りんごちゃん
バナナぴろし
りんごちゃん
ナップル博士
ナップル博士怪我・病気・仕事で、ランニングを1か月ほど休まないといけないことがあります。「1か月でどれくらい走力が落ちるのか」「元に戻るまで何週間かかるのか」は、走る人なら誰でも気になるところです。
この記事では、トレーニングをやめたときの体の変化(ディトレーニング)の研究をもとに、1か月休むと何がどれだけ落ちるか、サブ3のランナーならフルマラソンで何分遅くなる計算か、休んでいる間にできること、元に戻すまでの期間と再開の手順をまとめました。最後に、私(フル2時間49分38秒)が怪我明けに一気に戻そうとして、かえって走れなくなった2022年の記録と、今年9月の休み明けの心拍も載せます。
- 1か月休むと、心肺・筋肉の何がどの順に落ちるか
- サブ3・サブエガのランナーが、フルで何分遅くなる計算か
- 休んでいる間の筋トレ・自転車・タンパク質の効果
- 元に戻るまでの期間と、再開するときの練習量の目安
- 焦って一気に戻すと危ない理由と、私の失敗データ
ランニングを1ヶ月休むとどうなる?|落ちる順番
トレーニングをやめて体の適応が失われていくことを、ディトレーニングと呼びます。スペインのムヒカとパディージャは、研究をまとめて4週間までを「短い休み」、それより長いものを「長い休み」と分けました。1か月の休みは、ちょうどその境目にあたります。
落ちるのは、だいたい次の順番です。
※ムヒカとパディージャのまとめ(2000年)、コイルらの研究(1984年)などをもとに筆者が整理。変化の大きさは人や休む前の練習量で変わります。
VO2maxは4〜14%ほど落ちる
4週間までの休みで、VO2maxはおおよそ4〜14%落ちると報告されています(ムヒカとパディージャのまとめ)。よく鍛えた持久系の選手が練習をやめた研究(コイルら)では、最初の3週間でおよそ7%落ちました。鍛えている人ほど、落ちる幅は大きくなりやすいことも知られています。
いちばん早く落ちるのは心臓と血液です。血液の量が減ると、心臓が1回に送り出せる血液が1割前後減り、それを補うために心拍数が上がります。休み明けに「いつものジョグで心拍が高い」と感じるのは、このためです。
落ちにくいもの:筋力
一方で、筋力(最大の力)は4週間くらいではあまり落ちません。筋肉が目に見えて細くなるのも、もっと長く休んだあとです。1か月で大きく落ちるのは、筋肉の量より筋肉の中で酸素を使う仕組み(ミトコンドリアや酵素)のほうで、こちらは数週間で2割ほど減るとされています。
1週間くらいの休みならほぼ影響がないことは、何日走らないと体力は落ちる?1週間の休養と走力低下にまとめています。
りんごちゃん
ナップル博士サブ3のランナーは何分遅くなる?|VO2maxの低下をタイムに換算
VO2maxが何%落ちると、フルマラソンのタイムはどうなるのか。ジャック・ダニエルズの計算式(VDOT)を使って、VO2maxの低下がそのまま走力に出たと仮定した場合のタイムを計算しました。
※ダニエルズの式で、フルのタイムからVDOTを出し(サブ3=約53.5、2時間49分38秒=約57.4)、それを各%下げたときのフルのタイムを筆者が計算。実際には、休み明けの脚の疲れにくさやレース経験も影響するので、目安としてください。
サブ3ちょうどの人なら、1か月の休みで6〜24分遅くなる計算です。真ん中の7%で見ても11分。私のサブエガ(2時間49分38秒)でも、7%落ちるとサブ3を割り込みます。
バナナぴろし
ナップル博士休んでいる間にできること|筋トレ・自転車・タンパク質
走れない理由が「脚の痛み」なら、脚に衝撃をかけない運動で落ち方をかなり小さくできます。ただし、どれも痛みが出ない範囲が前提です。怪我の場合は、医師や理学療法士にどこまで動かしてよいかを確認してください。
自転車・水泳などで心肺を保つ
心臓と血液は、どの運動で心拍を上げたかを区別しません。エアロバイク・水泳・水中ウォーキングなどで心拍をしっかり上げていれば、休んでいる間も血液の量や心肺の力をかなり保てることがわかっています。ランニングで使う脚の筋肉への刺激は足りないので完全ではありませんが、何もしないのとは大きく違います。
自転車はランニングより心拍が上がりにくく、同じきつさでも心拍は5〜10拍ほど低く出ると言われます。ランニングと同じ心拍の数字を目標にすると、きつくなりすぎることがあるので、体感のきつさで合わせるのがコツです。
