ウルトラ明けからフルへの移行期に「失速しないフォーム」を身につけるための、具体的なスキップ練習法がわかります。
先日、私は「みなの天空ウルトラマラソン(75km/累積標高1464m)」を完走しました。
苦しい山越えや脚の疲労を乗り越えて得られた「走る感覚」は、フルマラソンでもきっと生きると確信しています。
本記事では、ウルトラ完走後の **フルマラソンへの移行トレーニング法**、とくに **スキップトレーニング** の実践法と活用ポイントを丁寧に解説します。
あなたの走力アップ・後半粘り強化のヒントになれば幸いです。
① みなの天空ウルトラマラソン完走レポート|結果・ペース・攻略ポイント
累積標高1464m・75kmを走破|3位入賞までのリアルな記録と気づき
2025年9月22日、埼玉県・皆野町で開催された「第2回 みなの天空ウルトラマラソン」に出場しました。距離75km・累積標高1464mという非常にタフな設定にも関わらず、8時間11分23秒で無事に完走。
結果として、50歳代男子3位/男子総合14位という自己ベストの走りができました。
当日の気温は17℃、湿度99%。涼しさがあった朝方とは裏腹に、レースは想像以上にハードな展開に。
特に「3つ目の山」の登りでは脚が限界に近づき、平坦区間でもキロ6分30秒が精一杯の場面もありました。
そんな中、一度思い切ってキロ5分20秒までペースアップを試みたところ、逆に5分40秒が楽に感じるように。
この経験から、ウルトラ特有の「体感と実際のスピードのズレ」を実感しました。
心拍は150bpm前後で安定しているのに脚が動かない──これはまさにウルトラあるあるです。
コースは山越えが3回あり、上りでは心拍を抑えて粘り、下りではフォームを崩さずダメージを最小限に抑える工夫を。
しかし後半のフラット区間では脚が完全に売り切れ、「ウルトラは心肺ではなく脚」という言葉の意味を身をもって体感しました。
最終記録は以下の通りです:
- 距離:76.28km
- タイム:8時間11分23秒(オートストップ有)
- 平均ペース:6分34秒/km
- 平均心拍数:150bpm
- 累積上昇:1464m
- 部門順位:3位(50歳代男子)
- 総合順位:14位(男子全体)
トレーニング負荷(Training Load=1405)も高く、レース後の疲労感は相当なものでしたが、
「出し切った」という納得感があり、何よりも自分の身体と向き合って走り切った経験は大きな財産になりました。
このウルトラ完走を通じて得た感覚・脚力・粘りは、次の挑戦「フルマラソン(つくば)」に活かす準備が整った証。
次章では、そのためのトレーニング移行計画について詳しくお伝えします。
バナナぴろし
もっと知りたい方はこちら:
みなの天空ロード:ウルトラマラソン完全ガイド|75K・40K・35Kのコース攻略・完走率・体験談・GPX付き‑バナナぴろし流のマラソンブログ
「みなの天空ロード」75K・40K・35K各コースの特徴・難易度・完走率から著者の体験レビュー、GPXデータまで詳しく解説しています。
② つくばマラソンに向けたトレーニング計画|ウルトラ後のフル移行法
スピード持久力を高める練習メニューと段階的アプローチ
「みなの天空ウルトラマラソン」を終えて、次なるチャレンジはつくばマラソンです。ウルトラで鍛えた脚の耐久力を土台に、これからはフルマラソン特有のスピード持久力へと切り替えていきます。
特に意識しているのは、後半も粘れるスピード領域の強化。
ウルトラで学んだ身体との対話と走り切る粘りを活かしながら、レースペースで押し切る力を身につけていきます。
現在の週間トレーニングメニューは、以下のように構成しています:
-
30km走(週1回)
5kmごとにビルドアップ。ラスト5kmはキロ4分切りで仕上げ。 -
閾値走(LT走)
4:00/km前後で5~8km。乳酸処理能力とスピード持久力を鍛える。 -
