シンプルなのに本番予測に使えるのがヤッソ800です。
りんごちゃん
バナナぴろし
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ナップル博士
ナップル博士マラソン練習で誰もが抱くこの不安に、ざっくり答えをくれるのがヤッソ800です。
この記事では、ヤッソ800の仕組みとペース早見表(サブ5〜サブエガ)、本数とレストの決め方、そして予測が当たる人・外れる人の特徴までをまとめました。
あわせて、日本語のネット記事でほぼ必ず「400mジョグ」と書かれているレストについて、原典ではどう決められているのかも整理しています。
バナナぴろし
ヤッソ800は「インターバル走の一種」です。そもそもインターバル走とは何を鍛える練習なのか、ペース・本数・レストをどう決めるのか——土台になる考え方はこちらにまとめています。
・ヤッソ800の効果は何ですか?
・ヤッソ800は何本走りますか?
・ヤッソ800の計算方法は?
・レストは400mジョグと「走った時間と同じ」、どちらが正しいですか?
・ヤッソ800がきつくて10本つぶれました。実力不足でしょうか?
【結論】ヤッソ800とは?目標タイムを800mに置き換える練習
ヤッソ800とは、800mのインターバルを、目標フルマラソンタイムと同じ「分・秒」で走る練習です。時計の読み方を、時間から分秒へ「読み替える」と考えると分かりやすいと思います。
たとえば——
- 目標がサブ4(3時間59分)なら、800mを3分59秒
- 目標がサブ3.5(3時間30分)なら、800mを3分30秒
- 目標がサブ3(2時間59分)なら、800mを2分59秒
これをつなぎのジョグをはさみながら10本こなせるようになれば、「その目標タイムで完走できる走力がついてきた」とざっくり判断できる、というものです。
ポイントは、これが練習であると同時に「測定」でもあること。ふつうの練習は「やった/やらなかった」で終わりますが、ヤッソ800はやった結果がそのまま目標達成度の目安になります。だからこそ市民ランナーの間で長く使われてきました。
ナップル博士ヤッソ800のペース早見表|サブ5〜サブエガの設定一覧
自分の目標に合わせて、800mのタイムとつなぎジョグを確認しましょう。「キロ換算」の列は、その800mがキロ何分ペースにあたるかを示しています。この表で気づいてほしいのが、キロ換算がレースペースよりかなり速いという点です。
たとえばサブ4を狙う人のレースペースはキロ5分40秒前後ですが、ヤッソ800ではキロ4分59秒で走ることになります。40秒以上速いわけです。
つまりヤッソ800は「本番のペースを練習する」ものではありません。本番よりずっと速いペースで心肺に負荷をかけ、その処理能力を測る練習です。ここを取り違えると、次の章以降の話がすべてズレてしまいます。
10本そろえて初めて完成です。最初の数本だけ速くても意味はありません。「最後の2本も最初と同じペースで押せるか」が、本番の後半に直結します。
バナナぴろし
りんごちゃんレストは「400mジョグ」?「走った時間と同じ」?2つの流儀
ヤッソ800を調べていると、必ずぶつかるのがこれです。- ①「走った時間と同じだけジョグ」……3分30秒で走ったら、3分30秒ジョグ
- ②「400mジョグ」……800m走ったら、400mをジョグでつなぐ
日本語で書かれた記事や動画の多くは②の「800m疾走+400mジョグ×10本」という説明を採用しています。一方で、本記事が採っているのは①です。
どちらが正しいのか——結論から書きます。
②が間違いというわけではありません。400mトラックを1周ジョグすれば次の800mに入れる、というのは実務的でとても分かりやすい。定着したのには理由があります。
ただし、2つは同じ練習ではありません。どれくらい違うのか、数字で見てみましょう。
実際どれくらい違う?レスト時間の比較
表のとおり、②400mジョグのほうが、どの目標でもレストが短くなります。つまり②のほうが負荷は高い。
そして注目してほしいのが、目標タイムが遅い人ほど差が大きくなることです。サブ3の人で35秒差ですが、サブ4の人では約1分、サブ5の人では約1分35秒も違います。
結局どちらを選べばいいのか
実用的な結論はこうです。- 予測の目安として使いたいなら①(走った時間と同じ)。「10本そろえば目標タイムに届く」という話は、そもそも①を前提に語られてきたものだからです
- ②400mジョグで10本そろったなら、①よりきつい条件をクリアしたということ。手応えとしてはむしろ堅いと考えていいでしょう
- 逆に、②でつぶれても即「実力不足」とは限りません。レストが原典より短かっただけかもしれません。判断に迷ったら①で測り直してみてください
