高速コースのままですが、実際は細かなアップダウンと道幅の変化で想像以上にリズムが乱れます。 本記事では、当日の気象・レース展開に加え、35km以降に起きた ふくらはぎ・腕・胸の全身攣りの原因を、実走データから簡潔に整理。 つくばで記録を狙う人向けに、攻略ポイントだけを分かりやすくまとめています。
つくばマラソン2025|新コースを走ってわかった特徴と攻略ポイント
つくばマラソンとは|記録が狙える高速フルマラソン
つくばマラソンは茨城県つくば市で開催される市民フルマラソンで、毎年全国からランナーが集まる人気大会です。とくに「自己ベストを狙いやすい高速コース」として知られ、大学構内スタートのアクセスの良さや、気温が下がる11月後半開催も追い風となっています。
- 開催日:2025年11月23日(日)
- 開催地:茨城県つくば市(つくば駅周辺)
- 種目:フルマラソン
- 定員:10,000人
- 参加料:12,000円
- 特徴:フラット基調で走りやすい/気温が低く記録を狙いやすい
- ランナー層:サブ3〜サブエガ狙いの高速レース
2024年に大幅リニューアルされた新レイアウトは、走りやすさを維持しつつも、実際に走ると以下の変化が明確に感じられます。
- 細かなアップダウンが増えた
- 道幅が変わる区間が多くリズムが乱れやすい
- 35km以降に微妙な登りが連続する
このため、以前以上につくばマラソン 新コースでは、ペース管理と補給戦略が記録を左右します。
以下では、実際に完走した経験をもとにつくばマラソン コース特徴と攻略のポイントを詳しく解説します。
新コースの特徴①:序盤〜中盤は「つくばらしい」高速区間
スタートの混雑を抜けると、10km付近まではほぼフラットで走りやすく、例年どおりリズムを作りやすいレイアウトです。実際のラップは4’07〜4’14/kmで安定し、ピッチ186〜190spm、ストライド1.24〜1.28mと非常に良いイーブン巡航でした。
「今日は楽だ」と感じても、序盤で無理に押さないのがつくばマラソン 攻略のポイント。
楽に感じる4’10/km前後を維持できるかが、後半のエネルギーに直結します。
新コースの特徴②:15〜25kmは“ジワっと削る”アップダウン+筑波大のくねくね区間
15kmを過ぎると、地図上ではわずかでも体感ではしっかり分かる登り返しが増えてきます。特に研究学園〜国土地理院周辺は、追い風と向かい風が入れ替わり、さらに車線規制で道幅が変わるため、知らないうちにペースが上がりがちな区間でした。
そして20km手前で入る筑波大学構内は要注意。 左右に曲がる“くねくねコース”でリズムが作りにくく、木々に囲まれるためGPSが乱れてペース表示が狂いやすい特徴があります。
感覚で押しすぎると、後半に向けて脚を大きく削ることになります。
25kmまでは「楽な走り」をキープし、絶対に無駄な加速をしないことが新コース攻略のカギです。
新コースの特徴③:27km以降は“応援ロード”と“稲荷前の陸橋”が分岐点
27kmを過ぎてつくば駅隣の市街地に入ると、一気に応援が増えてテンションが上がる区間に入ります。 ここは身体が軽く感じてペースが上がりがちですが、押しすぎるとその後の難所で一気にしわ寄せが来ます。最大の山場は33km付近・稲荷前の降下陸橋。 下り→登り返しの形状になっており、脚が削られた状態でこのアップダウンを迎えると急激にストライドが落ちます。
実際、この付近からふくらはぎ・前腕・胸周りに攣りが出始め、1.20m台前半までストライドがじわじわ低下しました。
微妙な登り・向かい風・発汗増・電解質不足が重なることで、ここから全身攣りに発展するケースが非常に多い区間です。
新コースの特徴④:35km以降は“大通りの一直線”で粘る勝負区間
33kmの稲荷前の陸橋を越えると、コースは学園西〜松代〜西大通りへと入り、 ここからゴールまでは見通しの良い大通りの一直線が続きます。景色の変化が少なく、距離表示も遠くに見えるため、 メンタル的には「なかなか進まない」ように感じやすい区間です。 さらにこの大通りは微妙な登り基調+向かい風が重なることが多く、 35km以降の疲労した身体には想像以上に負荷がかかります。
この区間からふくらはぎ→前腕→胸へと攣りが広がり、 ストライドが1.20m台前半まで低下していました。 それでもピッチ(186〜188spm)を維持できたことで、 4'30/km前後で粘り切り、サブ3ペースを死守できています。
