りんごちゃん
バナナぴろし
ナップル博士なんとなく「高いほうがいい」と思って見ている方が多いのですが、それぞれ意味も、目指すべき値も違います。
この記事では3つの指標を数値の目安つきで整理し、実際に気温29℃・湿度77%の閾値走で「有酸素TE 3.5/無酸素TE 2.0/TL 207」を記録したデータを使って、読み方を具体的に解説します。
バナナぴろし
この記事の実データは「閾値走」という練習で取ったものです。閾値走とは何か、Tペースの決め方ややり方は別記事にまとめています。先にこちらを読むと数値の意味がつかみやすくなります。
・有酸素TEとは何ですか?
・無酸素TEとは?有酸素TEと何が違いますか?
・トレーニング負荷(TL)とは?いくつが目安ですか?
・TEはいくつを目指せばいいですか?
・TE 5.0が出たらどうすればいいですか?
【結論】有酸素TE・無酸素TE・TLの違い
いちばん大事な違いは「TEは点数、TLは量」です。
TEは1回の練習の"効き方"を1.0〜5.0で採点したもので、上限があります。一方TLは"どれだけ体に負担がかかったか"の積算値で、長く走れば増えるし、強く走れば増えます。上限はありません。
だからTEは「今日の練習は狙いどおりだったか」を確認する数字、TLは「今週は積みすぎていないか」を管理する数字——役割がまったく違います。
りんごちゃん有酸素TEとは?数値の目安と読み方
有酸素TE(Aerobic Training Effect)は、その練習が持久力にどれだけ効いたかを示す指標です。長時間動き続ける能力=有酸素的な体力への刺激を評価します。TEの数値ごとの評価
表を見て気づいてほしいのが、5.0は「最高」ではなく「過負荷」だという点です。TEは高ければ高いほど良い数字ではありません。
毎回5.0が出る練習を続ければ、体は回復が追いつかなくなります。日常的に狙うのは2.0〜3.9のあたりで、それより上は「今日は追い込んだ日」と位置づけるのが現実的です。
有酸素TEが上がりやすい練習
- 閾値走(Tペース)……LT値付近を一定時間維持する。有酸素TEを最も効率よく上げやすい
- ロング走……強度は低いが時間が長いぶん積み上がる
- ビルドアップ走……後半にかけて強度が上がるので、終盤にTEが伸びる
逆にゆっくりのジョグを短時間だと、有酸素TEは1点台にとどまります。これは「効果がなかった」というより、回復を目的とした日なら正しい数字です。数字が低い=失敗ではありません。
無酸素TEとは?有酸素TEとの違い
無酸素TE(Anaerobic Training Effect)は、その練習がスピードにどれだけ効いたかを示します。短時間・高強度の刺激——息が上がりきるような領域での動きを評価する指標です。ここでよくある誤解が「無酸素TEが低い=スピード練習をサボっている」というもの。
実際にはジョグや閾値走の日に無酸素TEが低いのは当然です。狙っている刺激が違うのですから、その日の練習の目的に照らして読むのが正しい使い方になります。
逆に「持久力を狙った日なのに無酸素TEだけ高い」という場合は、設定より速く走ってしまったサインです。ここは見直しの材料になります。
ナップル博士トレーニング負荷(TL)とは?TEとの使い分け
TL(Training Load=トレーニング負荷)は、その練習で体にかかったストレスの総量を数値化したものです。「運動量 × 運動強度」という考え方で算出されます。COROSは強度によって計算方法を切り替えている
COROSの解説で興味深いのが、閾値(LT)を境に評価のしかたを変えているという点です。- 閾値ペース未満(ゾーン2〜3)……有酸素運動中心 → 心拍数ベースで強度を評価
- 閾値ペース以上(ゾーン4〜5)……無酸素・高強度領域 → パワーやスピードベースで評価
これは「低強度では心拍が負荷をよく表すが、高強度では心拍が頭打ちになる」という生理学的な特性に基づいた設計です。全力に近い領域では心拍だけ見ても差が出にくいので、出力で見るということですね。
なおTLの考え方のもとになっているのはTRIMP理論(Training Impulse)とされています。1回のセッションが体に与えたストレスを数値化する、という発想です。
