バナナぴろし
りんごちゃん
ナップル博士睡眠時の平均心拍が高い夜は、体が休みきれていない合図のひとつです。お酒・強い練習・フルマラソン・発熱・暑い寝室で上がることが分かっていて、たくさんお酒を飲んだ夜は寝始めの心拍が平均8.7拍、熱は1℃で8.5拍上がったという研究があります。ただ、走り込みの疲れならいつでも上がるとは限りません。大事なのは、他人の数字ではなく、自分のいつもの夜と比べることです。
この記事では、52歳の筆者(バナナぴろし:サブエガ=2時間49分38秒)のスマートリングの記録と、論文の数字を並べて、睡眠中の心拍の見方をまとめます。
- お酒:たくさん飲んだ夜は寝始めの心拍が平均8.7拍高い(Pietilä ほか 2018・4,098人)。多い量では朝まで下がりきらなかった(de Zambotti ほか 2020)
- 強い練習・フル:フルの夜の心拍は、休んだ日の平均130%(Hynynen ほか 2010・10人)
- 疲労:2週間の追い込みでは、夜の心拍に大きな差は出なかった(Nuuttila ほか 2024・24人)。夜の心拍だけで疲労は測れない
- 発熱:体温が1℃上がると心拍は平均8.5拍上がり、寝ていても高いまま(Karjalainen・Viitasalo 1986・27人)
- 見方:他人とは比べない。いつもの自分と比べ、1晩だけで決めない
- 病院へ:胸の痛み・動悸・息苦しさ・めまいがあるときや、理由もなく高い日が何週間も続くとき
・52歳ランナーの「心拍が高い夜」の実際の記録
・睡眠中の心拍はふつうどう動くのか
・お酒・練習・疲労・発熱でどれくらい上がるのか(論文の数字)
・何拍の差を気にすればよいのか
・心拍が高い夜の次の日に気をつけること
・病院を考える目安
筆者の心拍が高い夜|お酒なしでも下がりきらなかった
筆者はスマートリング(RingConn Gen2)をつけて寝ています(レビューはこちら)。2026年11月1日の朝は、心拍のグラフが全体に高くなっていました。10月29日に37.3℃くらいの熱が出て、今は落ち着いているものの、胃もたれが残っている時期です。前の夜はお酒を飲まず、一日ゆっくりしていました。

差は3拍くらいです。それでも、この週は熱が出て、足首の張りもあり、筆者は11月1日のハーフの大会をキャンセルしました。走らないと決めた日のことは日誌に書いています。なお、原因がどれかは1晩のデータからは分かりません。
りんごちゃん
バナナぴろし睡眠中の心拍のふつうの動き|寝ると下がり、夜の間に上下する
眠ると、副交感神経(体を休める神経)がはたらいて、心拍はゆっくりになります。深いノンレム睡眠では落ち着き、レム睡眠(夢を見る眠り)では乱れて上がりやすくなります。だから睡眠中の心拍は、1本の線ではなく、波のように上下します。

市民ランナーの実際の数字があります。Nuuttila ほか(2024)が市民ランナー24人の夜の心拍を記録した表では、ふだんの期間の平均は、寝ている間全体で53.3拍、寝始めが56.0拍、寝終わりが50.7拍でした。ただし、ばらつきはプラスマイナス7拍くらいあります。
つまり、同じように走っている人でも、平均が46の人もいれば60の人もいて、どちらもおかしいわけではありません。これが「他人と比べても意味がない」理由です。
いつ一番低くなるかも、人や夜によって違います。Fudolig ほか(2024)はアメリカの大学生およそ600人の、のべ2万5,000回以上の睡眠をスマートリングで調べました。心拍の線の形は大きく2つに分かれ、違いはいちばん低いところが夜のどのくらいあとに来るかでした。低いところが遅い夜は、深い睡眠とレム睡眠が短く、浅い睡眠が長かったといいます。
大学生の研究なので、そのまま私たちに当てはめることはできません。それでも、平均や最低だけでなく、線の形も見る価値があることは分かります。
睡眠時の心拍が高い夜に、体で起きていること
寝ている間の心拍が高いとき、体は「休む」より「働く」ほうに傾いています。よく言われるのは次の3つです。
どれも、お酒・練習・熱のどれでも起こりえます。心拍のゆらぎの見方はCOROSのHRVの記事にまとめています。
りんごちゃん
ナップル博士原因別|お酒・練習・疲労・発熱でどれくらい上がるか

お酒|量が増えるほど上がり、朝まで下がらない
いちばんはっきりしているのがお酒です。Pietilä ほか(2018)は4,098人のデータで、量が増えるほど寝始めの心拍が上がることを示しました。ふだん運動している人も同じでした。
de Zambotti ほか(2020)は健康な成人を実験室で調べました(26人が参加し、19人が最後まで)。寝る前に、男性なら少ない量で2杯、多い量で4杯のお酒を飲むと、心拍はお酒の入っていない飲み物の夜より、少ない量で約4%、多い量で約14%速くなりました。少ない量は朝には戻りましたが、多い量では一晩中高いままでした。