この区間で重要なのは、 ① ピッチ維持 ② 上体リラックス ③ 電解質補給を早めに済ませておく の3点。 特に35km以降は身体の反応が鈍るため、無理にストライドを伸ばすより “回転で押し切る走り”が最も安定します。
ゴールのつくば市役所が見えてくるのはラスト1km。 ここまで脚が残っていれば自然にペースは上がるため、 35〜40kmまでは「耐える」ことが最大の攻略要素になります。
新コース攻略のポイント(まとめ)
- 25kmまでは“楽なペースを死守し、筑波大学構内でも焦らない。
- 30km前後で電解質入りジェル・塩タブレットを必ず補給し、33kmの稲荷前陸橋に備える。
- 終盤はストライドよりピッチ維持(186〜188spm)を最優先し、リズムで押し切る。
つくばマラソン2025の新コースは、依然として「記録を狙える高速レイアウト」ですが、補給とペース管理を誤ると35km以降で一気に崩れます。
次のセクションでは、当日の気象条件とレース展開をもとに、サブ3達成までの流れを詳しく解説します。
実際に走ってみた当日のコンディションとレース展開(サブ3達成)
レース当日の気象コンディション
つくばマラソン2025当日は、例年よりわずかに暖かく、
気温10〜12℃・湿度やや高め・北風というコンディションでした。
一見すると悪くない気象条件ですが、湿度の高さにより汗が乾きにくく発汗量が増えやすい状況で、後半の攣りにつながる伏線となりました。
- 気温:10〜12℃
- 湿度:高め(汗が蒸発しにくい)
- 風:北風 → 終盤は向かい風に変わりやすい
- 体感:冷えているのに汗だけは出る“脱水しやすい天候”
汗が乾かず塩分ロスだけが加速する最悪のパターン。あなた自身も「明らかに汗の量が多い」と感じていました。
序盤〜中盤:4'07〜4'10/kmの“つくばらしい高速巡航”
スタートから10kmまでは例年どおりの高速区間で、ラップは4’07〜4’14/kmと安定。 ピッチ186〜190spm、ストライド1.24〜1.28mで非常に良いリズムでした。
明らかに心拍耐性が向上していることがデータからも分かります。
| ラップ | 距離 (km) | ペース (min/km) | 心拍 (bpm) | ピッチ (spm) | ストライド (cm) | 獲得標高 (m) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1.00 | 04'14" | 151 | 186 | 127 | 0 |
| 2 | 1.00 | 04'10" | 151 | 191 | 126 | 2 |
| 3 | 1.00 | 04'15" | 168 | 190 | 124 | 5 |
| 4 | 1.00 | 04'09" | 169 | 191 | 126 | 0 |
| 5 | 1.00 | 04'07" | 169 | 190 | 128 | 4 |
| 6 | 1.00 | 04'08" | 170 | 187 | 129 | 2 |
| 7 | 1.00 | 04'08" | 170 | 187 | 129 | 0 |
| 8 | 1.00 | 04'12" | 171 | 189 | 126 | 5 |
| 9 | 1.00 | 04'09" | 170 | 188 | 128 | 3 |
| 10 | 1.00 | 04'07" | 170 | 188 | 129 | 0 |
| 11 | 1.00 | 04'07" | 168 | 187 | 130 | 0 |
| 12 | 1.00 | 04'09" | 173 | 187 | 129 | 0 |
| 13 | 1.00 | 04'10" | 171 | 189 | 127 | 15 |
| 14 | 1.00 | 04'09" | 173 | 189 | 128 | 3 |
20〜30km:気づかないうちにペースが上がる“罠区間”
この区間は新コース特有の軽い下り+横風が重なるため、無意識のうちにペースが上がり、実際に4’05/km前後までビルドアップしていました。
| ラップ | 距離 (km) | ペース (min/km) | 心拍 (bpm) | ピッチ (spm) | ストライド (cm) | 獲得標高 (m) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 15 | 1.00 | 04'09" | 172 | 187 | 129 | 0 |
| 16 | 1.00 | 04'07" | 172 | 191 | 127 | 0 |
