りんごちゃん
前回でサブエガ達成の「結果」は見たね。今回から練習内容編! …でも、距離もスタミナも十分だったのに、なんでスピードが頭打ちになったの?
バナナぴろし
原因はピッチとストライドだったんだ。スピードって、突き詰めるとピッチ × ストライドの掛け算でしかない。俺は10kmを約200歩/分、サブスリー時でも約192歩/分――完全なピッチ走法のランナーだった。
りんごちゃん
ピッチが速いのはいいことじゃないの? じゃあ、もっとピッチを上げればもっと速くなる?
ナップル博士
そこが落とし穴じゃ。すでにピッチが高い人がさらにピッチを上げても、リターンは小さい。むしろフォームが乱れる。バナナくんが伸ばすべきだったのはストライドのほう。じゃが――ストライドは意識的に伸ばしてはいけない。前足着地や過度な蹴り出しになり、故障を呼ぶからの。「ピッチかストライドか」ではなく、自分の弱点をどう補うかが答えなのじゃ。
バナナぴろし
今日は実際の10kmデータ(息子=箱根を2回走ったランナーとの比較つき)で、ピッチとストライドの関係、走法タイプ別の戦略、ストライドを伸ばす本当の注意点を解説するよ。…そして、下り坂ダッシュでストライドは伸びなかった、という失敗の話まで正直に。
・走行距離は十分に踏んでいる
・スタミナには自信がある
・でも、10kmやマラソンのスピードが頭打ちになる
その原因、ピッチとストライドかもしれません。「ピッチ走法とストライド走法、どっちが正解?」「ピッチ180が理想って本当?」「ストライドを伸ばすと故障するって聞くけど…?」――本記事では、サブ3達成後にサブエガを目指した実体験と実際の10kmデータをもとに、ピッチとストライドの関係・走法タイプ別のスピードアップ戦略・ストライドを伸ばすときの本当の注意点を、数字と実例で解説します。
結論から言えば、「ピッチかストライドか」ではありません。 大切なのは、自分がどの走法タイプで、何が足りないのかを知ること。サブ3の次に進めず悩んでいるランナーにとって、必ずヒントになる内容です。
サブ3からサブエガを目指した理由と走りの変化
サブスリーを達成した直後、いわゆる「サブスリーロス」と呼ばれる喪失感に襲われました。目標を達成したことで、次に何を目指せばいいのか分からなくなり、走るモチベーションが一気に下がったのを今でも覚えています。そんな中で迎えた我孫子市新春マラソン10km。結果は、入賞ラインにわずかに届かず 7位。「サブ3は取った。でも、このままでいいのか?」ゴール後、悔しさがこみ上げ、気持ちは自然と次のステージへ向かいました。
こうして新たに掲げた目標が、サブエガです。サブ3とサブエガの間には、単なる走行距離や根性論では埋まらない「壁」があります。その正体が、ピッチとストライドでした。この章では、サブ3達成後に何を考え、どう走りを変えていったのか。実レースの結果と体験をもとに、その切っ掛けを整理していきます。
サブエガ達成に必要なマラソンスピードと10km走力
サブエガを達成するために、まず最初に明確にしておくべきなのが「必要な走力」です。気合いや根性ではなく、数字で現実を知ることがスタートになります。ダニエルズ理論(VO2MAX換算)を使って、サブエガに必要なマラソン走力を算出すると、おおよそ以下の水準が目安になります。サブエガを達成するためのレース別目安タイム
| Race | Time | Pace/Km |
|---|---|---|
| Marathon | 2:50:00 | 4:02 |
| Half Marathon | 1:21:23 | 3:51 |
| 15K | 56:32 | 3:46 |
| 10K | 36:48 | 3:41 |
| 5K | 17:44 | 3:33 |
この時点での、バナナぴろしの10kmベストタイムは37分05秒でした。ここで一つ、現実を突きつけられます。サブエガを見据えるなら、10kmは36分台中盤〜前半が必要ということです。そこで立てた具体的な目標がこちらです。
9カ月後:流山ロードレース
