満を持して投入したウォークブレイク。しかし結果は大失速――ウォークブレイクは万能ではなかった、という実戦記です。
前回あんなに準備したウォークブレイク、本番はうまくいったの?
それがね……大失敗だったんだ。タイムは3時間27分40秒。初フルの3時間16分から、11分も後退しちゃった。
ええっ!? あんなに完璧な計画だったのに、何があったの?
原因は2つじゃ。ひとつは慢心。ハーフが1時間25分まで伸びて「サブスリーいける」と過信し、ピーキングもカーボローディングもせず、補給食も持たず手ぶらで突っ込んだ。もうひとつは、ウォークブレイクの落とし穴。一度「辛くて歩く」が始まると、心が一気に折れてしまうのじゃ。さいたまでは一度も歩かず走り切ったのに、今回は立て直せなかった。
そう。今日は、その佐倉朝日健康マラソンでの惨敗を、25kmの失速から足が動かなくなるラストまで包み隠さず話すよ。ウォークブレイクには「向く人・向かない人」がいるって、身をもって学んだんだ。
前の章では、フルマラソンの必殺技として語られることも多いウォークブレイクについて整理しました。「後半の失速を防げる」「脚を温存できる」――そんな期待を持っているランナーも多いと思います。しかし、ウォークブレイクは誰にでも効果がある万能な戦略ではありません。
この記事では、佐倉朝日健康マラソンで実際にウォークブレイクを導入し、25km以降に大失速したリアルな体験をもとに、「なぜ失敗したのか」「どこで判断を誤ったのか」「ウォークブレイクが向く人/向かない人」を、包み隠さず書いています。フルマラソン後半で失速したくない人、ウォークブレイクを試そうか迷っている人にこそ、ぜひ読んでほしい実戦記です。
手痛い失敗から本当の学びが始まった一章。ここからサブスリーまで、残り234日です。
フルマラソンに向けたウォークブレイクの準備と事前検証
佐倉朝日健康マラソンでは、給水箇所を利用してウォークブレイクを実践する作戦を立てました。フルマラソン後半の失速対策として、「あらかじめ歩く時間を作る」ことで、脚の消耗を抑えられるのではないかと考えたからです。
3kmくらい走る → 深呼吸10回しながら歩く(約20秒)
↓
3kmくらい走る → 深呼吸10回しながら歩く(約20秒)
↓
これをレース中に繰り返す想定
意図的に歩くことで、身体を一度リセットし、攣りを予防する。そして、後半の大失速を防ぐ。ウォークブレイクの理論や計算については、前章で詳しく解説しています。
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フルマラソンで疲れを抑えながら同タイムで走る「ウォークブレイク戦略」を、理論・実践・大会適用まで解説しています。
レースが近づくにつれ、「本当にこのウォークブレイクは使えるのか?」という不安も出てきました。実は、ウォークブレイクの練習回数は、ほとんど取れていませんでした。そこで、レース前日にあらためて試してみることにしました。途中で意識的に歩くことで、次の走りが驚くほど楽になる感覚があります。
前日の確認練習は4km。1km走ってから、深呼吸を10回しながら歩く。時間にすると、だいたい22秒ほどです。
レース前日に行ったウォークブレイク練習のログ。「これは使えるかも」と本気で感じた瞬間です。
| No | 距離 | ラップ |
| 1 | 1.0km | 4'07" |
| 2 | — | 0'20"(ウォーク) |
| 3 | 1.0km | 4'06" |
| 4 | — | 0'21"(ウォーク) |
| 5 | 1.0km | 4'09" |
| 6 | — | 0'23"(ウォーク) |
| 7 | 1.0km | 4'07" |
| 8 | — | 0'19"(ウォーク) |
| 9 | 0.9km | 5'00" |
正直、びっくりするくらい走りが楽でした。この感覚があったからこそ、佐倉朝日健康マラソン本番でも、ウォークブレイクを迷わず採用することになります。
挑戦の第二幕|佐倉朝日健康マラソン当日と慢心