| 17 | 1.00 | 04'12" | 172 | 188 | 127 | 0 |
| 18 | 1.00 | 04'09" | 173 | 186 | 130 | 0 |
| 19 | 1.00 | 04'06" | 174 | 188 | 130 | 0 |
| 20 | 1.00 | 04'05" | 175 | 189 | 129 | 0 |
| 21 | 1.00 | 04'12" | 174 | 187 | 127 | 5 |
| 22 | 1.00 | 04'08" | 175 | 188 | 129 | 3 |
| 23 | 1.00 | 04'06" | 174 | 187 | 131 | 0 |
| 24 | 1.00 | 04'09" | 174 | 188 | 128 | 5 |
| 25 | 1.00 | 04'09" | 174 | 188 | 128 | 0 |
| 26 | 1.00 | 04'07" | 175 | 189 | 129 | 0 |
| 27 | 1.00 | 04'07" | 176 | 189 | 129 | 3 |
| 28 | 1.00 | 04'07" | 178 | 189 | 129 | 7 |
| 29 | 1.00 | 04'09" | 176 | 187 | 129 | 0 |
| 30 | 1.00 | 04'09" | 175 | 185 | 130 | 2 |
| 31 | 1.00 | 04'07" | 177 | 187 | 130 | 0 |
| 32 | 1.00 | 04'07" | 179 | 187 | 130 | 2 |
| 33 | 1.00 | 04'08" | 178 | 188 | 129 | 5 |
| 34 | 1.00 | 04'11" | 178 | 185 | 129 | 2 |
35km以降:全身攣りとの戦い、それでも粘った終盤
35km手前からふくらはぎ上部に違和感が出始め、 そこから前腕 → 胸へと連鎖する全身性の攣りに発展しました。これはエネルギー不足ではなく電解質バランスの崩壊で起こる典型的パターンです。
ピッチ維持のフォームを徹底することで何とか粘り切りました。 最終結果は2:59:06でサブ3達成。 攣りがなければ2:55切りも十分狙える内容でした。
| ラップ | 距離 (km) | ペース (min/km) | 心拍 (bpm) | ピッチ (spm) | ストライド (cm) | 獲得標高 (m) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 35 | 1.00 | 04'16" | 176 | 187 | 125 | 8 |
| 36 | 1.00 | 04'36" | 176 | 179 | 121 | 0 |
| 37 | 1.00 | 04'29" | 176 | 184 | 121 | 5 |
| 38 | 1.00 | 04'32" | 175 | 185 | 119 | 2 |
| 39 | 1.00 | 04'27" | 175 | 183 | 123 | 2 |
| 40 | 1.00 | 04'32" | 175 | 182 | 121 | 4 |
| 41 | 1.00 | 04'36" | 175 | 183 | 119 | 6 |
| 42 | 0.42 | 04'26" | 176 | 187 | 121 | 4 |
| 43 | 1.00 | 04'31" | 174 | 182 | 122 | 0 |
| 44 | 0.01 | 08'49" | 174 | 183 | 62 | 0 |
5kmごとの結果
| 累積距離 | 平均ペース | 平均心拍 | 平均ピッチ | 平均ストライド |
|---|---|---|---|---|
| 5.00km | 4'11"/km | 162 | 190 | 125cm |
| 10.00km | 4'09"/km | 170 | 188 | 128cm |
| 15.00km | 4'09"/km | 171 | 188 | 128cm |
| 20.00km | 4'08"/km | 173 | 189 | 128cm |
| 25.00km | 4'09"/km | 174 | 188 | 128cm |
| 30.00km | 4'08"/km | 176 | 188 | 128cm |
| 35.00km | 4'10"/km | 177 | 187 | 128cm |
