福島県・猪苗代町をスタートし、標高1,800mの磐梯山を一周する累積標高2,000m超・全長100kmの絶景コースが舞台。
新緑のトレイル、湖畔の絶景、そして心が折れそうなアップダウン……体力・メンタル・装備すべてが試されます。
本記事では、初挑戦の体験談として、事前の練習法・レース当日の装備・各エイドでの状況・ゴールの瞬間までを余すことなくお届けします。
「いつかは100km!」を目指す方の参考になれば幸いです。
大会概要|2025年参加予定者必見!会津磐梯山ウルトラマラソン100kmとは?
※この記事は、2024年6月16日(日)に開催された第3回会津磐梯山ウルトラマラソン100kmの体験記です。
すでに大会は終了していますが、来年2025年大会への参考としてご活用いただければ幸いです。
第3回(2024年)会津磐梯山ウルトラマラソンは6月16日(日)、福島県耶麻郡猪苗代町、磐梯町、北塩原村を舞台に開催されました。
次回の参考にもなる情報として、以下の概要をご覧ください。
距離
・100km(猪苗代町スタート)
参加費
・100km:18,000円(2024年時点)
表彰対象
・男女総合1~5位 / 年代別男女1~3位(総合入賞者除く)
制限時間と関門
【100km部門】
・第1関門:33km [10:00]
・第2関門:60km [14:45]
・第3関門:82km [17:00]
・第4関門:91km [18:30]
前日受付(2024年)
・6月15日(土)13:00〜17:00 @猪苗代町総合体育館カメリーナ
【コース解説&GPX公開】会津磐梯山ウルトラマラソン100km|高低差2000mの絶景ルート
本大会では、福島県猪苗代町をスタート地点に、標高1,800mの磐梯山をぐるりと一周。
累積標高2,000m超のタフなルートながら、裏磐梯や猪苗代湖などの絶景が広がる魅力的なコースです。
以下に2024年大会で実際に使用されたコースマップ、標高図、GPXデータをまとめました。2025年参加者の参考にどうぞ!




GPXデータのダウンロード
以下のリンクより、2024年大会のGPSトラックデータ(GPX形式)をダウンロードできます。
ガーミンやカロスなどのGPSウォッチに対応しています。
難易度・完走率|会津磐梯山ウルトラマラソン100kmはどれほど過酷か?
会津磐梯山ウルトラマラソン100kmは、「高低差2,000m」「酷暑」「関門ラッシュ」という3つの壁が立ちはだかる、全国でも屈指の難関ウルトラレースです。
実際の完走率は毎年60%前後と低く、フルマラソン経験者であっても油断できません。
特に難所となるのは、72km地点の天鏡閣エイド前後のダート登りと、87km〜92kmの関門地帯です。
炎天下・補給切れ・メンタル崩壊など、あらゆる「試練」がこの区間に集約されています。
過去3年の完走率データ
年 | 出走者 | 完走者 | 完走率 | 男子優勝タイム | 女子優勝タイム |
---|---|---|---|---|---|
2024年 | 266名 | 143名 | 53.8% | 7:30:50 | 11:01:38 |
2023年 | 230名 | 152名 | 66.1% | 7:58:32 | 10:34:39 |
2022年 | 195名 | 123名 | 63.1% | 8:22:35 | 11:22:41 |
第3回(2024年)大会の完走データ
・開催日:2024年6月16日(日)
・出走者数:266名
・完走者数:143名
・完走率:53.8%
・男子総合優勝:正岡 隼さん(宮城県)
・優勝タイム:7時間30分50秒
・女子トップ:塩田 麻美さん(栃木県)
・女子タイム:11時間01分38秒
2024年大会は、気温30℃超えの猛暑と、後半の登り+関門制限が多くのランナーを苦しめ、過去最低の完走率となりました。
特に60km以降のアップダウンで脚を使い切ったランナーが続出し、CP3(82km地点)→CP4(91km地点)の通過が大きな壁となりました。
完走者の平均タイムはおよそ12時間14分で、後半にかけてペースダウンする傾向が顕著でした。
また、50km以降で脱落した選手が100名以上にのぼり、後半の粘りと補給・暑さ対策の重要性が浮き彫りとなる結果でした。
