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真夏の30度超えロング走で得られる練習効果|暑熱順化・心拍変化

2025年8月10日日曜日

練習日誌/暑熱順化

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真夏の30度超えロング走で得られる練習効果を解説するバナナキャラクター。暑熱順化や心拍変化、科学的戦略まで紹介するマラソンブログ用サムネイル

本記事では、2025年7月下旬〜8月上旬に行った3本の高温ロング走(18〜22km)の実走データをもとに、
暑熱順化の仕組み真夏のロング走による練習効果を解説します。

具体的には、心拍数の変化持久力向上の科学的根拠
高温環境での補給戦略安全管理のポイントを紹介し、
夏の厳しい条件を練習に活かす方法をまとめています。

記事後半では、最新のスポーツ生理学研究を踏まえたトレーニング戦略も掲載しており、
初心者から上級ランナーまで活用できる内容になっています。




30℃超えの真夏ロング走がもたらす練習効果とは?

真夏の30℃超えで走るロング走は、平常時とは異なる特有の生理的効果をもたらします。
代表的な効果は以下の通りです。

  • 血漿量(けっしょうりょう)が増える
    → 血液の水分量が増え、酸素や栄養を運ぶ力がアップし、長く走っても疲れにくくなる
  • 汗のかき方が効率化
    → 少ない水分でしっかり体温を下げられるようになり、暑さに強くなる(暑熱順化)
  • 心肺機能が強くなる
    → 暑さで心拍が上がることで心臓や肺に負荷がかかり、持久力や呼吸の余裕が増す


また、高温下では同じペースでもより高い心肺負荷がかかるため、 乳酸処理能力エネルギー消費効率の向上にもつながります。

  • 乳酸処理能力が上がる
    → 疲れの原因となる乳酸を体が素早く分解できるようになり、長く速く走れる
  • エネルギーの使い方が上手くなる
    → 少ないエネルギーで効率的に走れるようになり、後半までパワーを維持できる



本章では、2025年7月末〜8月上旬に筆者が実施した3本の高温ロング走(18〜22km)のデータをもとに、
これらの効果を実際の心拍変化・走行記録とともに詳しく解説します。


真夏35℃の中で実施した22kmロング走のGPS記録(大阪市)

2025年7月29日、大阪市内で35℃の中実施した22kmロング走の実走データ。
平均心拍142bpmで、暑熱順化を目的とした練習の一部。


真夏34℃の中で実施した19kmロング走(大阪市)

2025年7月31日、気温34℃での18.98kmロング走
初回よりペースを上げつつ、平均心拍143bpmを維持。


真夏35℃で実施した20kmロング走(米原市)

2025年8月5日、滋賀県米原市で35℃の中20.01km
平均心拍は158bpmまで上昇し、高負荷状態で走破。



日付 距離 時間 平均ペース 平均心拍 気温
2025/07/29 22.07km 2:03:54 5'37"/km 142 bpm 35℃
2025/07/31 18.98km 1:40:37 5'18"/km 143 bpm 34℃
2025/08/05 20.01km 1:47:35 5'23"/km 158 bpm 35℃

暑さの中で走ると心拍数が高くなりやすく、同じペースでもより高い心肺負荷がかかります。
これにより、乳酸の処理能力持久力の向上に繋がることが科学的にも示されています。

また、高温環境では汗による水分・ミネラルの喪失が激しくなるため、補給戦略の実戦練習にもなります。
夏のロング走はただの耐久練習ではなく、「レース本番のシミュレーション」にもなるのです。

とはいえ、無理は禁物。熱中症のリスクを常に意識し、適切なペース・補給・休憩を組み合わせて走ることが前提です。
次章では、こうした環境下で起こる身体の変化と、それにどう対応すべきかを解説します。


暑熱順化と心拍の関係:体がどう変わっていくか?

真夏の高温環境で走ると、最初は想像以上に心拍数が上がり、息も上がりやすくなります。
「こんなにしんどくて大丈夫なのか?」と不安になるかもしれませんが、実はこの反応はごく自然なもの。
体は徐々に暑さに慣れていくようにできており、この適応を暑熱順化(しょねつじゅんか)と呼びます。

暑熱順化は、1〜2週間ほどの継続的な暑熱環境下での運動によって進みます。
体温を下げる仕組みや、血液循環の効率、発汗の質などが変化し、暑さの中でもパフォーマンスを維持できる体に変わっていきます。

暑熱順化で起こる主な変化

  • 血漿量が増える → 暑さで汗を多くかくと体は水分保持のために血液量を増やし、酸素や栄養をより運べるようになる。
  • 汗のかき方が効率化 → 何度も暑さを経験すると、少ない水分で体温を下げられるように汗の質と出方が変わる。
  • 心肺機能が強くなる → 暑さで心拍が上がる環境は心臓や肺の負荷が大きく、結果的に持久力や呼吸の余裕が増す。
  • 乳酸処理が速くなる → 高負荷で走ることで乳酸を素早く分解する能力が鍛えられ、長く速く走れる。
  • エネルギー効率が上がる → 暑さで消費が大きい環境に適応し、省エネで動ける体になる。

心拍数の変化の流れ

暑熱順化の過程では、心拍数は次のように変化していきます。

  1. 初期(1〜3回目) 暑さに慣れていないため、同じペースでも心拍が普段より10〜20bpm高くなる。
    体温上昇を抑えるために心臓がフル稼働している状態。
    → 血管拡張や発汗の準備が追いつかず、心臓でカバーしている。

  2. 中期(4〜7回目) 発汗がスムーズになり、血液循環が効率化。心拍が少し下がり、走りやすさを感じる。
    ただし湿度や疲労が溜まると再び心拍が高くなる日もある。
    → 体温調整がうまく働き始めるが、外的条件や回復度で波が出る。

  3. 安定期(2週目以降) 同じペースでも心拍がほぼ平常値に近づき、長時間のランでも息切れが減る。
    暑さに強くなり、レース本番でも安定して走れる土台ができる。
    → 発汗・血流・呼吸の全てが連動し、省エネで走れる状態に。

高温下でも練習効果を得る方法

気温が30度を超える環境では、通常よりも心肺への負荷が大きくなり、
走行中のエネルギー消費水分・電解質の損失も増加します。
この条件を正しく活用すれば、効率的な持久力向上や暑熱順化が可能です。


実践的な戦略としては、以下のような方法が有効です。

  • 序盤はペースを抑えることで心拍数の急上昇を防ぐ
  • 給水は15〜20分ごとに少量ずつ行い、電解質を同時補給
  • 練習時間を早朝または夕方に設定し、直射日光を避ける
  • 吸汗速乾ウェアと通気性の高いキャップで体温上昇を抑える

練習前半は余裕のあるペースで心拍を安定させ、
後半にかけてペースを少しずつ上げるビルドアップ走を採用しています。

この方法により、暑熱下でも後半のフォーム崩れを最小限に抑えられます。


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    昭和49年生まれ
    2017年1月1日からランニングを始める。
    初めての10km走を75分

    トレーニング方法を学び、芝生ランニングにたどり着く

    その結果
    2年と11ヶ月で2:58:08(サブスリー)
    その後、
    1年と4カ月で2:49:35(サブエガ)

    5000m: 17:22
    10km: 35:33
    ハーフマラソン: 1:18:47
    フルマラソン: 2:49:35
    ウルトラマラソン: 挑戦中

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