TLは「絶対値」より「推移」で見る
TLでいちばん誤解されやすいのが「いくつを目指せばいいのか」という点です。TLに"正解の数値"はありません。走る距離も強度も人によって違うからです。代わりに使うのが、期間ごとの平均の比較です。
この2つを比べることで、「直近だけ急に増えていないか」=オーバートレーニングや休養不足の兆候を早めにつかめます。
1回のTLが207だったこと自体には、あまり意味がありません。大事なのは「先週までと比べてどうか」です。
実例|気温29℃・湿度77%の閾値走で出た数値
ここからは実際の数字で見ていきます。気温29℃・湿度77%という蒸し暑い夜に行った、閾値走+Eペースジョグ+ウィンドスプリント(WS)のビルドアップ練習です。この数値をどう読むか
有酸素TE 3.5は、前掲の表でいう「3.0〜3.9=持久力の向上」のゾーン。閾値走の狙いどおりの数字です。無酸素TE 2.0は「2.0〜2.9=スピードの維持」。最後にWS(流し)を入れたことで、スピードが落ちない程度の刺激は確保できたという読み方になります。
つまりこのセッションは「持久力を伸ばしつつ、スピードは落とさない」という設計が数字に出た形です。閾値走+WSという組み合わせの狙いが、そのままTEに反映されています。
ラップの推移
3km目のキロ4分23秒から、8km目のキロ3分55秒まで段階的に上げています。高温多湿の条件を考えれば上出来で、ペースと心拍の整合も取れていました。
暑い日はTEが高く出やすい
ここが夏場にTEを見るうえでのいちばんの注意点です。暑さの中では、同じペースでも心拍が通常より10〜15bpmほど高くなりやすい傾向があります。TEもTLも心拍を材料にしているため、結果としてTE・TLが高めに出ます。
これは「涼しい日より効果があった」という意味ではありません。同じ練習でも、暑さのぶん体へのストレスが増えているだけ、という場合があります。
夏のTEを春秋の数字とそのまま比べない——これだけ覚えておけば、数字に振り回されずに済みます。
心拍ゾーンの滞在時間で練習の質を見る
TE・TLと並んで見ておきたいのが心拍ゾーンごとの滞在時間です。「狙ったゾーンに、どれだけの時間いられたか」が分かります。閾値走の狙いはLT値(乳酸性作業閾値)付近の心拍域を一定時間キープすることです。今回は閾値ゾーンに約16分滞在できており、狙いは達成できています。
さらに無酸素パワーゾーンにも13分。ビルドアップで後半ペースを上げたぶんと、最後のWSがここに乗った形です。
TEの数字だけ見るより、「どのゾーンに何分いたか」を併せて見るほうが、練習の中身が具体的に分かります。TEが同じ3.5でも、閾値ゾーンで積んだのか、無酸素側で稼いだのかで意味は変わるからです。
りんごちゃんTE・TLについてよくある質問
有酸素TEとは何ですか?
その練習が「持久力」にどれだけ効いたかを1.0〜5.0で示した指標です。長時間動き続ける能力への刺激を評価します。
目安は1.0〜1.9=ほとんど効果なし、2.0〜2.9=維持、3.0〜3.9=向上、4.0〜4.9=著しい向上、5.0=過度な負荷(休息が必要)。
注意したいのは5.0が「最高」ではなく「過負荷」だという点です。高ければ高いほど良い数字ではありません。日常的には2.0〜3.9のあたりを狙い、それ以上は「追い込んだ日」と位置づけるのが現実的です。
無酸素TEとは?有酸素TEと何が違いますか?
無酸素TEは「スピード」への効果、有酸素TEは「持久力」への効果を示します。評価の段階(1.0〜5.0)は共通です。
無酸素TEが上がるのはインターバル走・レペティション・流し(WS)のような短時間・高強度の練習。有酸素TEが上がるのは閾値走・ロング走・ビルドアップ走です。
ジョグや閾値走の日に無酸素TEが低いのは正常です。狙っている刺激が違うだけなので、その日の練習目的に照らして読んでください。逆に「持久力を狙った日なのに無酸素TEだけ高い」ときは、設定より速く走ってしまったサインです。
トレーニング負荷(TL)とは?いくつが目安ですか?
