気温29℃、湿度77%という蒸し暑い夜。
そんな過酷なコンディションの中で行ったのは、閾値走+Eペースジョグ+ウィンドスプリント(WS)という実践的なビルドアップ練習。
暑さに負けずに走るには、単なる根性論ではなく、心拍ゾーンの管理やトレーニング効果(TE)・トレーニング負荷(TL)の理解が重要です。
本記事では、COROSのランニングデータをもとに、心肺への負荷とその分析結果を詳しく振り返ります。
夏場のランニングで、どうやって閾値走を安全かつ効果的に取り入れるか、
そしてその結果、どんな数値・感覚・成長が得られたのか——
暑さに挑むランナーのヒントになる内容を、わかりやすく解説していきます。
りんごちゃん
29℃で湿度77%とか、走るだけで溶けちゃいそうなんだけど…💦
それって危なくないの〜?
バナナぴろし
今回は閾値走+Eペース+WSの組み合わせで、じっくりビルドアップを意識して走ってみたんだ。
りんごちゃん
しかも心肺にじわじわ効かせる走りって、なんだかプロっぽい!
でも…実際どんなデータが出たの?数字だけ見てもよくわかんないかも〜😅
バナナぴろし
今回はCOROSのランニングデータを使って、トレーニング効果(TE)や心拍ゾーンの滞在時間までしっかり分析してみたんだ。
暑い中でも、ちゃんと効果的に走れてたか、数値で振り返ってみよう。
りんごちゃん
どうやって心拍ゾーンを管理したのかとか、トレーニング効果って何なのかとか、知りたいこといっぱいあるよっ!
バナナぴろし
まずは、どんな内容で練習したかを詳しく紹介していくね。
暑さの中での閾値走|ビルドアップで心肺強化
気温29℃・湿度77%でも粘れる走力づくり
今回は気温29℃・湿度77%という厳しいコンディションの中、閾値走+Eペースジョグ+WS(ウィンドスプリント)の組み合わせで実践練習を行いました。バナナぴろし
もっと知りたい方はこちら:
スピード持久力を高める秘訣:初心者から上級者まで実践できる閾値走の効果とは?
ランニングにおける“スピード持久力”を効果的に高めるトレーニング「閾値走(いきちそう)」について、初心者から上級者まで実践しやすい方法やペースの設定、科学的効果を含めてわかりやすく解説しています。
特に意識したのは、ペースビルドアップ(4'30/km → 4'00/km)の中で「心肺にじわじわと効かせる走り」。
暑さに体力を奪われやすい中でも、自分の感覚に集中してフォームとペースを安定させることを心がけました。
結果的に、トレーニング効果(TE)は有酸素3.5、無酸素2.0と、バランスの良い刺激が入った内容に。
トレーニング負荷(TL)も207と、心肺機能の維持と強化の両立ができたと実感しています。
ラップ数 | 距離 | 時間 | 平均ペース |
---|---|---|---|
1 | 1.00 km | 6:32.95 | 6'33"/km |
2 | 0.23 km | 1:22.52 | 5'57"/km |
3 | 1.00 km | 4:23.41 | 4'23"/km |
4 | 1.00 km | 4:01.91 | 4'02"/km |
5 | 1.00 km | 4:01.06 | 4'01"/km |
6 | 1.00 km | 3:59.28 | 3'59"/km |
7 | 1.00 km | 4:02.61 | 4'03"/km |
8 | 1.00 km | 3:55.40 | 3'55"/km |
9 | 1.00 km | 5:09.31 | 5'09"/km |
10 | 1.00 km | 4:56.50 | 4'57"/km |
11 | 0.77 km | 3:49.94 | 4'59"/km |
12 | 0.11 km | 0:21.08 | 3'17"/km |
13 | 0.04 km | 0:14.40 | 6'46"/km |
トレーニング効果と心拍ゾーンの分析
数値から読み解く「質の高い閾値走」
今回の閾値走は、LT値(乳酸性作業閾値)付近の心拍域を狙って走りました。
心拍が155~165bpmのゾーン(乳酸性作業閾値)に34%(約16分)、
さらに172bpm以上の無酸素パワーゾーンにも13分滞在しており、心肺にしっかり負荷をかけられたセッションでした。
心拍ゾーンに注目すると、
・乳酸性作業閾値ゾーン(155〜165bpm)に約34%(15分50秒)
・無酸素パワーゾーン(172bpm以上)にも28%(13分)
滞在しており、十分に負荷がかかった質の高い練習といえます。
トレーニング効果としては、
・有酸素TE:3.5(改善) → 持久力の向上に寄与
・無酸素TE:2.0(維持) → スピード刺激も軽く加わる
と、バランス良く鍛えられた内容です。
ペースと心拍の整合性も良く、ゾーンに合わせた調整ができたことは今後の大きな自信になります。
気温が高い中でも、計画通りのゾーンコントロールができた点は、暑熱順化が進んでいる証拠かもしれません。
今回のランは、合計10.14km・46分50秒・平均ペース4'37/km。
ビルドアップ区間では、4'23/kmから3'55/kmまで徐々にペースを上げ、ラスト1kmで最速3'54/kmを記録。
高温多湿の条件下では上出来な仕上がりです。
グラフで見ると、心拍・ペース共に安定してビルドアップできており、ゾーン管理の再現性も高まりつつある印象です。
練習データの振り返り|ラップ・TE・心拍グラフ
トレーニング効果(TE)と負荷(TL)を科学的に把握する
トレーニング効果(TE)は、今回のランで以下の通りでした:・有酸素TE:3.5(改善)
・無酸素TE:2.0(維持)
