りんごちゃん
バナナぴろし
今回は足利尊氏マラソン(ハーフ)で実戦ペースの確認をしたんだ。
本命は3週間後のつくばマラソンだから、出し切らずに走るのがテーマだったよ。
りんごちゃん
“調整レース”って、全力で走らないってこと?
どんなふうに走るのか気になるなぁ。
バナナぴろし
タイムを狙うというより、仕上がり具合の確認を重視したんだ。
どうして足利が最適な大会だったのか、その理由をこれから詳しく話していくね。
「調整レースって、どのくらい頑張ればいいの?」
そんな疑問を持つランナーへ。
2025年11月、今季初戦の足利尊氏マラソン(ハーフ)を走り、
本命のつくばマラソンに向けた“ペース確認”を行いました。
結果は1時間22分06秒(平均3’53/km)。
出し切らずに、安定して速く走ることができました。
本記事では、足利ハーフで実践した調整レースの走り方、
そして無理せず速く走るためのペース戦略を紹介します。
① 今シーズン初戦・足利尊氏マラソンを選んだ理由と大会の魅力
りんごちゃん
すごく楽しそうだったね〜!
なんでその大会を“シーズン初戦”に選んだの?
バナナぴろし
本命は3週間後のつくばマラソンだから、実戦ペースの確認をしたかったんだよ。
気温やコース条件も理想的で、“試すには最適の舞台”だったんだ。
りんごちゃん
本番のための“実験レース”って感じなんだね。
じゃあ、なんで足利がそんなにちょうど良かったの?
バナナぴろし
毎年11月上旬で気温も安定してるし、ハーフのフラットコースだからペース確認にはうってつけ。
じゃあここから、足利を選んだ理由を詳しく話していくね。
つくばマラソンに向けた“実戦チェック”として最適な一戦
2025年11月2日、今シーズンの開幕レースとして足利尊氏マラソン(ハーフ)を走りました。
目的は、3週間後に控えたつくばマラソンへ向けた実戦ペースチェック。
この大会は、開催時期・気象条件・コース特性のすべてが「調整レース」として理想的なんです。
足利の11月初旬は朝の気温が10〜15℃前後と安定し、気温・湿度ともにレース日和。
コースは渡良瀬川沿いを走るフラット基調で、風の影響が少ない日ならまさに“走りやすい”の一言。
スピードに乗りやすく、ペース走や閾値走の確認には最適な舞台です。
今回は「出し切らずに仕上がりを確認する」という明確なテーマを設定。
フルマラソンを意識した閾値(LT)ペースとして、3’50〜3’55/kmをターゲットに走りました。
ペースも心拍も冷静にコントロールし、今の自分の実戦感覚を把握することを最優先にしました。
地元に愛される“温かい大会文化”が魅力
第48回足利尊氏公マラソン大会は、1970年代から続く歴史ある市民マラソン。
今年(2025年)は11月2日(日)に開催され、午前8時00分から開会式が行われました。
大会には4,294名のランナーがエントリー。前回より740名増という数字が示す通り、参加の裾野がさらに広がっています。
特に注目なのが、参加料と募集定員。種目ごとに定員が設けられており、
| 種目 | 定員 |
|---|---|
| ハーフマラソン | 2,000名 |
| 10 km | 1,500名 |
| 5 km | 1,000名 |
| 3 km | 500名 |
| 3 kmペア | 500組 |
参加料は、ハーフ一般が4,500円、10 kmおよび5 kmが4,000円、高校生2,500円、中学生以下2,000円、ペアの一般部門1組5,000円となっています。
沿道では地域の方々が拍手や声援で盛り上げてくれ、走りながらも“心が温かくなる”瞬間がたくさんありました。
特に印象的だったのが、毎年恒例の仮装部門。今年もエントリー写真が掲示され、会場には思わず笑顔になるような工夫がたくさん。
私も「バナナ」仮装でエントリーし、レースは本気モードながらも大会の雰囲気をしっかり楽しめました。
走る人も応援する人も笑顔になれる——そんな“地域一体型のマラソン文化”が、この大会の魅力です。
今回のハーフは「記録を狙う」ではなく、体の反応を確かめる実験的レース。
つくばマラソンを本命に見据え、疲労を残さず、筋持久力と心拍耐性のバランスを確認することが目的でした。
実際に走ってみると、終始リズム良く、余裕を持って走り切れる理想の初戦に。
この“余白を残した走り”が、次のフルマラソンに向けた最高の布石になりました。
足利尊氏マラソンは、単なる地方大会ではなく、走る喜びを再確認できる場所。
シーズン初戦のモチベーションづくりとしても、毎年走りたいと感じる大会です。
② マラソン調整レースで学ぶ「ネガティブスプリット」実践法〜足利ハーフで掴んだ効率走のコツ〜
りんごちゃん
バナナぴろし
本命レース前の調整だから、余裕を持って走ることを最優先にしたよ。
実はこれ、フルマラソンにも直結するネガティブスプリット戦略なんだ。
りんごちゃん
聞いたことあるけど、具体的にどういう走り方なの?
抑えて入るって、本当に速くなるの?
