そこで先に結論を言う。フルマラソンのタイムは「スピード × スタミナ」の掛け算で決まる。足し算ではなく掛け算だから、低いほうが全体のフタになる。だから伸ばすべきは、いつでも低いほうだ。
この記事は、その「どっちが低いか」を見分けて、練習を選ぶための地図になる。
この記事でわかること
・なぜ片方だけ鍛えると必ず頭打ちになるのか
・自分はスピード型かスタミナ型かを判定する方法
・スピードを鍛える練習4つ/スタミナを鍛える練習4つの使い分け
・週3回・週5回それぞれの並べ方
・やりすぎて壊さないための比率の目安
・なぜ片方だけ鍛えると必ず頭打ちになるのか
・自分はスピード型かスタミナ型かを判定する方法
・スピードを鍛える練習4つ/スタミナを鍛える練習4つの使い分け
・週3回・週5回それぞれの並べ方
・やりすぎて壊さないための比率の目安
りんごちゃん
フルで速くなりたいんですけど、とにかくたくさん走り込めばいいんですよね?
バナナぴろし
走り込みは土台だから大事。ただ、それだけだとある日ピタッと止まるんだよね。距離を増やしても、もう速くならなくなる🍌
りんごちゃん
走ってるのに速くならないって、いちばん心が折れるやつじゃないですか……。
ナップル博士
当然じゃ。掛け算のうち、低いほうを放置して高いほうを磨いておるのじゃからな。1×10も、5×5も同じ10ではない——後者の方が伸びしろが素直に出るのじゃよ🍍
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タイムは「スピード × スタミナ」の掛け算|低いほうがフタになる
フルマラソンの記録を決めているのは、大きく分けて次の2つだ。| 能力 | 中身 | 不足すると |
|---|---|---|
| スピード | 速く走れる力(心肺の上限・筋力・神経系) | そもそも速いペースで走り出せない |
| スタミナ | そのペースを長く維持する力(持久力・乳酸処理・脂質代謝) | 前半は速いが後半で大失速する |
ここで大事なのは、この2つが足し算ではなく掛け算だという点だ。
スピードが高くてもスタミナが低ければ、その速いペースは10kmしか持たない。逆にスタミナが高くてもスピードの天井が低ければ、そもそも狙いたいペースが「全力より速い」ことになってしまう。低いほうが、そのまま全体の上限になる。
だから練習の選び方はシンプルだ。高いほうを磨くのではなく、低いほうを底上げする。これだけで、同じ練習時間でも伸び方が変わる。
バナナぴろし
人って得意なほうの練習ばかりやりたくなるんだよ。走り込みが好きな人はずっと走り込むし、スピード練が好きな人はずっと追い込む。でも伸びるのは苦手なほうなんだよね🍌
自分はどちらが低いか|レース結果から判定する
弱点は感覚では分からない。過去のレース結果で判定するのが確実だ。| 当てはまる状況 | 低いのは | 優先する練習 |
|---|---|---|
| 10kmやハーフは戦えるが、フル後半で大失速する | スタミナ | ロング走・閾値走・ジョグの量 |
| フルは最後まで走れるが、全体的にペースが遅い | スピード | インターバル・レペ・坂 |
| 距離を伸ばしてもタイムが変わらなくなった | スピード | 週1回だけ質の高い練習を足す |
| スピード練はできるがロング走で脚が終わる | スタミナ | まず距離を戻す(質より量) |
もっと単純な目安もある。10kmのタイムから予測されるフルのタイムに、実際のフルが大きく届いていないならスタミナ不足。逆に、フルは予測通りに走れるのに10kmが伸びないならスピード不足だ。
ちなみに俺の周りの市民ランナーを見ていると、多いのはスピード不足のほうだ。走行距離は真面目に積んでいるのに、速いペースで走る機会が週に一度も無い——というパターンは本当に多い。
りんごちゃん
うっ……私、ジョグしかしてないです。
ナップル博士
ならば伸びしろの塊じゃ。週に1回、速く走る日を作るだけでよい。いきなり全部を変える必要はないぞい🍍
スピードを鍛える練習4つ|週1〜2回まで
スピード側の練習は負荷が高く、頻度を上げると壊れる。狙いが違うので、目的に合わせて選ぶ。| 練習 | 鍛わるもの | こんな人に |