筆者の記録でも、ふつうの夜の最低が46、お酒を約2リットル飲んだ夜は57でした(お酒の記事)。
強い練習・フルマラソン|その夜は上がる
Hynynen ほか(2010)では、運動している男性10人の夜の心拍が、休んだ日の夜の平均に比べて、ふつうの量の持久走のあとで109%、フルマラソンのあとで130%になりました。休んだ日の夜に50拍の人なら、フルの夜は65拍くらいという計算です。
全力の3000m走でも、Nuuttila ほか(2022)で夜の心拍は前の夜より上がりました。つまり強い練習をした夜に心拍が高いのは、おかしなことではありません。翌日も高ければ、疲れが残っている目安になります。
筆者も、かすみがうらマラソンを走った夜は、お酒なしで最低55までしか下がりませんでした。
疲労|「疲れたら上がる」とは限らない
ここは少し意外でした。Nuuttila ほか(2024)では、市民ランナー24人が、練習の負荷を80%増やして2週間追い込みました。ところが夜の心拍に有意な変化は出ませんでした。そして走力は、3000mのタイムで平均1.3%伸びていました。
2週間の追い込みくらいでは、夜の心拍は素直に上がらないということです。「夜の心拍が低いから疲れていない」とも言えません。筆者は、脚の重さや走ったときの感覚と合わせて見ています。
バナナぴろし
ナップル博士発熱|1℃で8.5拍、寝ていても高い
熱はいちばん分かりやすい原因です。Karjalainen・Viitasalo(1986)は、急な熱の病気になった若い男性27人の心電図を24時間記録しました。熱があるときの平均心拍は84.0拍で、治ったあとは66.5拍。体温が1℃上がると、心拍は平均8.5拍上がり、寝ている間も高いままでした。
熱が下がったあとも、しばらく高いことがあります。ウェアラブルの心拍を追ったRadin ほか(2021)では、新型コロナにかかった234人の安静時の心拍がもとに戻るまで、症状が出てから平均79日かかりました。うち13.7%は、いつもより5拍以上高い状態が133日より長く続きました。これは新型コロナの研究で、ふつうの風邪にそのまま当てはまるわけではありません。
発症の前後に変化が出ることもあります。Hirten ほか(2022)は医療従事者407人のスマートウォッチの心拍のデータから新型コロナの感染を見分ける試みで、感度82%・特異度77%でした。熱が出る前に体の変化が出ることがある、という話ですが、これだけで病気かどうかは分かりません。
暑い寝室|24℃を超えると影響が出はじめる
O'Connor ほか(2025)はオーストラリアの65歳以上47人の夏の寝室を調べました。24℃未満と比べて、心拍が5拍以上上がる見込みは、24〜26℃で1.2倍、26〜28℃で1.9倍、28〜32℃で3.9倍でした。高齢の人を見た観察研究なので、原因と結果までは言えません。夏の朝の数字は、割り引いて見るのがよさそうです。
遅い食事・胃もたれ|はっきりした数字はない
筆者は今回、胃もたれがありました。でも、胃もたれと寝ている間の心拍を調べた、しっかりした研究は見つかりませんでした。遅い夕食についても、Duan ほか(2021)の20人の実験では、寝る1時間前の夕食と5時間前の夕食で、睡眠の段階に大きな差はありませんでした。そこで今回は、「胃もたれのせいで上がった」とは書かないことにします。
何拍の差を気にするか|自分のいつもと比べる
「何拍高ければ異常」という決まった線は、研究でも決まっていません。O'Connor ほかとRadin ほかは、どちらも5拍を目安に使っていました。筆者もここを参考に、ざっくり次のように見ています。
- 1晩だけ高い:まず理由を思い出す(お酒・強い練習・暑さ・寝不足)
- 理由があって高い:その日は強い練習を入れない
- 理由がないのに5拍くらい高い:体調を見る。熱を測る
- 高い日が何日も続く:練習を減らす。体の症状があれば病院へ
- 比べるのは同じ機械どうし:リングとウォッチの数字は比べない
比べる意味があるのは、夜の心拍の再現性が高いからです。Nuuttila ほか(2022)では、同じ軽い練習をした2つの夜の心拍の一致度(ICC)が0.97〜0.98でした。条件が同じなら、ほぼ同じ数字が出るということです。
機械の精度も、夜の平均ならかなり高いようです。指輪型の Oura を心電図と比べたKinnunen ほか(2020)(49人)では、夜の平均心拍の差は平均0.63拍でした。ただし5分ごとの細かい値では一致が下がります。この研究にはメーカーの人が入っていて、筆者の使う RingConn を調べたものでもありません。細かい上下より、1晩全体の傾向を見るのがよいと思います。リング選びの話はスマートリングの記事にまとめています。