バナナぴろし
ネガティブスプリットは「後半で自然にペースを上げる走り方」なんだ。
前半で余裕を残すことで、後半の失速を防ぎ、結果的に速くなる。
じゃあ、今回の足利ハーフでどうやってそれを実現したのか、具体的に見てみよう。
「無理をせず速く走る」を実現するネガティブスプリット戦略
今回の足利尊氏マラソン(ハーフ)では、シーズン初戦らしく「攻めずに整える」をテーマにしました。
フルマラソン本番を見据えた閾値(LT)ペースの実戦テストで、目標は3’50〜3’55/km。
スタート直後から心拍は175bpm前後で安定し、呼吸も乱れず。
前半10kmは3’54/kmペースでリズムをキープし、風の影響にも崩れませんでした。
体感的には“余裕を残した速さ”で、フォームや姿勢も安定。
後半は「まだ上げられる」と感じながらも、敢えてペースアップを抑制。
残り5kmでスパートを控えたのは、フルマラソンにつなげる判断です。
結果、ラスト1kmで自然とペースが上がり、3’42/kmフィニッシュ。
| ラップ (km) | 平均ペース | 平均心拍数 | ピッチ | ストライド (cm) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 3'55"/km | 172 | 187 | 144 |
| 2 | 3'52"/km | 175 | 188 | 145 |
| 3 | 3'54"/km | 177 | 188 | 146 |
| 4 | 3'55"/km | 178 | 188 | 146 |
| 5 | 3'54"/km | 179 | 189 | 145 |
| 6 | 3'56"/km | 179 | 188 | 144 |
| 7 | 3'53"/km | 180 | 189 | 145 |
| 8 | 3'54"/km | 180 | 189 | 146 |
| 9 | 3'55"/km | 180 | 188 | 145 |
| 10 | 3'53"/km | 181 | 189 | 145 |
| 11 | 3'53"/km | 181 | 189 | 145 |
| 12 | 3'54"/km | 182 | 189 | 145 |
| 13 | 3'53"/km | 182 | 189 | 146 |
| 14 | 3'53"/km | 183 | 189 | 145 |
| 15 | 3'52"/km | 183 | 189 | 146 |
| 16 | 3'51"/km | 183 | 190 | 146 |
| 17 | 3'52"/km | 184 | 190 | 147 |
| 18 | 3'51"/km | 184 | 190 | 147 |
| 19 | 3'50"/km | 185 | 190 | 147 |
| 20 | 3'48"/km | 185 | 191 | 148 |
| 21 | 3'42"/km | 186 | 192 | 149 |
※データはCOROS計測による。ペース変動±4秒以内で安定しており、ピッチ・ストライドとも終盤にかけて自然に向上している。
ペース変動は±4秒以内と理想的な安定感。
まさに「無理せず速く走る=効率走」の完成形でした。
攻めずに余裕を残すこの感覚が、フル後半での粘りを支える最大の武器になるんです。
③ 【ハーフ1時間22分】データが語る“効率走”とフォームの完成度
りんごちゃん
でも、本当に“出し切ってない”の?信じられないよ〜!
バナナぴろし
心拍やピッチ、ラン効率まで、成熟度の高い走りがデータに表れてたんだよ。
りんごちゃん
たとえば何を見れば「いい走り」ってわかるの?
バナナぴろし
「頑張ってるのに楽」って感じた理由も、その数字に全部つながってたんだ。
じゃあ実際のデータを見ながら、今回の走りがどれだけ“成熟”してたのか、詳しく話していこうか。
数値が示す「効率と安定」の完璧なバランス
今回の足利尊氏マラソン(ハーフ)では、データ的にも極めて安定した走りを実現できました。
以下の主要数値が、その再現性の高さと成熟度を裏付けています。
- 距離:21.1km
- タイム:1時間22分06秒(平均ペース 3’53/km)
- 平均心拍:179bpm(閾値心拍+3〜4)
- トレーニング効果:有酸素 4.4/無酸素 4.0
- ランニング効率:118%(過去最高値)
- 平均ピッチ:187〜190spm
- 平均ストライド:1.45〜1.50m
一見すると心拍179bpmは高めですが、実際の体感は「LT(乳酸閾値)+3bpm程度」。
呼吸は落ち着いており、練習時の175bpmよりも明らかに楽に感じました。
これは、トレーニングによる乳酸代謝能力の向上と、エネルギー効率の改善が要因です。
同じ心拍でも酸素供給量と脂質代謝の割合が上がり、乳酸の蓄積が遅くなっています。
つまり、数値上の負荷よりも“身体の反応”が明らかに軽く、省エネ走行が成立していたということ。
レースではアドレナリン効果で主観的疲労が下がる傾向がありますが、
今回はそれ以上に、心肺・筋出力・集中の三拍子が完全に噛み合った感覚がありました。
データが証明する“走りの完成度”
ペース変動は±4秒以内で、1kmごとのリズムがほぼ一定。
有酸素TE4.4/無酸素TE4.0という結果も、出力を限界近くでコントロールしていた証拠です。