|---|---|---|
| インターバル走 | 心肺の上限(VO2max) | スピード不足の本命。まずここから |
| ヤッソ800 | 目標タイムに直結する実戦感覚 | 目標が決まっていて達成度を測りたい人 |
| 坂道・ダッシュ | 筋力・推進力(着地衝撃が小さい) | 平地の速い練習で脚を痛めがちな人 |
| プライオメトリクス | 接地時間の短縮・バネ | 走る量は足りているのにキレが無い人 |
順番としては、まずインターバルでいい。スピードの土台になる心肺の上限を上げるのが、いちばん効果が分かりやすいからだ。
注意点は週1〜2回までということ。速い練習は効果が大きい分、回復に時間がかかる。「効くから毎日やる」は最短で故障するルートになる。
バナナぴろし
スピードの入口はここ🍌
1000m・400mの設定タイム、本数、レストの取り方まで具体的にまとめてるよ。初心者向けメニューもあり。
1000m・400mの設定タイム、本数、レストの取り方まで具体的にまとめてるよ。初心者向けメニューもあり。
ナップル博士スタミナを鍛える練習4つ|土台はジョグ
スタミナ側は、地味だが積み上がる。派手さは無いが、フルマラソンの土台はここで決まる。| 練習 | 鍛わるもの | こんな人に |
|---|---|---|
| ジョグ(Eペース) | 毛細血管・心肺の土台 | 全員の基礎。量がすべての出発点 |
| 閾値走(Tペース) | 速いペースを維持する力 | 後半に落ちる人の第一選択 |
| ロング走・超ロング走 | 長く動く脚・脂質代謝 | 30km以降で脚が終わる人 |
| 坂道ジョグ・峠走 | 心拍を上げずに脚だけ鍛える | 距離を増やせないが脚を作りたい人 |
よくある誤解は「スタミナ=とにかく長く走る」だが、実際に後半の失速をいちばん直接的に減らすのは閾値走だ。マラソンのペースは「速く走る力」より「そこそこ速いペースをずっと維持する力」に近いからだ。
ロング走はその上に乗せる。距離への耐性は、距離でしか作れない。ただしロング走は回復に時間がかかるので、頻度を上げるのではなく1回の質と距離で考える。
バナナぴろし
後半に落ちる人が最初にやるべきはこれ🍌
Tペースの決め方、時間・本数・レスト・頻度まで。「途中で落ちるのは設定が速すぎ」という最頻の失敗も解説。
Tペースの決め方、時間・本数・レスト・頻度まで。「途中で落ちるのは設定が速すぎ」という最頻の失敗も解説。
りんごちゃん
「長く走る」より先に「そこそこ速いのを維持する」なんですね。意外でした。
ナップル博士週の組み立て方|週3回と週5回のパターン
練習の種類が分かったら、次は並べ方だ。原則は2つだけ。①質の高い練習は連日にしない ②残りは全部ジョグ。| 週3回で走る場合 | 週5回で走る場合 | |
|---|---|---|
| 質の高い練習 | 1回(弱点側から選ぶ) | 2回(スピード1・スタミナ1) |
| ロング走 | 1回 | 1回 |
| ジョグ | 1回 | 2回 |
| 並べ方 | 質 → ジョグ → ロング | 質の翌日は必ずジョグか休養 |
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🍌 スピードとスタミナの練習を管理するための2点
どちらを鍛えるかを決めたら、週ごとの強度と量を記録して偏りを確かめることが大切です。練習の負荷を確認できるGPSウォッチと、ペースの基準を示してくれるダニエルズの定番書が役立ちます。
🍌 スピードとスタミナの練習を管理するための2点
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週3回しか走れないなら、質の高い練習は1回に絞る。2回入れるとジョグが消えて土台が痩せるし、回復も間に合わない。この1回を弱点側から選ぶのが、限られた時間でいちばん効く判断になる。
比率の目安としては、速い練習は全体の2割以内。残り8割はジョグとロング走で構わない。速い練習ばかりのメニューは、見栄えはいいが続かないし、壊れる。
りんごちゃん
週3回なら、質は1回だけ。それなら私でも続けられそうです!
