ここでの判断が、100kmの後半をまるごと決めます。
りんごちゃん
100kmのレースまであと1ヶ月なんですけど……不安なので、今からもっと走り込んだほうがいいですよね?
バナナぴろし
その気持ち、痛いほどわかる。俺も初ウルトラの直前1ヶ月で不安に負けて距離を増やしたんだ。結果は60km地点で脚が終了。走り込みが足りなかったんじゃなくて、疲労を抜けていなかっただけだったんだよ。
りんごちゃん
えっ、頑張ったことが裏目に……。じゃあ最後の1ヶ月って、何をすればいいんですか?
ナップル博士
最後の1ヶ月は「積む」時期ではなく「抜く」時期じゃ。目安は前月より50kmほど落とすこと。距離を削った分を質と回復に回す——これが最終調整の骨格なのじゃよ。
ナップル博士
今日は初心者・中級者・上級者のレベル別に、月間走行距離の目安・疲労抜きの方法・故障のサイン・カーボローディングの是非まで、わしが順に解説していこう。
とくにレース1ヶ月前の過ごし方は、当日の後半をまるごと左右します。ここで距離を追いすぎると疲労を抱えたままスタートラインに立つことになり、逆に何もしなければ動きの感覚が鈍ります。
この記事では、レベル別の走行距離の目安・疲労の抜き方・故障のサイン・ギアと補給の事前チェック・カーボローディングの考え方を、実体験をもとに解説します。
レース1ヶ月前の大原則|積むのではなく抜く
でも、この時期にやるべきことは逆です。これまで積み上げた練習の成果を、当日に出せる状態に整えること。それだけです。
距離を落とし、質を残す
練習量をそのまま維持しようとすると、疲労が抜けないままレース当日を迎えます。距離は減らす。ただし強度は完全には落とさない——これが基本です。
ペース走やインターバル走を短い時間だけ残しておくと、脚のキレとスピード感を保ったまま疲労だけを抜けます。長い距離をだらだら踏むより、はるかに効率的です。
ウェアと補給食は必ず本番前に試す
ウルトラでは、フルなら気にならない小さな違和感が致命傷になります。・ウェアの縫い目やリュックのベルトによる擦れ
・腰ポーチの揺れ
・補給食が胃に合うかどうか
10時間近く動き続けると、これらは確実に表面化します。本番で初めて使うものを作らないこと。ここは徹底してください。
10kmごとのタイムテーブルを作っておく
ウルトラは距離が長いぶん、感覚だけで走ると必ずペースが乱れます。10kmごとの通過予定を紙に落としておくと、崩れの兆候に早く気づけます。後半の失速は避けられないので、50〜60km以降は10kmごとに5〜10分落ちる前提で組むのが現実的です。
最初から「落ちる」と決めて計画しておけば、実際に落ちてきたときに焦らずに済みます。
りんごちゃん
落ちる前提で計画するんですね。ちょっと後ろ向きな気もしますけど……
バナナぴろし
逆だよ。落ちる前提がないと、想定どおりの失速でも「終わった」と感じてメンタルから崩れる。計画どおりに落ちていると分かっていれば、まだ戦えるんだ。
初挑戦者|完走を確実にする最後の1ヶ月
月間走行距離の目安は200〜250km、そこから50km落とす
ウルトラ100kmに向けた練習量は、月間200〜250kmが一つの目安です。そしてレース前月は、そこから50kmほど減らします。
もちろんこれは平均的な目安であって、体調や仕事の状況次第で上下します。大事なのは絶対値ではなく、前の月より確実に減らすという方向性です。
この4つが出たら、迷わず距離を落とす
最後の1ヶ月で最も怖いのは、故障で走れなくなることです。次のサインが出たら、練習より回復を優先してください。・足底腱膜炎……起床後の一歩目で踵が痛む
・シンスプリント……すねの内側が広い範囲で痛む
・アキレス腱炎……腱が腫れる・朝にこわばる
・腸脛靭帯炎……膝の外側が走るほど痛む
どれも「使いすぎ」で起きる、ランナーの定番トラブルです。練習後のアイシングで炎症を抑え、痛みが引かないなら専門医に診てもらってください。
1ヶ月前の時点で無理をして得られるものは、ほとんどありません。逆に失うものは、スタートラインそのものです。
ギアは「擦れない程度にタイト」が正解
ウルトラでは補給食と水を自分で持って走る時間が長くなります。荷物が揺れるとフォームが崩れ、余計な体力を削られます。リュックやポーチは擦れない範囲でタイトに装着するのがコツです。シューズとソックスも、必ず長時間履いて試しておきましょう。
りんごちゃん
痛みが出たら休む……わかってはいるんですけど、直前だとつい走っちゃいそうです。
ナップル博士
よいか、直前1ヶ月で走力はほとんど伸びぬ。伸びるのは疲労だけじゃ。ここで休んで失うものより、故障して出られなくなる損のほうが、比べものにならんほど大きいのじゃよ。