はじめて取り組むなら、まずは①の「走った時間と同じ」から。そのうえで余裕が出てきたら400m版に移る、という順番が分かりやすいと思います。
いずれの流儀でも共通する絶対のルールは「止まらない・歩かない」こと。ここでベンチに座って完全に休んでしまうと、負荷が大きく下がって予測が甘く出ます。
りんごちゃん
ナップル博士ヤッソ800の正しいやり方|4本から10本へ増やす手順
設定が決まったら、あとは積み上げるだけです。ヤッソ800でつまずく人の大半は「いきなり10本に挑んで玉砕する」パターンなので、増やし方を先に決めておきましょう。①ペースを決める
目標フルタイムの「時間:分」を、そのまま「分:秒」に置き換えます。(例:目標3時間10分 → 800mを3分10秒)ここで背伸びをしないこと。「いつか出したいタイム」ではなく「今シーズン現実的に狙うタイム」で設定します。速すぎる設定は、最初の3本で破綻します。
②本数は「4本→10本」へ少しずつ
最初は4〜6本から。週1回のポイント練習として、1回につき1〜2本ずつ増やしていきます。数週間かけて10本に届けば十分です。増やす条件はシンプルで、「最後の1本を、1本目と同じペースで押せたか」。押せたなら次回1本増やす、崩れたなら同じ本数でもう一度。これだけで無理なく積み上がります。
③つなぎは止まらず、歩かない
前章で選んだ流儀(走った時間と同じ/400mジョグ)でつなぎます。ここで完全に休むと、練習の性質そのものが変わってしまいます。息が上がって「歩きたい」と思ったら、それはペース設定が速すぎるサインです。本数ではなくペースを見直してください。
④前後のアップ・ダウンを省かない
ヤッソ800は本番より速いペースで走る高強度練習です。前後に15〜20分ずつのジョグを必ず入れてください。いきなり1本目に入るのは故障の近道です。
りんごちゃん
バナナぴろしヤッソ800はきつい?デメリットと向き・不向き
正直に書くと、ヤッソ800はきついです。本番より40秒以上速いペースを10本ですから、当然といえば当然です。そのうえで、この練習には知っておくべき弱点もあります。
とくに3つ目は誤解されがちです。ヤッソ800はある程度の走力がある人ほど当てはまりやすい練習で、目標タイムが4時間半・5時間という段階では、まず走行距離を積むほうが効果的です。この段階でいきなり高強度の800mを10本やっても、得られるものより故障リスクのほうが大きくなります。
逆に言えば、サブ3.5〜サブ3あたりを狙う段階では、ヤッソ800は非常に相性がいい練習です。すでに走り込みの土台があり、あとは心肺を一段引き上げたい——という局面にぴったりはまります。
「きつい」の中身を切り分ける
もうひとつ知っておきたいのが、同じ「きつい」でも中身が違うということです。- 狙いどおりのきつさ……終盤に心拍が上がりきり、それでもペースは保てている
- オーバーペースのきつさ……1〜2本目から心拍が振り切れ、3本目でペースが落ちる
後者だった場合、必要なのは根性ではなく設定の見直しです。体感だけだと両者は区別しづらいのですが、心拍の推移を見ると一目瞭然です。
🍌 「追い込めている」のか「飛ばしすぎ」なのかを分けるもの
ヤッソ800はそもそも心肺を測る練習なので、心拍が見えると精度が上がります。ただし時計の手首センサーは高強度のインターバルで乱れやすいのが弱点で、上がりきる場面ほど数字が信用できなくなります。胸ベルト式にすると、そこが安定します。
もちろん無くてもヤッソ800はできます。主役はあくまでペースで、心拍は「答え合わせ」の道具です。
ナップル博士予測が当たる人・外れる人の違い
ヤッソ800はあくまで目安。同じ10本をクリアしても、本番で当たる人とそうでない人がいます。特に多いのが「スピードはあるけどスタミナ不足」のパターンです。
ヤッソ800は10本クリアできても、30km走やロング走で脚が持たなければ本番は失速します。ここが最大の落とし穴で、「10本そろったのに本番でサブ3.5に届かなかった」という人の多くは、走行距離が足りていません。
ヤッソ800はスピードの指標として使い、距離の練習は別で積む——この役割分担さえ守れば、予測はかなり頼りになります。
ナップル博士ヤッソ800についてよくある質問
ヤッソ800の効果は何ですか?
大きく2つあります。①VO2max(心肺能力)を高めること、②目標タイムへの到達度を測れることです。とくに②が他の練習にはない特徴で、10本そろうかどうかがそのまま「今の走力が目標に近いか」の目安になります。ただし測れるのは心肺の部分だけで、30km以降のスタミナは別途ロング走で作る必要があります。
ヤッソ800は何本走りますか?