35分30秒で入賞
1年後:我孫子市新春マラソン
35分30秒で入賞
走力を整理すると、こうなります。
現状
37分05秒 → 3'42/km
目標
35分30秒 → 3'33/km
縮めるタイムは1分30秒。1kmあたりに換算すると、たった9秒です。しかし、この9秒がサブ3ランナーにとって最も高い壁になります。この9秒をどう削るのか。その答えが、次章で解説するピッチとストライドでした。
マラソンにおけるピッチとストライドの関係【実測データ】
マラソンや10kmでスピードを上げるために必要な要素は、突き詰めるとピッチとストライドの2つしかありません。ここでは、机上の空論ではなく、実際に走ったデータをもとに、ピッチとストライドがスピードにどう影響するのかを考察します。使用するデータは、過去の10kmレース・練習です。- 息子:10km駅伝(30分54秒)
- 2017年:10km練習(43分25秒)
- 2019年:我孫子新春(38分45秒)
- 2019年:流山ロード(37分07秒)
- 2020年:我孫子新春(37分42秒)
10kmのスピード推移
正直に言います。このスピード(タイム)だけを見ても、「速い・遅い」以上のことは分かりません。本当に見るべきなのは、そのスピードをどう作っているかです。10kmのストライド(cm)
息子のストライドは平均で約180cm。正直、別次元です。一方で、バナナぴろしは2017年 → 2019年にかけて大きくストライドが向上しています。2019年 → 2020年では、ほぼ横ばいです。このストライド向上に最も影響したと感じているのが、下り坂ダッシュでした。
バナナぴろし
10kmのピッチ(歩/分)
一般的に、エリートランナーのピッチは180歩/分前後と言われます。息子のデータも、ほぼ180歩/分で推移しています。一方で、バナナぴろしは流山ロードレースのPB時で200歩/分前後、フルマラソン(サブスリー達成時)でも192歩/分前後でした。つまり、走りのタイプは明確です。バナナぴろしは、ピッチ走法のランナーでした。ピッチ走法とストライド走法の違い
マラソンランナーは、無意識のうちにピッチ走法かストライド走法のどちらかに寄っていきます。ピッチ走法は、歩幅を抑え、着地回数を増やすことでスピードを作る走り方です。体への負担が分散されやすく、故障しにくいのが特徴です。ストライド走法は、一歩ごとの推進力を大きく使い、ダイナミックにスピードを出す走り方です。その反面、着地や蹴り出しが強くなり、故障リスクが高くなる傾向もあります。フルマラソンのレースペースで190歩/分以上ならピッチ走法、170歩/分以下ならストライド走法と分類されることが多いです。このデータから見えてきた答えは、「どっちが正解か」ではありません。自分の弱点を、どう補うかでした。
ピッチ走法ランナーがスピードを上げる方法
マラソンや10kmでスピードを考えるとき、まず押さえるべき基本があります。スピードの正体は、これです。
スピード = ピッチ × ストライド
つまり、速くなる方法は2つしかありません。
・ピッチを上げる
・ストライドを伸ばす
しかし、すでにピッチ走法のランナーにとって、ここで大きな落とし穴があります。バナナぴろしは、ピッチ200歩/分前後で10kmを走れるタイプでした。この状態で、さらにピッチを上げようとしても、得られるリターンは小さく、むしろフォームの乱れや疲労増大につながります。
いわゆる、ラダーやミニハードルといったピッチ向上ドリルは有名ですが、ピッチ走法ランナーにとっては「今さらやる必要のない練習」になるケースも多いです。
ラダー
速くなるには、弱点を伸ばす練習をする
- スピードタイプならスタミナ
- スタミナタイプならスピード
これを走法に当てはめると、答えは明確です。
- ピッチ走法ならストライドを伸ばす
- ストライド走法ならピッチを増やす
バナナぴろしの場合、伸ばすべきだったのはストライドでした。
ストライドを伸ばすときの注意点【故障リスク】
しかし、ここで大きな問題があります。知っていますか?