中級者|10時間切りを目指す調整と疲労抜き
月間250〜300km、やはり前月比マイナス50km
この層の目安は月間250〜300km。ここでも考え方は同じで、レース前月は約50km減らして疲労管理に振ります。距離を踏める人ほど「減らすと不安」になりますが、10時間切りを外す原因の多くは走力不足ではなく疲労の残し過ぎです。
経験者ほど、故障の再発に注意する
ある程度走ってきた人なら、足底腱膜炎・シンスプリント・アキレス腱炎・腸脛靭帯炎のどれかは経験しているはずです。これらはケアを怠ると再発しやすいのが厄介なところ。練習直後のアイシングを習慣にしておくと、炎症を抑えて回復が早まります。
「脚が重い」ときこそインターバル走
距離を落としたのに身体が重い。ジョグばかりで脚の感覚が鈍い。この時期によくある状態です。そんなときは、レース1週間前に1km × 3〜5本のインターバルを入れてみてください。
全力で追い込む必要はまったくありません。8〜9割の力で十分です。疲労抜きジョグで鈍くなった脚にスピード感が戻り、動きが軽くなります。
「最後の1週間に刺激を入れる」——これは私が毎回やっている、効果を実感している調整です。
りんごちゃん
レース1週間前に速く走って大丈夫なんですか?疲れが残りそうで怖いです。
バナナぴろし
短い距離を数本だけだから、疲労はほとんど残らないよ。むしろジョグだけで1ヶ月過ごすと、脚が眠ったまま本番を迎える。刺激を入れておくと、当日の入りがまるで違うんだ。
上級者|9時間切りとカーボローディングの是非
月間300〜350km、それでもマイナス50km
この層の目安は月間300〜350km。走力が高くても原則は変わらず、前月から50kmほど落として質を保ちながら回復に寄せます。練習量が多い人ほど疲労の絶対量も大きいので、抜く作業はむしろシビアになります。
ウルトラでカーボローディングは必須ではない
タイムを詰める段階になると、多くの人がカーボローディングを検討します。レース前に炭水化物を多く摂り、グリコーゲンを蓄えておく手法です。ただ、ウルトラマラソンでは必須ではありません。理由は2つあります。
・エイドステーションが充実しており、走りながら補給し続けられる
・9時間切りを狙う層は脂質代謝能力が高く、脂肪をエネルギーとして使える
つまり、フルマラソンのように「蓄えて逃げ切る」必要がないのです。こまめな補給のほうが、胃の負担も少なく安定します。
やるなら前夜と当日朝、消化のよいものを
それでも取り入れたい場合は、大がかりにやる必要はありません。レース前夜と当日の朝食に、消化のよい炭水化物を少し多めに——それで十分です。お粥、うどん、バナナあたりが扱いやすくおすすめです。
ナップル博士
カーボローディングは万能薬ではない。胃腸に慣れぬものを詰め込めば、かえって当日に不調を招く。ウルトラではエイドを味方につけるほうが、よほど確実なのじゃ。
まとめ|最後の1ヶ月は我慢が最大の武器
ウルトラマラソン100kmの最終調整は、レベルが変わっても本質は同じです。・初挑戦……月間200〜250km → 前月比マイナス50km、完走最優先
・中級者……月間250〜300km → 同マイナス50km、1週間前に1km×3〜5本
・上級者……月間300〜350km → 同マイナス50km、カーボローディングは任意
どのレベルでも共通しているのは、前月より距離を落とすという一点です。
そして最後の1ヶ月にやるべきことは、走ることよりむしろ——
痛みのサインを見逃さないこと。ウェアとギアを本番前に試しきること。10kmごとの計画を持っておくこと。
不安だからもう1本走る、をこらえられるかどうか。最後の1ヶ月は、我慢がいちばんの武器になります。
りんごちゃん
不安だから走る、じゃなくて、不安でも我慢するんですね。距離を減らす勇気、持ってみます!
バナナぴろし
それでいい。ここまで積んできた練習は、逃げない。あとはそれを出せる身体にして当日を迎えるだけ。いいレースになるよ🍌
ナップル博士
うむ。調整とは、鍛えることではなく、出せる状態に戻すことじゃ。100kmの先にあるゴールで、笑って会おうぞ🍍
バナナぴろし
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走力は足りているのに本番だけ噛み合わない。その原因はペース配分・補給・コース・メンタルの設計にあります。フル攻略の全体像を解説しました。
バナナぴろし
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