坂ダッシュ300m × 5〜10本
登坂時の筋出力とフォーム保持力を高める。 -
スキップレペティション
200m×6本(80%全力)。接地感覚とフォーム改善が目的。
100m×10本との比較トレーニングも併用中。
フルに向けた身体作りは、ウルトラと同じでは通用しません。
より効率的なフォーム・ピッチ・心拍コントロールを意識しながら、スピードと耐久性の両立を図っています。
また、過去にサブエガ(2時間50分切り)を達成したときの練習パターンも見直しながら、
再現性のある成長ルートを構築中です。
今回のつくばマラソンでは、単に記録を狙うのではなく、これまでの自分を超えることをテーマにしています。
ウルトラで得た「ギリギリまで攻めたあとの粘り」を、42.195kmの中で再現できるかどうか。
それを試すステージが、もう始まっています。
一つひとつの練習を積み重ねて、自分史上最高のフルマラソンを、つくばで迎えにいきます。
③ スキップトレーニングの効果とやり方|フォーム改善・接地感覚の強化
効率の良い走りをつくる「動きづくり」トレーニングの真価
フルマラソンで後半に失速してしまう…そんな悩みを持つランナーにぜひ取り入れてほしいのが、スキップトレーニングです。
一見地味に見えるこの基礎動作トレーニングですが、ランニングフォームの改善・脚筋力の強化・接地感覚の習得など、走りの質に直結する効果があります。
私自身、サブエガ(2時間50分切り)を達成した4年前からスキップを導入し、
「フォームが安定した」「地面からの反発を感じやすくなった」といった変化を実感。
今でもフルマラソン期には必ず取り入れているメニューです。
具体的にスキップで得られる効果は以下の通りです:
-
① 姿勢改善と体幹の意識強化
スキップでは骨盤の前傾と背筋の伸びが自然に意識され、後半にフォームが崩れるのを防ぐ効果があります。 -
② 地面反力をもらう感覚の習得
「跳ねる」動きの中で、地面を押して跳ね返る感覚が養われ、フォアフット接地や反発を活かした走りに直結します。 -
③ ハムストリングス・腸腰筋の強化
脚を引き上げる・押し出す動作が、回転力と推進力を支える腸腰筋やハムストリングスを効果的に鍛えます。 -
④ ピッチ(足の回転数)の向上
接地から離地までが短くなることで、自然とピッチ走法が身につき、スピードの底上げにもつながります。
フルマラソンでは30km以降のフォーム維持がカギ。
スキップで効率のよい身体の使い方を習得しておくことで、後半の粘りと失速防止につながります。
最近では、より実戦的にするために芝生や坂道でのスキップレペティション(反復練習)も実施しています。
強度・距離・目的を工夫すれば、トレーニングのバリエーションが広がり、ラン全体のレベルアップに貢献します。
記録を伸ばしたいランナーこそ、こうした「動きづくり」に取り組むことが大切です。
そして、スキップはその中でも即効性が高く、取り入れやすい補強トレーニングの一つ。
次章では、100mと200mのスキップ練習の違いとその使い分け方について、さらに詳しく解説していきます。
バナナぴろし
もっと知りたい方はこちら:
速く走るための秘訣: 乗り込み技術とスキップトレーニング‑バナナぴろし流のマラソンブログ
「乗り込み」動作の定義とその重要性、さらにスキップを使ってこの技術を体得する方法を解説しています。
バナナぴろし
もっと知りたい方はこちら:
スピードをあげる練習【スキップレぺテーション】- 新編:第7章(サブエガまで112日)
スキップレペテーションという練習法を用いて、トップスピードと反力活用を向上させる方法を解説しています。
④ スキップ練習100m・200mの比較と使い分け|“動きづくり”でマラソン後半を変える
ウルトラ明けの200mから振り返る、スピード土台づくりの考え方