ピッチは、意識的に上げても大きな問題になりにくいですが、ストライドを意識的に伸ばそうとすると、一気にリスクが高まります。具体的には、前足着地になったり、過度な蹴り出しになりやすく、結果として故障を誘発します。これは、ランニング界ではよく知られた話です。だからこそ、意識的にストライドを上げてはいけないと言われます。
とはいえ、こう思いませんか? サブスリーを目指して、毎月300km走っている。我孫子新春マラソンの2019年 → 2020年を比べても、ストライドは、ほとんど変わっていない。つまり、このまま同じ練習を続けても、頭打ちになるという現実です。
実際、バナナぴろしには、4'12/kmで42kmを押し切れるスタミナがあり、毎週30km走をこなせる脚もありました。これは、正しいフォームとランニングエコノミーが身についていたからです。その土台を作ったのが、芝生ランニングでした。
バナナぴろし
データを見直し、バナナぴろしが出した結論は、これでした。
足りないのはストライド
伸ばすべきなのもストライド
でも、意識的にストライドを上げてはいけない
では、どうするのか。
結論
下り坂ダッシュ???当時は、これしか思いつきませんでした。現状のストライド130cmを、150cmまで伸ばせるのか。正直、やってみないと分からないと思い、実践しました。
※結論
下り坂ダッシュをしても、
ストライドは上がりませんでした。
サブエガ達成につながった、本当にストライドが伸びた練習は、スキップレペティションです。この話は、次の章で詳しく解説します。
下り坂ダッシュをしても、
ストライドは上がりませんでした。
サブエガ達成につながった、本当にストライドが伸びた練習は、スキップレペティションです。この話は、次の章で詳しく解説します。
ピッチ走法とストライド走法Q&A|どっちが正解?
ピッチとストライドについては、多くのランナーが同じ疑問を抱きます。ここでは、サブ3からサブエガを目指した実体験をもとに、よくある質問に答えていきます。| 質問 | 回答 |
|---|---|
| ピッチ走法とは何ですか? | ピッチ走法とは、1分間あたりの歩数を多くし、歩幅を抑えてスピードを作る走り方です。サブ3〜サブエガを狙う市民ランナーでは、190歩/分以上になるケースが多く、故障しにくい反面、スピードの頭打ちを感じやすい特徴があります。 |
| ストライド走法とは何ですか? | ストライド走法は、一歩ごとの歩幅を大きく使い、推進力でスピードを出す走り方です。ピッチは比較的低く、170歩/分前後になることが多いですが、着地や蹴り出しが強くなりやすく、故障リスクには注意が必要です。 |
| ピッチとストライドはどっちを伸ばすべきですか? | 正解は人によって違うです。すでにピッチが高いランナーが、さらにピッチを上げても効果は限定的です。その場合は、ストライドを自然に伸ばす練習が必要になります。 |
| マラソンにおける理想的なピッチはどれくらいですか? | 一般的には180歩/分前後が目安と言われます。ただし、市民ランナーでサブ3を達成する人の多くは、190歩/分前後になるケースも珍しくありません。数字よりも、自分の走法との相性が重要です。 |
| ストライドを意識的に伸ばすのは危険ですか? | はい、注意が必要です。意識的にストライドを伸ばすと、前足着地や過度な蹴り出しになりやすく、故障を誘発するリスクが高まります。ストライドは結果として伸びる練習を選ぶべきです。 |
| ピッチとストライドのバランスが重要なのはなぜですか? | スピードはピッチ × ストライドで決まります。どちらか一方だけを伸ばそうとすると、フォームが崩れたり、故障につながります。自分の弱点を補う形でバランスを取ることが、マラソンで安定して速く走るコツです。 |
バナナぴろし
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りんごちゃん
バナナぴろしはピッチ走法だから、伸ばすべきはストライド。でも意識して伸ばすと故障する…難しい! しかも下り坂ダッシュでは伸びなかったんだ。じゃあ、何が効いたの?
バナナぴろし
答えはスキップレペティション。「意識せずに、結果としてストライドが伸びる」練習だったんだ。その正体は次章でじっくり解説するよ。まずは「自分がどっちの走法で、何が足りないか」を知ること――そこが全部のスタートだ。お楽しみに!
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