佐倉朝日健康マラソン、当日を迎えました。 俺にとって、佐倉朝日健康マラソンは2回目のフルマラソン挑戦です。
佐倉朝日健康マラソン当日のスタート前。2回目のフルマラソンで、まだ余裕があった頃です。
1回目のフルマラソン(さいたま国際マラソン)の記録は、3時間16分19秒。設定ペースは4分30秒で、35kmまではほぼイーブンペースで走り切れました。
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その初フルから3か月。ハーフマラソンでは、1時間25分台で走れるまでに成長していました。よく言われる「ハーフマラソンのタイム+10分がフルマラソンの目安」という理論から考えても、手応えは十分。そして何より、必殺技のウォークブレイクという新しい武器も手に入れました。正直なところ、俺は「サブスリー、いけるんじゃないか」と、かなり余裕をかましていました。
レース前の余裕たっぷりな表情。この慢心が、後半の地獄につながるとは……。
今振り返ると、この時点でフルマラソンを完全に舐めていました。具体的には――
- ピーキングをしない
- カーボローディングをしない
- 補給食を持たない
ピーキングとは
レース前にトレーニング量や強度を落とし、疲労を抜いて本番で最高の状態を作る調整方法です。本来は、数週間かけて計画的に行います。
カーボローディングとは
レース前に炭水化物を多めに摂取し、筋肉内のグリコーゲンを最大限に蓄える方法です。フルマラソンでは特に重要な準備のひとつです。
補給食は持たず、完全に手ぶら。そして、競技場へ向かいます。調子は、正直かなり良い😁。佐倉朝日健康マラソンはブロック分けがないため、スタート位置は前方に並びました。そして、スタート。
レース中の実際|25kmで訪れた大失速
1km地点|まずは様子見。身体は軽く、動きも悪くない。給水所で深呼吸しながら給水し、ウォークブレイクを予定通り実践。
5km|まだまだ余裕。呼吸も落ち着いていて、ペース感覚も問題なし。10km|調子が良い。脚の重さはなく、気持ちにも余裕がありました。給水所でウォークブレイクを淡々と繰り返します。
15km|まだまだ大丈夫。ここまでは、作戦通り。次の給水所が、少し待ち遠しく感じ始めました。
15km地点ではまだ余裕が残っていました。ウォークブレイクが効いていると感じていた頃です。
20km|少し違和感。脚に、わずかな重さを感じ始めます。ハーフ通過(ネット1時間30分09秒)。想定より、やや速めの通過でした。そして――25km地点。ドーン。
25km地点で一気に状況が変わりました。ウォークブレイクでは止められなかった失速です。
ここまででした。30km(リタイヤが頭をよぎる)
30km地点で心が折れかける。フルマラソンの本当の怖さを実感した瞬間です。
35km(もうやめたい)
35km地点では完全に限界。気持ちより先に、脚が止まり始めました。
40km(早く終わってほしい)
40km地点では走る気力も残っていませんでした。ウォークブレイクが、ただの歩きに変わった瞬間です。
ラストのトラックも走れない
フィニッシュ直前でも走れませんでした。フルマラソンの厳しさを痛感した瞬間です。
成果と反省|3時間27分40秒というダダ下がりラップ
記録:3時間27分40秒
佐倉朝日健康マラソンの公式記録。前回より11分以上タイムを落とす結果になりました。
前半と後半で大きく崩れたラップ。フルマラソン後半の難しさが、はっきり出ました。
ラップがバラバラだったため、グラフで確認
後半にかけて一気にペースが落ちたグラフ。意図しない歩きが増えていたことが分かります。
典型的な、フルマラソン後半に失速するダダ下がりラップ。後半は、歩いて・走って・歩いて・走ってを繰り返す展開でした。これは意図的なウォークブレイクではなく、完全に強制的なウォークブレイクです。後半、足は徐々に動かなくなり、最後はまったく反応しなくなりました。
後半は、気持ちではどうにもなりませんでした。フルマラソン特有の脚の止まり方を体験しました。