COROSの公式サイトではTEの詳細な計算ロジックは開示されていませんが、GarminのFirstbeat Analyticsと非常に類似した考え方で設計されているとされています(※Redditやユーザーフォーラムでの考察より)。
Garmin(Firstbeat)による基準を参考にすると、TEの評価は以下のように分類されます:
TEの値 | 有酸素TEの評価 | 無酸素TEの評価 |
---|---|---|
1.0–1.9 | ほとんど効果なし | スピード維持に影響なし |
2.0–2.9 | 持久力の維持 | スピードの維持 |
3.0–3.9 | 持久力の向上 | スピードの向上 |
4.0–4.9 | 著しい向上 | 著しい向上 |
5.0 | 過度なトレーニング(休息が必要) | 過度なトレーニング(休息が必要) |
この分類に照らすと、今回の有酸素TE「3.5」は、持久力の向上が期待できる強度のワークアウトだったと考えられます。
また、無酸素TE「2.0」は、高強度・短時間のスピード刺激が最低限維持されたことを示しています。
一方、トレーニング負荷(TL: Training Load)も、ランナーが日々のトレーニングを管理する上で非常に重要な指標です。
COROSではこのTLを、運動量 × 運動強度という観点から定量的に算出しています。
具体的には、以下のような情報をもとにTLが計算されます:
- ・運動量:運動時間、走行距離、頻度
- ・運動強度:心拍数、出力(パワー)、ペースなど
特に注目すべきは、COROSが閾値(LT)を基準に計算ロジックを切り替えているという点です:
- ✔ 閾値ペース未満(ゾーン2〜3):有酸素運動中心 → 心拍数ベースで強度評価
- ✔ 閾値ペース以上(ゾーン4〜5):無酸素運動・高強度領域 → パワーやスピードベースで評価
これは、低強度トレーニングでは心拍変動が運動負荷をよく表す一方、
高強度トレーニングでは出力(パワー)やスピードのほうが負荷を反映しやすいという生理学的な特性に基づいています。
TLは、Garminや他社で採用されているTRIMP理論(Training Impulse)をベースにしていると考えられており、
「セッションごとのストレス度合い(=身体へのインパクト)」を数値化したものです。
たとえば、同じ30分間のランニングでも、心拍ゾーン3で走ればTLは moderate(中)、
ゾーン5でインターバルを行えばTLは high〜very high(高〜極高)として評価されます。
そしてこのTLは、日・週・月単位で以下のように活用されます:
- ・負荷インパクト(Acute Load):直近7日間の平均TL → 疲労の蓄積度
- ・ベースフィットネス(Chronic Load):直近42日間の平均TL → フィットネスの安定性
これらを比較することで、オーバートレーニングや休養不足の兆候を早期に把握することができ、
自分に最適なトレーニングの量と強度を調整するための重要な意思決定材料となります。
📚 参考文献:
TLは、フィットネス向上のために「今週の練習量は十分か?」「疲労が溜まりすぎていないか?」を判断するための実用的な指標で、
・負荷インパクト(直近7日間の平均TL)
・ベースフィットネス(直近42日間の平均TL)
に反映されていきます。
TL値「207」は、個人差はあるものの、持久系アスリートにとっては「中~やや高い負荷」に相当し、心肺・筋持久両面にしっかり刺激が入ったセッションだったと言えるでしょう。
気づきと今後の工夫|夏場トレーニングの改善点
暑さに負けない練習の積み重ねを
気温29℃・湿度77%という環境でも、ビルドアップ走を無理なく走り切れたのは大きな収穫でした。
夏の練習では「走り切れた」という成功体験が、自信と継続のモチベーションになります。
一方で、発汗量が非常に多く、練習後の体温上昇や心拍数の高止まりも感じたため、補給の工夫や
日陰・風通しの良いコース選びの重要性も再認識しました。
特に閾値走のようにLT値付近で心拍をキープするトレーニングでは、
暑さによって心拍が通常より10〜15bpm高くなりやすい傾向があります。
そのため、気温の影響を考慮してペースを調整し、ゾーン管理を柔軟に行うことが非常に重要です。
今回は、平均心拍159bpm・最大183bpmと、しっかりと閾値域(155〜165bpm)+無酸素域(172bpm以上)に滞在でき、
心肺への適切な負荷がかかった感覚がありました。
これは暑熱順化がある程度進んできたサインとも言えそうです。
今後は、Eペースジョグの距離を少しずつ伸ばしながら、
・フォームの安定
・体幹の強化
・暑熱順化の継続
を意識し、秋以降のレースに向けたベースづくりを進めていきます。
バナナぴろし
もっと知りたい方はこちら:
10 kmからフルマラソンまで!マラソンタイムを縮めるためのトレーニング完全ガイド
不整地ランニングやインターバル、閾値走、変化走といったさまざまな練習法を、初心者から上級者に向けて具体的に解説するマラソンタイム短縮の決定版です。
りんごちゃん
暑い日の練習って、ただキツイだけじゃなくて、ちゃんと工夫すれば成長につながるんだね🍉
あたしも水分しっかりとって走ってみようかな〜♪
バナナぴろし
暑さに合わせて心拍ゾーンを管理したり、ペースを柔軟に調整すれば、夏でも安全に強くなれるからね。
今回の分析が、りんごちゃんや読者のみんなのヒントになればうれしいな。
りんごちゃん
「暑さは敵じゃなくて味方にもできる」って感じがしてきたよ〜!
よ〜し、あたしもゾーン意識して走ってみる〜💨
バナナぴろし
それじゃあ次は、今回のりんごちゃんの気づきにもあった「心拍ゾーン管理と練習負荷」について、
もう少し踏み込んで見ていこうか。
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