第2回(2023年)大会の完走データ
・開催日:2023年6月18日(日)
・出走者数:230名
・完走者数:152名
・完走率:66.1%
・男子総合優勝:正岡 隼さん(宮城県)
・優勝タイム:7時間58分32秒
・女子トップ:塩田 麻美さん(栃木県)
・女子タイム:10時間34分39秒
2023年大会は、前年に比べて参加者数・完走者数ともに増加。完走率は66.1%と高めで、比較的走りやすい気象条件に恵まれた年でした。
大会運営側のサポート体制やエイドの充実も好影響を与えたと考えられます。
男女ともに2022年の記録を大幅に更新し、特に正岡選手は2年連続の優勝を果たしています。
トップ層では7〜8時間台でのゴールが目立ち、戦略的なペース配分と暑さへの対応が好結果に結びついたことが伺えます。
第1回(2022年)大会の完走データ
・開催日:2022年6月19日(日)
・出走者数:195名
・完走者数:123名
・完走率:63.1%
・男子総合優勝:田中 俊輔さん(東京都)
・優勝タイム:8時間22分35秒
・女子トップ:塩田 麻美さん(栃木県)
・女子タイム:11時間22分41秒
初開催となった2022年大会は、出走者195名中123名が完走し、完走率は63.1%。
初めての大会ながら運営は安定しており、天候も概ね良好だったため、完走率はまずまずの水準でした。
特筆すべきは塩田選手の女子1位(3年連続優勝)。この年から圧倒的な安定感を見せており、本大会の「女王」とも言える存在です。
男子優勝の田中選手は、8時間台前半の好タイムを記録。初回としてはレベルの高いレース展開でした。
コースの特徴と主な難所
累積標高とアップダウン
会津磐梯山ウルトラマラソンの最大の特徴は、累積標高2,000m超という国内屈指のアップダウンの激しさです。
特に10km~40km地点にかけては、標高1,000m以上の高地を走る区間が続き、足への負担が蓄積します。
また45km~57kmは急な下りが続くため、脚へのダメージが蓄積されやすく、後半の登りに大きく影響します。
ペースを意識せずに飛ばすと、65km以降で確実にバテます。
難所区間・関門ポイント
最大の難所は、72km地点の天鏡閣エイド前後の登り区間です。
ダート道・無風・木陰が少ないという過酷な条件が揃っており、多くのランナーが脚を止めています。
次に厳しいのが、87km〜92kmの関門エリア。
ここまででかなり体力を消耗している状態で、再び登りが始まり、心が折れるポイントでもあります。
特にCP3(82km)からCP4(91km)までの区間ではリタイア者が非常に多いのが特徴です。
最後の勝負は「気力・補給・脚の温存」がすべて。
80km地点で余力が残っているかどうかが、完走への分かれ道になります。
他大会との違いと初心者へのアドバイス
会津磐梯山ウルトラマラソンは、「風光明媚な景色」×「激しいアップダウン」が特徴の、全国的にも珍しいコース構成です。
比較されやすい「柴又100K」や「四万十川ウルトラ」と比べても、走力+山耐性+暑熱順応の3拍子が求められます。
特に、累積標高2,000mを超える登り下りの多さ、気温30℃を超える中での長時間運動は、他大会にない厳しさ。
一般的なロード100kmレースの感覚で臨むと、70km以降で脚が完全に止まります。
2025年大会への参加を検討されている方は、以下の4つの力をバランス良く鍛えることが重要です。
- ① 長時間走の耐性:月1回は6時間以上のLSDを実施
- ② 登坂力:累積標高500〜1000mの峠走やトレイル練習
- ③ 補給計画:ジェル・カロリーメイト・塩分・水分の時間別シミュレーション
- ④ 熱中症対策:サウナラン・暑熱順化ジョグ・冷却ギアの事前テスト
フルマラソン完走者でも、完走できないのが100kmの世界。
「60km以降が本番」と心得て、“脚を残す”走りを意識しましょう!
▶ 【ウルトラマラソン初心者から上級者までの最終調整術:成功するための秘訣】
会津磐梯山ウルトラマラソン 完走記録|100km高低差2000m&猛暑を乗り切った戦略とは?
2024年6月16日(日)、第3回となる会津磐梯山ウルトラマラソン100kmに参加しました!