りんごちゃん
ナップル博士心拍が高い夜の次の日に気をつけること
- まず熱を測る:体調が悪ければ測る。熱があるうちは走らない
- 思い当たる理由を探す:お酒・強い練習・寝室の暑さ・寝不足
- 強い練習を入れない:その日のインターバルやロング走は別の日に動かす
- 水分をとる:汗やお酒のあとは特に
- 次の夜を整える:お酒を控え、寝室を暑くしない
熱があるときの運動については、微熱と大会の記事で論文を調べました。熱は「首から上か下か」に関係なく、休む合図です。熱があるときの激しい運動は心筋炎(心臓の筋肉の炎症)の心配が言われていて、走っていて胸の痛み・動悸・息苦しさ・めまいがあれば、すぐに止まってください。
筆者は今回、ハーフの大会をキャンセルしました。心拍だけでなく、微熱のあとで、足首も張っていて、練習もできていなかったからです。
🍌 心拍が気になる朝に使っているもの
寝ている間の心拍はスマートリングで見ています。心拍が高い朝は、まず体温を測ると理由を絞りやすくなります。
RingConn スマートリング Gen252,800円 税込
オムロン 電子体温計 けんおんくん MC-6871,780円 税込
病院を考える目安
スマートリングやウォッチは医療機器ではありません。数字で病気は判断できません。次のようなときは、自分で判断せずに病院に相談してください。
- 胸の痛み・胸の圧迫感・動悸・息苦しさ・めまい・気を失いそうになるとき(走っている最中なら、すぐに止まる)
- 思い当たる理由がないのに、寝ているときや安静にしているときの心拍が、何週間も高いまま
- 熱が長引く・だるさが取れない
- いびきがひどい、昼間に強い眠気がある
寝ている間の心拍が高いままのときは、睡眠時無呼吸症候群・甲状腺の病気・不整脈・貧血など、ほかの原因がかくれていることもあると言われています。ランナーだから大丈夫とは言えません。
睡眠時の心拍についてよくある質問
睡眠時の平均心拍はどれくらいがふつうですか?
個人差が大きく、これが正常という1つの数字はありません。市民ランナー24人の研究では、寝ている間の平均が53.3拍で、ばらつきはプラスマイナス7拍くらいでした(Nuuttila ほか 2024)。他人とは比べず、自分のいつもの夜と比べてください。
睡眠時の心拍が高い原因は何ですか?
お酒、強い練習やフルマラソン、発熱、暑い寝室などで上がることが分かっています。多い量のお酒で寝始めの心拍が平均8.7拍、熱で1℃あたり8.5拍上がったという研究があります。ストレスや寝不足でも上がると言われています。
お酒を飲んでいないのに、寝ているときの心拍が高いのはなぜですか?
前の日の強い練習、体調不良や熱、暑い寝室などが考えられます。1晩だけなら、機械の誤差もあります。理由がないのに何日も続くときは体調を確かめ、胸の痛みや動悸があれば病院に相談してください。
熱が下がったのに、睡眠中の心拍が高いのは大丈夫ですか?
熱が下がったあとも、しばらく高いことはあります。新型コロナの研究では、安静時の心拍が戻るまで平均79日かかりました(Radin ほか 2021)。ふつうの風邪とは違いますが、数字が戻るまでは強い練習を急がないほうが安心です。長く続くときや症状があるときは病院に相談してください。
何拍高いと危険ですか?
決まった線はありません。研究では、いつもより5拍以上の差を目安に使っているものがあります。ただ、これは病気の基準ではありません。数字の大きさより、理由があるか、何日続くか、胸の痛みなどの症状があるかを見てください。
睡眠時の心拍が高い日は、走らないほうがいいですか?
熱があるなら走りません。熱がなくて体調もよいなら、強い練習を軽いジョグに替えるくらいが無難だと筆者は考えています。筆者は、熱のあとで足首も張っていたときに、ハーフの大会をキャンセルしました。
まとめ|心拍は自分のいつもと比べる
- 睡眠時の平均心拍が高い夜は、体が休みきれていない合図のひとつ
- お酒は量しだいで寝始めが平均8.7拍高くなる。多い量では朝まで下がりきらない
- フルマラソンの夜は、休んだ日の夜の平均130%。強い練習の夜に上がるのは自然なこと
- 2週間の追い込みでは夜の心拍は変わらなかった。夜の心拍だけで疲労は測れない
- 発熱は1℃で平均8.5拍。寝ていても高い。熱のあとも高いことがある
- 他人と比べず、自分のいつもと比べる。目安は5拍くらい。1晩だけで決めない
- 胸の痛み・動悸・息苦しさ・めまい、理由なく高い日が何週間も続くときは病院へ






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