その練習で体にかかったストレスの総量で、「運動量 × 運動強度」から算出されます。TEと違って上限がなく、長く走るほど・強く走るほど増えます。
「いくつが目安」という正解値はありません。走る距離も強度も人によって違うからです。代わりに期間の平均で比較します。負荷インパクト(直近7日間の平均TL)=疲労の蓄積度、ベースフィットネス(直近42日間の平均TL)=フィットネスの安定性。この2つを比べて「直近だけ急に増えていないか」を見るのが本来の使い方です。1回の数字より推移で見てください。
TEはいくつを目指せばいいですか?
その日の練習の目的によります。「毎回高い数字を出す」ことを目標にすると、確実に故障か燃え尽きに向かいます。
目安としては、回復走・つなぎのジョグなら1.0〜2.0台で正常。閾値走やロング走など質を上げた日で3.0台。4.0以上が出たら、翌日以降にしっかり休養を入れる——という組み立てが現実的です。
TEは「今日の練習は狙いどおりだったか」を答え合わせする数字であって、競うための点数ではありません。
TE 5.0が出たらどうすればいいですか?
5.0は「過度な負荷(休息が必要)」という評価です。良い数字ではないので、その後の数日は強度を落として回復にあててください。
ときどき5.0が出るのは問題ありませんが、連続して出る場合は練習設計を見直すサインです。回復が追いつかないまま積み上げても、フィットネスは伸びません。
あわせて負荷インパクト(直近7日平均TL)も確認し、直近だけ急に跳ね上がっていないかを見ると判断しやすくなります。
COROSとガーミンでTEの数値は同じですか?
厳密に同じとは言えません。ガーミンのTEはFirstbeat Analyticsによる算出で、評価の分類(1.0〜5.0の5段階)が公開されています。一方COROSはTEの詳細な計算ロジックを公開していません。
考え方は類似しているとされますが、これはユーザーフォーラム等での考察を含む推測であり、メーカーが同一性を保証しているわけではありません。
実用上は機種をまたいで数値を比べないのが安全です。同じ時計の中で、自分の過去の練習と比べてください。
暑い日はTEが高く出ますか?
高く出やすいです。暑さの中では同じペースでも心拍が通常より10〜15bpmほど高くなりやすい傾向があり、TE・TLはどちらも心拍を材料にしているためです。
ただしこれは「涼しい日より効果があった」という意味ではありません。暑さのぶん体へのストレスが増えているだけ、という場合があります。
したがって夏の数字を春秋とそのまま比較しないこと。夏場は数字を追うより、ペースを落としてでも狙ったゾーンに収めるほうが、結果的に良い練習になります。
まとめ|TEは効果、TLは負荷
- 有酸素TE=持久力への効果、無酸素TE=スピードへの効果。どちらも1.0〜5.0
- 目安は2.0台=維持/3.0台=向上/5.0=過負荷。5.0は「最高」ではない
- TL=体にかかったストレスの総量。上限がなく、絶対値より推移で見る
- TLは直近7日平均(疲労)と直近42日平均(フィットネス)の比較で使う
- 数字は「高い・低い」ではなく「その日の狙いどおりか」で読む
- 暑い日はTE・TLが高く出やすい。夏の数字を春秋と直接比べない
実例で見たとおり、閾値走+WSのセッションは有酸素TE 3.5(持久力の向上)/無酸素TE 2.0(スピードの維持)という数字になりました。「持久力を伸ばしつつスピードは落とさない」という狙いが、そのまま数字に出ています。
TEとTLは、練習を採点するための道具ではなく、狙いと結果を突き合わせるための道具です。この使い方ができると、数字に振り回されずに練習を組めるようになります。
りんごちゃん
ナップル博士
バナナぴろし
TEやTL、心拍ゾーンの滞在時間は、対応したランニングウォッチがないと取れません。ガーミン・COROS・スントの違いと、どこまでの機能が必要かをまとめています。








コメント