本記事では、前日準備から当日の補給・ペース配分、猛暑との闘い、そして11時間17分で完走したリアルな体験をお届けします。
レース前日〜スタート準備
前日は会場付近の駐車場で車中泊。フルフラットの車内で睡眠を取り、朝4時に起床。
スタートは5時。朝食は菓子パンとエネルギージェルで軽めに済ませました。
持ち物チェックリスト(100km装備)
- ウエストポーチ:ジェル・塩タブ・カロリーメイト収納
- ランニングリュック:2本のソフトフラスクを装備
- ウィダーインゼリー×4:10kmごとに補給
- 塩タブレット:こまめに塩分チャージ
- カロリーメイト:エネルギー切れ防止
- ソフトフラスク:エイドでポカリを入れます。ケースを押すと先端からぴゅーと出る仕組み
会津磐梯山ウルトラマラソンのレースレポート
前日とスタート
前日は車中泊をしました。睡眠時間は4時までと短めでしたが、5時にスタートしました。日中の気温は30度超えの予想でした。
0~10km|スタート直後は高揚感と慎重な心拍管理
会津磐梯山ウルトラマラソンのスタート直後、最初の10kmはテンションが上がりやすい区間です。
私も例に漏れず、やや高めの心拍(140前半)をキープしながら、5分30秒/kmペースで安定した走りを意識しました。
序盤はフラット基調で走りやすいものの、気温上昇と後半の登りを見据えて抑えめに走ることが重要です。
10~25km|最初の本格登りセクションでのペース戦略
10kmを過ぎると、本格的な登りが始まります。標高400m→1000mまで一気に標高を上げる山岳セクションです。
この区間では最初の主要エイドステーションが設置されており、補給のタイミングとしても重要なポイントとなります。
私は毎10kmごとにウィダーと塩タブレットを摂取しながら、登りに備えてエネルギーをしっかりチャージ。
登坂は快調で、ペースは5’20/km前後、心拍数は150をキープしながら、無理のないリズムを保ちました。
25~40km|アップダウン連続の山岳セクション
25km地点を過ぎてからは一度大きく下ってから再び急登という変化の大きい区間に入ります。
下りは脚のダメージを最小限に抑えるようペースを調整しながら進行。
その後、標高800m→1200mへの再びの登りに突入します。
体調は良好で、ペースは平均5’45/kmを維持。
この時点での体力消耗は感覚的に30%以下と抑えられており、順調なレース運びができていました。
45~60km|足にダメージが蓄積する長い下り坂
45km地点を過ぎると、標高800mまで一気に下る約12kmのロングダウンヒルが始まります。
ペースを意識して抑えながら走ったものの、脚への衝撃が蓄積し、ふくらはぎや膝に違和感が出てきました。
それでも体調面に問題はなく、気持ち的には「あとフル1本いける」と思える余裕はありました。
ここまでの補給(ウィダー・塩タブレット)が効いていた印象です。
65~72km|最大の試練。ダートの登りと猛暑の直撃
65km地点からは、本大会最大の難所とも言えるダートの登り坂が始まります。
距離にして約7km、標高差は300m以上、路面は砂利混じりで不整地。走り続けることが困難になりました。
70km地点付近で熱中症の気配もあり、足も重く、ペースが著しく低下。
木陰が少なく直射日光が強烈で、冷却ギアの重要性を痛感しました。
ここをどう乗り切るかが完走への分岐点になります。
来年に向けては、酷暑対応トレーニングの強化が必須です。
85~92km|最大の正念場。登り&関門のプレッシャー
85kmを過ぎると、最後の登り区間が待ち構えています。
ここはCP3(82km)→CP4(91km)という関門ラッシュのエリアでもあり、体力だけでなく精神的な消耗も激しい時間帯でした。
ペースは大幅に落ち、一歩一歩が限界ギリギリ。脚は重く、補給もままならず、歩くことすらつらい状態に。
それでも「ここで止まったら後悔する」と自分に言い聞かせ、前へ進み続けました。
95km〜ゴール|手足のしびれと戦った最後の5km
95km地点では脱水症状による手足のしびれを感じ、「ここで止まったら完走は厳しいかも」と本能的に感じました。
約10分間立ち止まり、冷却&補給をして回復に努めたことで、再び歩き出すことができました。
冷却タオルで体を冷やし、最後のウィダーで補給。残り5km、一歩ずつ意識を集中しながら前進。
ゴールゲートが見えた瞬間、11時間17分の全ての努力が報われました。
初心者にも伝えたいのは、最後まで諦めなければ完走できるということ。
会津磐梯山100kmは過酷ですが、そのぶん得られる感動も別格です。
念願の完走証を獲得!総合33位・年代別17位という結果に、自分でも驚きです。
ゴール後は達成感と疲労感が入り混じり、忘れられない一日になりました。
10kmごとのラップタイムとペース推移
以下は、会津磐梯山ウルトラマラソン100kmの実際のラップタイムです。
60km以降からペースダウンが顕著で、後半の登りと暑さが影響しているのが分かります。
100kmウルトラマラソンを目指す方は、後半に脚を残すペース設計の参考にしてください。
距離 | ラップタイム | 平均ペース |
---|---|---|
~10km | 55分27秒 | 5'33"/km |
~20km | 57分35秒 | 5'46"/km |
~30km | 55分38秒 | 5'34"/km |
~40km | 55分06秒 | 5'31"/km |
~50km | 1時間00分06秒 | 6'01"/km |
~60km | 58分14秒 | 5'49"/km |
~70km | 1時間00分34秒 | 6'03"/km |
~80km | 1時間11分49秒 | 7'11"/km |
~90km | 1時間15分05秒 | 7'31"/km |
~100km | 1時間31分56秒 | 8'57"/km |
※ウォッチのオートポーズ設定により、実際の休憩時間は含まれていません。
▶ 【ウルトラマラソン初心者から上級者までの最終調整術:成功するための秘訣】
リザルトと完走率の徹底分析|会津磐梯山ウルトラマラソン100kmの“実力者データ”とは?