練習だけでは足りない|休養とピーキング
ここまでは「何を鍛えるか」の話だった。ただし練習を正しく選んでも、残り2つを外すと結果につながらない。| 要素 | 役割 | 外すとどうなるか |
|---|---|---|
| 休養(超回復) | 練習で壊れた体が、前より強くなって戻る時間 | 疲労だけ溜まり、練習しているのに遅くなる |
| ピーキング(調整) | 積み上げた力を、レース当日に出せる状態にする | 練習では走れるのに本番だけ力が出ない |
強くなるのは走っている最中ではなく、休んでいる間だ。練習は刺激を入れる作業でしかなく、体が作り替えられるのは回復の時間になる。だから「休養日を削って走る」は、鍛えているようで実際には削っている。
ピーキングも同じで、レース直前に不安から練習量を増やすと、疲れを抱えたままスタートラインに立つことになる。積み上げた力は、抜くことでしか表に出てこない。
りんごちゃん
不安だと、つい直前に走っちゃいます……逆効果だったんですね。
バナナぴろし
ナップル博士スピードとスタミナのよくある質問
スピードとスタミナ、どちらを先に鍛えるべきですか?
低いほうが先です。フルのタイムは掛け算で決まるため、低いほうが全体の上限になります。10kmやハーフは戦えるのにフル後半で失速するならスタミナ、フルは完走できるが全体に遅いならスピードが低い側です。得意なほうを磨いても、伸びは頭打ちのままになります。
走行距離を増やせばスピードも上がりますか?
ある段階までは上がりますが、いずれ止まります。ジョグだけでは心肺の上限に刺激が入らないためです。距離を増やしてもタイムが変わらなくなったら、それがスピード側に手をつける合図だと考えてください。週1回、速く走る日を作るだけでも状況は変わります。
スピード練習は週に何回までですか?
週1〜2回までが目安です。負荷が高く回復に時間がかかるため、頻度を上げると効果より疲労が上回ります。週3回しか走れない人なら、質の高い練習は1回に絞ってください。残りをジョグに充てた方が、結果的に伸びます。
後半の失速を減らすのに一番効く練習は何ですか?
閾値走です。マラソンで必要なのは「全力に近い速さ」より「そこそこ速いペースを維持し続ける力」で、閾値走はそこを直接鍛えます。そのうえでロング走を重ねると、距離への耐性が加わります。順番としては閾値走→ロング走の積み増しが分かりやすいです。
両方を同時に鍛えることはできますか?
週5回走れるなら、スピード1回・スタミナ1回で両方に触れられます。ただし週3回の場合は分散させると、どちらも中途半端になりがちです。時間が限られているうちは弱点側に寄せ、そこが埋まってからもう一方を足す方が効率的です。
まとめ|低いほうを底上げする
・フルのタイムはスピード × スタミナ。低いほうが全体のフタになる・弱点は感覚ではなくレース結果から判定する
・スピード側=インターバル/ヤッソ800/坂・ダッシュ/プライオ(週1〜2回まで)
・スタミナ側=ジョグ/閾値走/ロング走/坂道ジョグ・峠走(土台はジョグ)
・週3回なら質は1回だけ。速い練習は全体の2割以内
・練習を選んでも休養とピーキングを外すと結果にならない
次にやることは決まっている。直近のレース結果を見て、自分がどちらのタイプか決める。そこから練習を1つ選べば、今週から変えられる。
バナナぴろし
目標タイム別の具体プランが欲しい人へ🍌
サブ4・サブ3.5・サブ3.15それぞれのペースと月間距離を早見表にしてるよ。この記事が「何を鍛えるか」なら、あっちは「どう組むか」。
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ナップル博士
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E・T・I・Rの4つのペースを、自分のタイムから決める方法を早見表でまとめておる。
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