ラップ詳細。数字で見ても、後半の失速は明らかです。
| 距離 | スピード |
| 2.0km | 4'22" |
| 4.0km | 4'18" |
| 6.0km | 4'09" |
| 8.0km | 4'09" |
| 10.0km | 4'21" |
| 12.0km | 4'17" |
| 14.0km | 4'09" |
| 16.0km | 4'17" |
| 19.0km | 4'10" |
| 22.0km | 4'26" |
| 25.0km | 4'29" |
| 28.0km | 4'38" |
| 30.0km | 5'11" |
| 34.0km | 5'35" |
| 37.0km | 5'43" |
| 39.0km | 5'48" |
| 41.0km | 6'52" |
| 42.0km | 6'33" |
表の中には、約22秒のウォークブレイクによる歩きがところどころ含まれています。4'09のラップが出ている区間では、実際には4'02前後のペースで走っていました。つまり前半は、ウォークブレイクを引いても狙い通り――しかし後半は、計算が完全に崩れたのです。
教訓|ウォークブレイクが向く人・向かない人
結論
ウォークブレイクには、やって良い人とやってはいけない人がいる。それが、今回の佐倉朝日健康マラソンでハッキリ分かりました。なぜか?――一度歩いてしまうと、心が一気に折れやすくなるからです。
一度歩いたことで、一気に気持ちが崩れた瞬間。ウォークブレイクの落とし穴を体感しました。
さいたま国際マラソンでは、一度も歩きませんでした。とても辛かったですが、最後まで走り切れました。今回は違いました。辛さに負けて歩いた瞬間から、立て直すのが本当に難しくなりました。今回のフルマラソンは、ハイペースで突っ込んだ結果、これまで経験したことのない感覚に陥りました。「辛い」ではなく、「足が動かない」。
気合や根性ではどうにもならない状態。フルマラソン後半特有の脚の止まり方です。
心拍は上がっていない。でも、足だけが完全に動かない。何度も書きますが、本当に足が動きませんでした。佐倉朝日健康マラソンで、心の底から思いました。フルマラソンは、本当に難しい。そして、サブスリーは、想像以上に高い壁だということを。
過信していた自分を打ち砕かれたレース。ここから、本当の学びが始まりました。
タイムは、3時間16分19秒 → 3時間27分40秒。11分も後退しました。ですが、今ではこの失敗がとても価値のある経験だったと感じています。ウォークブレイクを試して、失敗して、本当によかった。
整理すると、ウォークブレイクが「向かない」のは、(1)一度歩くと再加速できない走力・走り込み不足の段階、(2)前半に突っ込んでしまうタイプじゃ。逆に「向く」のは、十分な持久力があり、計画したペースを淡々と守れるランナー。道具は同じでも、土台と使い方で結果は真逆になる。バナナくんに足りなかったのは、ウォークブレイク以前の走り込みとペース管理だったのじゃよ。
この経験で、俺は本気で調べるようになり、本気で考えるようになりました。そして、本当のフルマラソンの必殺技に、少しずつ近づいていきます。それが、サブスリーへの近道でした。まず次回は、今回の惨敗の正体――「30kmの壁」の原因と対策を、徹底的に掘り下げます。
▶ 次の話:第38章「30kmの壁の原因と対策を完全解説|フルマラソン後半失速を防ぐ」
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完璧な計画でも、土台と使い方が合わないと逆効果なんだね……。でも、この失敗を「価値ある経験」って言えるの、すごく前向きだよ。
ボロ負けしたからこそ、本気で原因を調べる気になった。ウォークブレイクが悪いんじゃない、使う土台が足りてなかったんだ。次回は、その正体「30kmの壁」を徹底解剖するよ。ここからが、本当のサブスリーへの道のりだ。お楽しみに!
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