本セクションでは、2024年6月開催の第3回 会津磐梯山ウルトラマラソン100kmの公式リザルトをもとに、完走率・上位入賞者・年代別傾向を分析します。
「この大会、どれくらい厳しいの?」と気になる方や、来年の参加を検討しているランナーの参考になれば幸いです。
トップ選手の傾向と記録の特徴
前セクションでも紹介した通り、2024年大会の上位ランナーは以下のような特徴がありました。
- 1位:20代男性(7時間30分台)
- 2〜3位:40代男性(8時間前後)
- 女子トップ:11時間01分で50代ランナーが優勝
特に注目すべきは、40代・50代のランナーが全体の中核を占めている点。
スピードと経験のバランスが求められる大会であることが分かります。
完走率と大会全体の傾向
出走者数:246名
完走者数:143名(完走率
58.1%)
過去3大会と比較しても、最も完走率が低く、過酷な年でした。特に後半の気温上昇と登り区間が、ペースの乱れやリタイアに直結しています。
年代・性別ごとの傾向
完走者の傾向を見ると、以下のような特徴がありました。
- 男性40〜50代が中心層:完走者の約半数を占める
- 女子最多は50代:粘り強い走りが目立つ
- 20代完走者はごく少数:優勝者のみ
【実例】筆者・バナナぴろしの通過記録
本大会で筆者(バナナぴろし)は11時間17分24秒・総合33位(40代男子17位)で完走しました。
以下は、CP(関門)ごとのタイムと順位データです。
区間 | 距離 | タイム | 平均ペース | 区間順位 |
---|---|---|---|---|
スタート〜CP1 | 33km | 3:12:23 | 5'50"/km | 31位(246人中) |
CP1〜CP2 | 27km | 2:36:28 | 5'47"/km | 25位(236人中) |
CP2〜CP3 | 22km | 2:40:46 | 7'19"/km | 31位(195人中) |
CP3〜CP4 | 9km | 1:19:43 | 8'52"/km | 37位(146人中) |
CP4〜Finish | 9km | 1:28:04 | 9'47"/km | 137位(143人中) |
完走に向けたヒント:分析から見えた課題
前半60kmは安定した走りでしたが、CP2以降は登り&暑さの影響で大幅ペースダウン。
特にCP3〜CP4以降で一気に順位が下がっていることから、脚の温存と暑熱対策がカギであると分析できます。
反省と次回への改善点|会津磐梯山ウルトラマラソン100kmから学んだ5つの教訓
完走はしたものの、「もう少しうまく走れたかもしれない」と感じた場面も多数ありました。
このセクションでは、今回のレースで得られた気づきと、次回大会(2025年)への改善ポイントを整理します。
◎ 良かった点:完走につながった装備&戦略
- ソフトフラスクの導入:走行中もこまめな水分補給ができ、脱水予防に効果的だった。
- 固形補給(カロリーメイト)の実践:ジェルに加えて咀嚼系を取り入れたことで、胃腸トラブルを回避。
- 心拍数重視のペース配分:気温上昇を見越して、ペースより心拍管理を優先。中盤まで脚を温存できた。
△ 反省点:パフォーマンスを落とした2つの要因
- 苦手な下り坂の克服不足:長いダウンヒルで脚に負担が蓄積。下りフォームの見直しと練習が課題。
- 月間走行距離250kmでは不足:特に“脚づくり”の面で終盤に粘れず。月300〜350kmを目指したい。
▶ 次回大会に向けた対策アクション
- ・坂道特化の峠走・トレイル練習を月2回以上
- ・夏場のLSDで「6時間走×暑熱環境」に慣れる
- ・フルマラソンレースペースより20秒落ちでの持久走強化
- ・レース2か月前から「登り・暑さ・補給」のシミュレーション
ウルトラマラソンは「距離」だけではなく、「登り」「暑さ」「補給」など総合力が試される競技。
小さな失敗を次に活かして、さらに高いレベルの完走を目指したいと思います!
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