら、関節に負担をかけずに血流を良くできるから最適じゃぞ。
バナナぴろし
さっきのりんごちゃんの質問にもあったけど、「翌日をどう過ごすか」で成長の伸びしろが大きく変わるんだよ。
昨日の40km山ランで身体は限界に|みなの天空ロード35kmを試走
2025年7月20日。
朝8時半、埼玉県の皆野町に集合し、みなの天空ロード35kmコースをベースにした試走を行いました。
距離は40km、累積標高1042m、気温は最高33℃と、まさに“夏の山ラン耐久テスト”。
この「みなの天空ロード」は、みなのウルトラの大会コースでもあり、標高変化や暑熱負荷に富んだ本格的な山岳ロード。
今回の試走は、脚づくり・メンタル強化・登坂対応を目的とした実戦練習として位置づけました。
▶ みなの天空ロード:ウルトラマラソン完全ガイド|75K・40K・35Kのコース攻略・完走率・体験談・GPX付き
今回のコースは、舗装路
前半からしっかりと登りが続き、最大標高は584mに到達。
気温は9時台ですでに30℃超え、湿度も高く、走力だけでなく暑熱耐性が試されるコンディションでした。
仲間内でも走力差があり、こまめな休憩を挟みながらの進行でしたが、
登り区間では各自のペースを優先し、自分はLT(乳酸閾値)ギリギリのゾーンで登坂を刻むように意識。
結果的に「休みつつも走る区間でしっかり追い込む」というバランスのとれた練習になりました。
データで見る山ランの実態
今回のランニングデータ(COROS計測)は以下の通りです。
- 距離:40.19km
- 累積上昇:1042m
- 平均ペース:6'21"/km(オートポーズあり)
- 有酸素TE:5.6(過剰)
- 平均心拍:159bpm
- トレーニング負荷:922(高)
数字だけ見ても、これは“トレイルレース相当”の負荷でした。
特に後半、気温が33℃に達してからの区間は、心拍数170前後で推移しながらも粘り切る展開。
こうした高強度の中でピッチ・フォームを維持できたのは、普段の登坂練習と暑熱順化の成果だと感じました。
距離 | 平均ペース | 平均心拍数 |
---|---|---|
5.00km | 6'57"/km | 155 |
5.00km | 7'39"/km | 148 |
5.00km | 6'31"/km | 155 |
5.00km | 7'27"/km | 165 |
5.00km | 5'50"/km | 169 |
5.00km | 5'29"/km | 169 |
5.00km | 5'33"/km | 171 |
5.00km | 5'22"/km | 168 |
0.19km | 5'48"/km | 172 |
見ての通り、前半はペースも心拍もバラついていますが、これは山で意図的に心拍を上げて追い込んだ証拠です。
乳酸閾値ギリギリのゾーンを意識して登坂を刻み、脚も心肺も限界一歩手前まで持っていきました。
正直きつかったけど、山で心拍上げて耐えるトレーニングは、ウルトラや30km以降のマラソン終盤に効いてくる。
今日のこのデータが、確かな積み上げとして残った感覚があります。
走ったあとの身体は“バキバキ”
走り終えて数時間後から感じたのは、脚の強烈な張り・だるさ・むくみ。
股関節の可動域も狭まり、歩行時にも明らかに違和感。
内臓の疲労感もあり、「これは完全に回復フェーズを意識しないと危ない」と判断。
だから選んだのは、柏リフレッシュプラザのプールでのリカバリー。
泳げない自分でもできる水中ウォーキングとドリルを通じて、身体を整える時間に切り替えました。
しっかり追い込んだ日には、しっかり整える日を。
その積み重ねが、また前に進む力になると思います。
ハードなランの翌日は「整える日」
ロング走や山ラン、インターバルなどの高強度トレーニングを行った翌日、
そのまま“惰性で走る”ことが習慣になっていませんか?
実は、強くなるためには「走る日」だけでなく、“走らない日”をどう過ごすかがとても大切なんです。
特に昨日のような標高1000m超え・猛暑下の40km走の翌日は、意図的な回復戦略が欠かせません。
回復が遅れると、何が起こる?
ハードなランの翌日に無理を重ねると、以下のようなパフォーマンス低下につながります。
- 筋繊維の修復が追いつかず、慢性疲労に
- 神経系のリカバリーが不十分で動きが鈍る
- 関節可動域が縮まり、フォームが乱れる
- 疲労性のケガ(足底・膝・ハムストなど)のリスク上昇
特に夏場は、気温による暑熱ストレスが内臓や自律神経にも大きな影響を与えます。
「走れるけど、なんとなく身体が重い」という日が増えたら、それは回復不足のサインかもしれません。
“整える日”の過ごし方とは?
回復を早めるためにおすすめなのが、アクティブリカバリーと呼ばれる「軽い運動で整える」習慣です。
完全休養も大切ですが、適度な刺激を入れることで、血流を促進し疲労物質を排出しやすくなります。
中でも、今回のように脚がバキバキになった日は「水の中」が最適です。
このあと紹介する柏リフレッシュプラザのプールでは、泳げない人でも水中ウォーキングや
リカバリードリルが気軽にでき、驚くほどカラダが軽くなるのを感じました。
「疲れたから走らない」ではなく、「整えるために走らない」——
そんな選択が、次のロングランをもっと質の高いものに変えてくれます。
りんごちゃん
「アクティブリカバリー」って聞いたことあるけど、
具体的にはどんな仕組みで疲労回復に効くの?