| 40.00km | 4'31"/km | 175 | 183 | 120cm |
| 42.43km | 4'33"/km | 175 | 183 | 120cm |
35km以降に襲ってきた全身の“攣り”|発生した原因とレース中の対処
35km手前から始まった「異例の攣り」
つくばマラソン2025で最も大きなトラブルが発生したのは35km地点付近でした。最初にふくらはぎ上部へピキッとした違和感が走り、 その直後に前腕(肘の下)、さらに胸(肋間筋)へと波及。 典型的な全身性の痙攣で、脚以外にも症状が広がる珍しいパターンでした。
特に「腕」「胸」の攣りは単なる筋疲労では説明できず、 ナトリウム・マグネシウム不足による電解質トラブルで発生する典型例でした。
攣りの決定要因|エネルギー切れではなく“電解質の枯渇”
この区間でも心拍は170台を維持していましたが、呼吸は乱れず、脚も動く状態。過去のレースでの「170台=限界」という感覚とは明らかに異なる体感でした。 当日の補給内容は次の通りです。
- ウィダー in ゼリー ×3(電解質ほぼゼロ)
- アミノバイタル ×2(電解質ゼロ)
これは電解質だけが急速に体から抜ける最悪の気象条件でした。
なぜ全身が攣ったのか?(科学的メカニズム)
筋肉は電気信号によって収縮と弛緩を繰り返しています。この電気信号の伝達を支えるのが、 ナトリウム・カリウム・マグネシウムといった電解質です。 これらが不足すると:
- 神経の興奮が抑えられず“過収縮”が起きる
- 弛緩の指令がうまく伝わらない
- 複数部位で同時にスパズム(痙攣)が発生
ふくらはぎ → 前腕 → 胸への広がりは、 電解質の枯渇で神経制御が崩れた典型的な現象でした。
攣り対策の詳細記事はこちら|レース中に破綻しない補給とトレーニング
つくばマラソン2025の終盤で発生したふくらはぎ・前腕・胸の同時多発的な攣りは、 単なる塩分不足では説明できません。実際には ① 発汗量の増加 ② 電解質の枯渇 ③ 心拍コントロールの乱れ ④ 筋持久力の限界 が重なったことで起こった“複合型の攣り”でした。 このセクションでは、攣りを予防するための トレーニング理論 × 補給戦略を整理し、 さらに詳しい手順は誘導先記事で解説しています。
なぜ「心拍が高いと発汗が増えて攣りやすくなる」のか
レース中の発汗量は、気温よりも心拍数(運動強度)に強く左右されます。心拍が上がるほど身体は熱を逃そうとして汗を大量に出し、 その結果、先に電解質(Na / Mg)が枯渇していきます。
- 心拍上昇 → 体温上昇 → 発汗による冷却
- 汗だけ増える → 電解質が先に失われる
- 電解質不足 → 神経伝達が乱れ攣りが発生
攣りを防ぐトレーニング理論|閾値走とインターバルの役割
攣り対策は補給だけでは不十分です。 特に心拍が高止まりするタイプのランナーは、次の2つが直結します。
▶ 閾値走(LT走):高心拍に“耐える”身体を作る
閾値走は、乳酸が急増する直前(LT=約85〜90%HRmax)で走るトレーニングで、 以下の効果があります。- 高心拍に慣れる → レース中の余裕が生まれる
- 呼吸効率が向上 → ゼーハーしづらくなる
- 体温上昇が緩やか → 発汗量の急増を抑える
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トレーニング初心者から上級者まで対応し、「閾値走」でスピード持久力を高めるための理論・設定ペース・実践方法を解説した記事です。
▶ インターバル:心拍が“上がりにくい身体”を作る
インターバルトレーニングはVO2maxを高め、 心拍上昇の速度を遅らせる効果があります。- 同ペースでも心拍が上がりにくくなる
- 発汗量が急増しない → 電解質ロスを抑える
- 脚の回転改善 → フル終盤のフォームが安定
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インターバル走の目的・正しい設定・芝生で行う利点・よくある誤解とQ&Aを、初心者から上級者まで分かりやすく解説している記事です。
攣りを防ぐ補給戦略(概要)
攣り予防の補給戦略は次の3つが柱になります。- レース中に電解質(Na / Mg)を複数回補給する
- 30km手前で“電解質+エネルギー”を必ず追加
- スポドリを優先し、水だけで薄めない






















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