ウルトラマラソン明けの今、疲労を引きずらずにフルマラソンモードへ切り替えるためのポイントは、神経系の再起動とフォームの再構築です。その意味で、今回取り入れた芝生での200mスキップ×6本(80%)は、非常に理にかなったメニューでした。
フルのような巡航型スピードを求められる距離では、30km以降のフォーム維持が勝敗を分けます。
そのために必要なのが、“地味だけど効く”動きづくり──それがスキップなのです。
■ 今回の練習:200m×6本(80%)
- 距離:200m × 6本(計1.2km)
- 強度:80%(心拍110以下でスタート)
- ペース:4’03〜4’21/km
- 目的:神経系の再活性化・フォームの再教育・接地感覚の修正
- 環境:芝生(アキレス腱・ふくらはぎの負担軽減)
この練習の最大のメリットは、スピードを落とさずフォームを整えること。
フルマラソンに向けて、“キレ”を取り戻すにはうってつけです。
▶︎ ポイントは「高く跳ねない」「大きく動かさない」。
あくまで接地〜離地を小さく速く回す感覚で、股関節主導で動かすよう意識しましょう。
■ 1年前の練習:100m×10本(全力)
そしてちょうど1年前。サブエガ達成を目指していた頃は、100mスキップ×10本(全力レペテ)をメインにしていました。
こちらは爆発力や瞬発的な接地感覚を磨くメニューでした。
- ペース:3’20〜3’35/km
- 本数:10本(全力95〜100%)
- 効果:最大スピード神経の活性化/ランニングエコノミー改善/爆発力強化
- 注意点:筋負担が大きく、疲労期には不向き
■ スキップ距離別 比較まとめ
項目 | 100mスキップ(全力) | 200mスキップ(80%) |
---|---|---|
目的 | トップスピード・爆発力 | フォーム維持・神経再構築 |
強度 | 高(95〜100%) | 中(80%) |
刺激部位 | 速筋・反応系 | 中速筋・持久筋+骨盤・体幹 |
おすすめ時期 | 仕上げ期・ピーキング | 移行期・疲労抜き週 |
主な効果 | スピード限界の底上げ | フォームの修正+再教育 |
■ さらに遡る:4年前のスキップ導入期
サブエガ(2時間50分切り)を達成した年──実はこのスキップレペテを3ヶ月間、毎週継続して仕込んでいました。
100mスキップ×10本は「速く走る身体をつくる土台練」。
トップスピードを高めることで、フルの巡航ペースに“余裕”を持たせる効果がありました。
この“仕込み”があったからこそ、後のサブエガやウルトラ完走にもつながったと感じています。
■ 結論:時期によって使い分けよう
- 今(移行期):200m×6〜8本 → 神経刺激とフォームの再教育に◎
- 仕上げ期:100m×8〜10本 → スピードの底上げ&余裕度づくりに最適
- 継続のコツ:疲労が出る前に終了。フォーム意識を忘れずに!
スキップは「ただの補強」ではなく、レース終盤の“崩れないフォーム”を作る土台です。
フォーム・接地・骨盤操作──そのすべてが詰まった走るための筋トレだと捉えましょう。
次は、200m×8本へ少しずつステップアップして、
そのときの接地感・ピッチ・骨盤感覚の違いも記録していこうと思います。
そしてまた来シーズンには、100mスキップを復活させて“スピードのスイッチ”を入れ直します。
バナナぴろし
もっと知りたい方はこちら:
速く走るための秘訣: 乗り込み技術とスキップトレーニング‑バナナぴろし流のマラソンブログ
「乗り込み」動作の定義とその重要性、さらにスキップを使ってこの技術を体得する方法を解説しています。
バナナぴろし
もっと知りたい方はこちら:
スピードをあげる練習【スキップレぺテーション】- 新編:第7章(サブエガまで112日)
スキップレペテーションという練習法を用いて、トップスピードと反力活用を向上させる方法を解説しています。
0 件のコメント:
コメントを投稿