無理のない範囲でVO₂maxを引き出し、フォームの安定と効率走行を両立できました。
まさに「効率走のピーク」。
トレーニングと回復のリズムが完全に噛み合い、
「呼吸」「脚」「リズム」が理想的に同期していました。
ピッチ187〜190spm・ストライド1.45mという数値も理想的。
シューズ(アルファフライ3)の反発を過剰に頼らず、自分の出力で地面を押し出すフォームを維持できた結果です。
このような「数字が揃っている状態」は、単に速いだけでなく、走りが完成された証拠。
つまり、“調整段階のハーフ”でありながら、フルマラソン本番へ直結する実戦データとなりました。
バナナぴろし
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年齢を重ねて「楽に走れる」理由
「心拍は高いのに苦しくない」「以前より楽に感じた」——
この感覚は、衰えではなく経験値がもたらす身体の省エネ化です。
長年のトレーニングによって筋肉の酸化酵素活性が高まり、
同じ強度でも脂質代謝の比率が上昇。
その結果、乳酸の蓄積が遅く、心拍が上がっても呼吸は安定します。
つまり、“苦しさを感じにくい身体”へ進化しているということ。
これは年齢による衰えではなく、積み重ねた走歴が作り出す熟練の効率走です。
今回の足利ハーフは、まさに「経験=最強の武器」を実感できたレース。
速さを追い求めるよりも、安定と効率を極めた“成熟した走り”が、データで証明されました。
なぜ“効率走”ができるのか?——日々の積み重ねが鍵
今回の足利ハーフで実感した「省エネで速く走る」感覚は、偶然ではありません。
日々の練習の中で、スピード・持久・フォームのバランスを整えてきた結果です。
どんな練習をしているのか、もう少し詳しく知りたい方のために、
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これらの理論とトレーニングを積み重ねることで、「楽に速く走る」感覚を再現できるようになります。
バナナぴろし
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④ つくばマラソンへの布石:今期ピークへの手応え
りんごちゃん
次はもうフルマラソン!?
やっぱり全然ちがうの?
バナナぴろし
ハーフとは走り方も戦略も全然違うからね、余裕を残して終えられた足利がすごく大事な布石になったんだ。
りんごちゃん
“余力が残ったかどうか”がそんなに大事なんだ!
フルって奥が深いねぇ〜!
バナナぴろし
足利で得た「安定感」と「走力の余白」は、つくばの本番を成功させるカギになるんだ。
ここからは、どうやってピークに持っていくかを整理してみよう!
足利で見えた“完成度”と、つくばで狙う次の一段階
今回の足利尊氏マラソン(ハーフ)は、単なる好走ではなく、つくばマラソンへ向けた理想的な前哨戦でした。
無理をせず、余裕を持って走り切れたことで、現時点での走力・心肺・フォームの完成度を明確に把握できたのが最大の収穫です。
データ的にも、4’00/kmペースを20km以上維持できる有酸素能力が確立。
フルマラソンの目標ペース(4’07〜4’08/km)では、心拍LT−5〜−8bpmの“余裕ゾーン”で走れる見通しです。
つまり、つくばでは2時間54分前後が明確に射程圏に入っています。
足利で得た3つの強みを整理すると、次の通りです。
-
① ペース安定性:
全区間±4秒以内の安定したリズムを維持。
フル後半でも崩れない“走りの基礎”が確立。 -
② 筋持久力:
脚の攣りを抑え、最後に自然と上げられた。
補給とエネルギー管理の成功が背景にある。 -
③ 心拍コントロール:
高心拍でも呼吸が安定し、有酸素効率と集中力が持続。
精神的にも“攻めずに粘る”走りを再現できた。
この3点がそろえば、フルマラソンでは後半に崩れない安定型レースを再現できます。
足利で得た「心拍と脚の両バランス感覚」は、つくばの本番へ向けた完璧な布石となりました。
次戦と本命に向けた戦略
次のレースは流山10km。目標は37分前半(3’43〜3’44/km)です。
ここでスピード刺激を入れ、つくばマラソン前の最終仕上げとする予定。
その後は疲労を抜きながら、4’05〜4’10/kmのフルペース走を身体に染み込ませていきます。
現時点でスピード持久・筋持久ともに高水準にあり、あとはコンディションの微調整段階。
レース直前期は、回復>追い込みを優先し、エネルギー最大化と睡眠リズムの最適化に注力していきます。
“無理せず、確実に”を合言葉に
足利で見えた走りの成熟度は、まさに今シーズンの集大成でした。
速さを求める段階を越え、今は「効率」で勝負するフェーズに入っています。
フルマラソンで鍵となるのは、ラスト10kmをどれだけ余裕を持って走れるか。
足利で体感した「余裕を残して終える感覚」を再現できれば、目標タイム達成は確実です。
そして何より、このレースが教えてくれたのは“楽しむ余裕”が速さを支えるということ。
仮装ランナーとして笑顔でスタートし、理想のペースで走り切れたことが、心のゆとりと強さを象徴していました。
つくばマラソンでは、冷静に、淡々と、そして楽しむように走る。
その先に、今シーズンのピークが待っています。







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