完成形は10本です。ただし最初から10本を狙う必要はなく、4〜6本から始めて、週1回のペースで1〜2本ずつ増やしていきます。増やす判断基準は「最後の1本を1本目と同じペースで押せたか」。押せたら次回1本増やし、崩れたら同じ本数でもう一度やります。10本そろうまでに1か月以上かかるのはふつうのことです。
ヤッソ800の計算方法は?
計算というほどのものはなく、目標フルタイムの「時間:分」を、そのまま「分:秒」に読み替えるだけです。目標3時間30分なら800mを3分30秒、目標3時間59分(サブ4)なら3分59秒。単位を時間から分秒に置き換えるのがヤッソ800の考え方です。キロあたりのペースが知りたい場合は「800mのタイム÷0.8」で換算できます(3分59秒ならキロ4分59秒)。
レストは400mジョグと「走った時間と同じ」、どちらが正しいですか?
考案者バート・ヤッソ本人の設定は「走った時間と同じだけジョグ」で、英語圏の解説でも equal-time recovery として一貫して紹介されています。日本で広く定着している「400mジョグ」は、距離で管理できる簡略版です。どちらも間違いではありませんが、400m版のほうがレストが短く、負荷は高くなります(サブ4の設定で約1分の差)。予測の目安として使うなら原典の「同じ時間」を、より追い込みたいなら400m版を選び、毎回同じ流儀にそろえてください。
ヤッソ800がきつくて10本つぶれました。実力不足でしょうか?
必ずしもそうとは限りません。まず疑うべきはペース設定です。1〜2本目からきつく、3本目でペースが落ちるなら設定が速すぎます。「いつか出したいタイム」ではなく「今シーズン現実的に狙うタイム」で組み直してください。次にレストです。400mジョグでやっていた場合、原典よりきつい条件なので、走った時間と同じジョグに変えるだけで最後まで押せることがあります。それでも崩れるなら、本数を減らして積み上げ直しましょう。
ヤッソ800のデメリットはありますか?
4つあります。①レース本番の再現にならない(つなぎで回復するため、止まらず42km走る本番とは性質が違う)、②スタミナを保証しない(測っているのは心肺だけ)、③目標タイムが遅いランナーでは精度が落ちる(勝負どころが心肺より脚と補給になるため)、④高強度で故障リスクがある(週1回が上限)。物差しとして使うぶんには優秀ですが、これ1本で練習を組み立てる種類のメニューではありません。
ガーミンなどのGPSウォッチでヤッソ800はできますか?
できます。多くのランニングウォッチにはインターバル用のワークアウト機能があり、「800m走る→指定時間ジョグ」を10セット登録しておけば、あとは時計の指示どおりに走るだけです。400mトラックが使えない場合は、GPSの距離表示を頼りに周回コースや河川敷でも実施できます(ただしGPSの距離には多少の誤差が出るため、毎回同じコースで測ると比較しやすくなります)。どの機種を選べばいいかは、ランニングウォッチの選び方の記事にまとめています。
まとめ|目標達成の手応えを数字で確かめる
- ヤッソ800=目標フルタイムの「分秒」で800mを走る練習(サブ4なら3分59秒、サブエガなら2分49秒)
- キロ換算するとレースペースより40秒以上速い。本番の再現ではなく心肺の測定
- レストは原典=走った時間と同じジョグ。日本で定着した400mジョグ版はより短く負荷が高い
- 本数は4〜6本から10本へ。「最後の1本を1本目と同じペースで押せたか」で増やす
- デメリットはレース再現にならない・スタミナを保証しないこと。週1回が上限
- 当たるのは「走り込み+正しいレスト+毎回同じ条件」がそろった人
ヤッソ800のいいところは、努力が数字になって返ってくることです。
ただ、俺自身の評価は控えめです。サブスリーを目指していた頃に10本を走り切りましたが、走力が一気に伸びた実感は少なく、スピードとスタミナがはっきり伸びたのは変化走でした(22本のラップを載せたヤッソ800と変化走の実走比較)。
ヤッソ800は、走力を押し上げる主役というより、いまの走力を測る物差しとして使うのがおすすめです。同じ条件で定期的に測って、伸びを確かめてください。
りんごちゃん
ナップル博士
バナナぴろし
ヤッソ800のペースは、ダニエルズ式でいうIペース(インターバル)にあたります。E・T・I・Rの5つのペースをどう使い分けるかが分かると、ヤッソ800を練習全体のどこに置けばいいかが見えてきます。


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