ただ動くだけじゃ意味ない気がして…
ナップル博士
アクティブリカバリーとは、低強度の有酸素運動によって血流を増やし、
乳酸や炎症性物質(サイトカイン)を効率よく代謝・除去する回復法なんじゃ。
血液が“掃除屋さん”みたいな役割を果たすイメージじゃな。
りんごちゃん
でも、軽くても“動いたら筋肉が壊れちゃう”ってことはないの?
逆効果になったりしないのかな?
ナップル博士
筋損傷がひどいときは高負荷トレーニングは禁物じゃが、
40〜60%の最大心拍数程度の運動なら、筋肉を壊すことなく回復を助けるんじゃ。
水中運動やスロージョグ、エアロバイクがよく使われるのう。
水の浮力と水圧による血流促進も大きなメリットじゃぞ。
りんごちゃん
じゃあ今日の水中ウォーキングも、ちゃんと意味がある回復法ってことだね!
わたしも今度やってみようかな〜♪
柏リフレッシュプラザで“水のリカバリー”
走った翌日、身体がバキバキでも「完全休養にはしたくない」——そんな日に選んだのが、柏リフレッシュプラザでした。
ここには、泳げない人でも使いやすい25mプールとウォーキング用コースがあります。
実際に足を運んでみて、驚いたのはその使いやすさと。
リカバリーに集中できる環境が整っています。
なぜプールがリカバリーに効くのか?
ランナーにとってのプールは、「冷却」「浮力」「水の抵抗」という3つの特性が同時に働く“最強の回復ツール”です。
特に水中ウォーキングには、次のような効果があります:
- 関節への負担を軽減(無重力状態での動作)
- 水圧+低水温による血流促進
- 水の抵抗でじわっと筋肉刺激(ゆるやかな筋ポンプ)
- フォーム改善にもつながる可動域トレーニング
しかもこの日は、クロールも平泳ぎもせずに、ただ歩いて・ほぐして・整えるだけ。
それでも終了後には、明らかに脚が軽くなっているのを実感しました。
実際に行ったメニュー(30〜40分)
- 前向きウォーキング(5分)→後ろ歩き(5分)
- ハイニーウォーク+お尻蹴り(各10回 × 2セット)
- その場スキップ&もも上げドリル(各20回)
- 水中スクワット・ランジ(ゆっくり10回)
- 壁ストレッチ(ふくらはぎ・腸腰筋・太もも)
これらを無理なく、気持ちよく続けることで、単なる休養では得られない「整い」が生まれます。
温浴施設とは違い、冷却・可動・回復のすべてを同時に行えるのが水中の魅力です。
施設レビュー:柏リフレッシュプラザ
- 所在地:千葉県柏市南増尾58-3
- 営業時間:9:00〜21:00(月曜定休)
- 設備:25m×6レーンプール、ウォーキング専用レーンあり
- 備考:ロッカー無料、駐車場あり
静かな環境で、身体も心も整える時間を過ごせる。
まさに、ハードに走るランナーの“秘密の回復基地”のような存在でした。
りんごちゃん
たしかに気持ちよさそうだけど、そんなに特別なの?
ナップル博士
プールがリカバリーに優れておる理由は、3つの生理学的メリットにあるんじゃ。
1つめは「浮力」じゃ。水中では体重が約10分の1になるから、関節や腱への負担が激減する。
これにより、炎症や痛みのある部位でも安全に動かせるんじゃな。
ナップル博士
水中では全身に圧がかかることで静脈還流(血液の戻り)が促進され、
むくみや筋肉中の老廃物の排出に効果的なんじゃよ。
これはいわば“天然の着圧ソックス”のような効果と言えるのう。
ナップル博士
空気中よりも大きな抵抗を受けながら動くことで、ゆるやかな筋収縮が生まれ、
筋ポンプ効果によって血流がさらに活性化する。
しかも速く動こうとしても自然にブレーキがかかるから、オーバーワークにならないのも利点じゃ。
りんごちゃん
プールって「浮いて気持ちいい」だけじゃなくて、
科学的にも最強のリカバリー空間なんだね!
走ったあとに行きたくなってきた〜♪
走るために「走らない」選択を
ランナーにとって最も大切なのは、「走ること」ではなく、走り続けること。
ケガなく、ブレずに、前へ進み続けるためには、「走らない日」をどう過ごすかが分岐点になります。
昨日のような40km・猛暑・標高1000m超の負荷をかけた翌日に、
無理にロング走を重ねてしまえば、それはトレーニングではなく消耗になってしまいます。
だからこそ、今日は「整える」ことに全力を注ぐ——。
この意識の切り替えこそが、中長期で走力を伸ばす土台になります。
“走らない勇気”が、次の成長につながる
ランナー心理として、「走らないと不安」「距離を落とすのが怖い」と感じることはよくあります。
でも、疲れた状態で距離を稼ぐよりも、フレッシュな状態で質を高める方が効果的です。
そのために必要なのは、トレーニングだけでなく、リカバリー戦略も含めて“走力”と捉えること。
「休む」「緩める」も、立派なトレーニングの一部です。
“攻める日”と“抜く日”のメリハリが伸びしろをつくる
ハードに走る日には、とことん攻める。
逆にその翌日は、徹底的に身体を整える。
このON/OFFのメリハリこそが、ケガ予防・疲労蓄積防止・最大パフォーマンスの維持に直結します。
今日のように、プールでの水中ウォーク・ドリルを取り入れる日もあれば、
ストレッチやスロージョグだけで終える日があってもいい。
「走らなかったこと」が、明日の快走に変わることもあるんです。
トレーニングとは、“走る時間”だけを指すのではありません。
今日あなたが「走らない」と選んだその1日が、次の本気を支える“伏線”になるはずです。
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