筋トレで脚と腱を保つ
週1〜2回の筋トレで、筋力はほぼ保てます。ランナーにとってもっと大事なのは、アキレス腱などの腱の硬さ(バネ)を保つことです。走らないと腱にかかる力がなくなり、バネが弱くなります。カーフレイズやスクワットのように、重めの負荷をゆっくりかける種目は、腱のバネを保つのに役立つとされています。
やり方はカーフレイズのやり方と効果とランナーのスクワット・ランジにまとめています。痛めている場所に負荷がかかる種目は、もちろん避けてください。
タンパク質をしっかりとる
動かない期間は、筋肉を作る力が鈍くなります(同化抵抗性)。それを補うために、毎食しっかりタンパク質をとることがすすめられています。1回の食事で20〜40gほどが目安です。走らないからといって食事を減らしすぎると、筋肉が落ちやすくなります。1日の量の目安はランナーのタンパク質は1日何g?に体重別の表を載せています。
「マッスルメモリー」はある
もうひとつ、休んでいる人を安心させる話があります。筋肉は鍛えると、筋肉の細胞の中に「核」が増えます。この核は、休んで筋肉が細くなってもすぐにはなくならないという研究があり、再開したときに一度鍛えた人のほうが早く戻る理由の一つと考えられています(人でどこまで当てはまるかは、まだ研究が続いています)。
りんごちゃん
バナナぴろし🍌 走れない間に体を保つ道具 2つ
家で心拍を上げられるエアロバイク(心拍を測れるもの)と、毎食のタンパク質の足しになるホエイプロテイン。どちらも、痛みが出ない範囲で使うのが前提です。
価格は2026年10月6日時点の楽天市場のものです。
元に戻るまでの期間と再開の手順|最初は3分の1から
元の走力に戻るまでの期間は、体の部分ごとに違います。
よく言われる目安は、「休んだのと同じくらいの期間をかけて戻す」です。1か月休んだなら、元の練習に戻すまでに少なくとも1か月をかけます。

再開の手順の一例
ダニエルズは、休んだ期間が長いほど、再開してしばらくは練習量を普段より大きく落とすようすすめています。1か月前後休んだときの戻し方の一例は、次のとおりです。
※あくまで目安の一例です。怪我からの再開は、痛みの出方を最優先にしてください。
ジョグのペースは、休む前のペースではなく今の体で会話できるペースに合わせます。目標タイム別のジョグの目安はジョグのペースの目安に早見表を載せました。
りんごちゃん
ナップル博士焦って一気に戻すと危ない|心肺は早く、腱はゆっくり戻る
休み明けにいちばん多い失敗が、「失った分を早く取り返そう」と、一気に練習を戻すことです。

前の章のとおり、心臓と血液は再開して数日〜2週間で戻り始めます。息は早い段階で楽になるので、「もう走れる」と感じます。ところが、アキレス腱・足の裏の膜(足底腱膜)・すねの骨などは、血の流れが少なく、負荷に慣れ直すのにずっと時間がかかります。
つまり休み明けは、エンジン(心肺)は戻っているのに、足回り(腱や骨)がまだ戻っていない状態です。ここで距離やスピードを一気に戻すと、息は苦しくないのに、脚の組織が負荷に耐えられなくなります。アキレス腱炎・足底筋膜炎・シンスプリント・疲労骨折が、休み明けに起きやすいのはこのためです。
数週間早く戻そうとして、数か月走れなくなるのでは本末転倒です。疲れが抜けない・朝の心拍が高い・やる気が出ない、といったオーバートレーニングのサインはランニングを休む勇気に、足の裏の痛みは足底筋膜炎とランニングにまとめています。
バナナぴろし
ナップル博士私の怪我明けの記録【実データ】|2022年の失敗と今年9月
私は走れるのに走るのをやめたことは一度もありません。そのかわり、7年で5回、怪我で月の距離が大きく落ちた時期があります(練習量の急増と怪我|7年で5回の怪我の前に何があったか)。そのうち、ほぼ1か月走れなかった2つの時期を、ランニングウォッチの記録(Strava・COROS)で見てみます。
2022年:1か月32kmのあと、70.4kmを走った
2022年は3月に504km走ったあと怪我をして、5月は1か月で32kmしか走れませんでした(部位の記録は残っていません)。怪我の前の4週は、平均で週87km走っていました。

走れるようになった6月、私は最初の週に102km走りました。そのうち6月12日に70.4km(この年いちばん長いラン)です。元の平均の116%。再開の目安(元の33〜50%=週29〜44km)の、2倍以上です。
その翌週から5週間、週の距離は6〜28kmにとどまりました。この間に何があったかの記録は残っていません。ただ、走るのをやめたことのない私が、5週間も週30km未満だったということは、走りたくても走れなかったのだと思います。週40km台に戻ったのは7月下旬、元の量(週80km前後)に近づいたのは8月です。
※Stravaのランの合計を月曜はじまりの週で集計。2022年の1年は2022年の年間総括にまとめています。
りんごちゃん
バナナぴろし2026年9月:休み明けの心拍は18拍高かった
今年は8月に30km走を2回入れたあと、すねと足首を痛め、8月26日〜9月2日の8日間と、9月10日〜20日の11日間はまったく走れませんでした。9月の距離は66.13kmです(2026年9月の月間走行距離)。
11日間のランオフ明け、9月22日に芝生で走った5.01kmは、キロ5分18秒で平均心拍167でした。怪我の前の6〜8月に、キロ5分00秒〜5分30秒で走ったラン(27本)の心拍の真ん中は149です。同じくらいのペースで、心拍が18拍高かったことになります。
※Stravaに同期した記録(4km以上)。9月22日は芝生、朝のラン。路面や気温の違いもあるので、心拍の差がすべて休みのせいとは言い切れません。
1章で書いた「休み明けは、同じペースでも心拍が高くなる」が、そのまま出ていました。翌日にペースを1分落とすと心拍は141まで下がり(ペースを1分落としたら心拍が26下がった)、そこからは様子を見ながら走っています。
ただ、正直に書くと、今年も上げすぎました。9月30日は後半キロ4分40秒まで上げ、10月4日には10kmのテンポ走。翌朝、内くるぶしに痛みが出ています(テンポ走の翌朝、痛みは内くるぶしへ)。2022年と同じことを、小さくくり返しかけていたのだと思います。
ナップル博士
バナナぴろし休み明けは「同じペースで心拍が高い」。心拍の見方と、自分のゾーンの決め方はこちら。
ランニングを休んだあとのよくある質問
ランニングを何日休むと走力が落ちますか?
1週間くらいならほとんど落ちません。2週間を過ぎたあたりから血液の量や心臓の働きが落ち始め、3〜4週間でVO2maxがはっきり下がります。4週間までの休みで、VO2maxはおおよそ4〜14%落ちると報告されています。
1ヶ月ぶりに走るとどうなりますか?
同じペースでも心拍が高くなり、息が上がりやすくなります。筆者は11日間休んだあと、いつもなら心拍149前後のペースで167まで上がりました。最初はペースを落とし、会話できるジョグから始めてください。
1ヶ月休んだら、元に戻るまで何週間かかりますか?
VO2maxは4〜8週間で戻ることが多いとされます。目安は「休んだのと同じくらいの期間をかけて戻す」こと。心肺は数日〜2週間で戻り始めますが、腱や骨はもっと時間がかかるので、走れても量を一気に戻さないのがコツです。
休み明けは何キロから再開すればいいですか?
1か月前後休んだなら、最初の2〜3週は休む前の週の距離の3分の1〜半分が目安です。週60km走っていた人なら、週20〜30km。すべて会話できるジョグにして、スピード練習は元の量に近づいてから戻します。
走れない間の筋トレや自転車に意味はありますか?
あります。週1〜2回の筋トレで筋力と腱のバネはほぼ保てます。エアロバイクや水泳で心拍を上げれば、血液の量や心肺の力もかなり保てます。ただし、痛めている場所に負担がかかる運動は避け、怪我の場合は医師に確認してください。
まとめ|1か月の休みは「取り返す」より「積み直す」
1か月の休みで落ちた走力は、ゼロに戻ったわけではありません。ただ、戻るのが早い心肺に合わせて練習を戻すと、遅い腱や骨が追いつかずに怪我をします。私は2022年にそれをやって、1か月の休みのあとにさらに5週間を失いました。
最初の一歩として、再開する前に「休む前の週の距離」を確かめて、その3分の1を最初の週の上限に決めてください。息が楽でも、最初の2〜3週はその上限を守る。それがいちばんの近道です。
りんごちゃん
ナップル博士レース後の休養と、練習を再開する目安(体・心・神経)はこちら。





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