ウルトラマラソンでリタイアする理由|低血糖・脱水と「心が折れる」対策

ウルトラマラソンでリタイアする理由|低血糖・脱水と「心が折れる」対策

ウルトラマラソンでリタイアする人の多くは、脚が壊れて止まるわけではない。俺自身、彩湖ウルトラマラソン71kmを61km地点でリタイアしたとき、どこも痛くなかった。脚も動いた。それでも止めた。

「なんか、キツくなった」——理由はそれだけだ。そして今なら分かる。あれは気持ちの問題ではなく、体の問題だった。

この記事では、ウルトラで人が止まる本当の理由と、それを防ぐための補給・水分・塩分の設計をまとめる。

※本記事はプロモーション(楽天アフィリエイト等)を含みます。体調に関する記述は一般的な情報であり、症状がある場合は自己判断せず医療機関にご相談ください。

この記事でわかること
・ウルトラのリタイア理由4つと、そのうち脚以外が占める割合
・「心が折れる」の正体は低血糖という話
・毎時どれだけ、どの種類の糖を摂るか
・水分と塩分を体のサインで判断する方法(過多と不足の見分け方)
・脱水・低ナトリウム血症の危険サイン

りんごちゃん りんごちゃん
え、どこも痛くないのにリタイアしたんですか!?

バナナぴろし バナナぴろし
そう。しかも止める理由が次々と湧いてくるんだ。「怪我したら困る」「61kmも走ったし良い練習だ」ってね。あれは自分でも驚いた🍌

ナップル博士 ナップル博士
それこそが低血糖の典型的なサインじゃ。脳の燃料が切れると、人は「やめる理由」を探し始める。意志が弱いのではない、燃料が無いのじゃ🍍

61kmで止めた日|どこも痛くなかった

第19回 戸田・彩湖ウルトラマラソンの71kmにエントリーしたのは、会津磐梯山ウルトラマラソン100kmに向けた練習レースとしてだった。

項目内容
大会第19回 戸田・彩湖ウルトラマラソン(約70km)
コース4.9kmの湖畔を14周(=68.6km)+発着部分の周回コース
特徴周回地点がトラック。自分専用のエイドを置ける
当日の気温晴天。14時には20度超え
設定ペースキロ5'10〜5'15
結果61kmでリタイア

リタイアの瞬間を正直に書く。脚は痛くない。体調も悪くない。ただ「なんかキツくなった」。

そして止める理由が、次から次へと湧いてきた。

・怪我して練習できなくなったら嫌だな
・61km走ったんだから、良い練習になった
・今日は暑いし、無理する日じゃない

どれも、その場では正論に聞こえた。時計のラップを止めて、終わりにした。

家に帰って考えた。ウルトラに弱すぎる。どうしたら完走できるのか——そこから調べて分かったのが、あの「都合の良い言い訳」は意志の問題ではなかったということだ。

戸田・彩湖ウルトラマラソン71kmのレース

この時期、心に刺さった言葉がある。

10kmが速い人がフルマラソンも速いとは限らない。しかしフルマラソンが速い人は10kmも速い。
フルマラソンが速い人がウルトラも速いとは限らない。しかしウルトラが速い人はフルも速い。

これが意味するのは単純だ。ウルトラが遅いのは、走力が足りないからではなく「ウルトラの走り方を知らない」から。距離が伸びるほど、走力より知識と管理の比重が上がる。

りんごちゃん りんごちゃん
走る力より、走り方を知ってるかどうかなんですね。

ウルトラのリタイア理由4つ|脚以外で止まる

ウルトラで完走できない理由を並べると、次の4つに整理できる。

理由中身防げるか
①吐き気・体調不良胃腸がやられ、補給できなくなる補給の設計で防げる
②制限時間に間に合わないペース配分・エイド滞在時間の管理不足事前の計画で防げる
③レース中の故障脚・膝・足裏のトラブル練習量とシューズ次第
④心が折れるやる気が消える。止める理由を探し始めるほぼ補給で防げる

注目すべきは、①と④が「補給」でつながっていることだ。①は摂れなくなること、④は摂れていないことの結果で、どちらも脚とは関係がない。

俺のリタイアは完全に④だった。そして④は「精神力が足りない」で片付けられがちだが、実際には血糖値の問題であることが多い。

バナナぴろし バナナぴろし
成功したほうの記録はこっち🍌
この失敗のあと、会津磐梯山100kmは完走できた。高低差2000mの激闘の記録。

「心が折れる」の正体は低血糖|脳の燃料が切れる

長時間走り続けると、体の糖質が減っていく。血液中のグルコースが正常値を下回った状態が低血糖だ。

ここで重要なのは、脳はグルコースを主なエネルギー源にしているという点だ。だから血糖値が下がると、脚より先に頭のほうが止まる。

血糖値が下がるとランナーに起きること
脳のエネルギーが不足する集中力が落ちる/判断が雑になる
疲労感の感じ方が増幅される同じペースなのに異常にキツく感じる
意欲が保てなくなるやめる理由を探し始める

俺が61kmで感じた「なんかキツくなった」「怪我したら嫌だな」は、まさにこれだ。気合が足りなかったのではなく、脳の燃料が切れていた。

だから対策も精神論ではない。血糖値を落とさないように、先に入れておく——ただそれだけになる。

りんごちゃん りんごちゃん
「気合が足りない」で片付けてたら、次も同じところで止まっちゃいますね……。

ナップル博士 ナップル博士
その通りじゃ。「キツくなってから補給する」では遅い。空腹を感じた時点で、すでに血糖は落ちておるからのう🍍

補給の設計|毎時どれだけ、どの糖を摂るか

量の目安は毎時200kcal前後

スポーツ栄養の一般的な指針では、長時間の運動で摂る糖質は毎時30〜60g(=およそ120〜240kcal)、さらに長い時間なら最大90gまでとされる。俺はこの範囲の真ん中あたり、1時間あたり200kcal前後を目安にしておった。体格やペース、胃腸の強さで適量は変わるので、本番前のロング走で必ず試しておくこと。

そして原則は「空腹を感じる前に入れる」。喉が渇く前に飲むのと同じで、感じてからでは血糖はすでに落ちている。

ウルトラマラソンの補給食

糖には3種類ある|速さと持続が違う

補給で失敗する人は「とりあえずジェル」になっている。だが糖には種類があり、エネルギーが出てくる速さと持続時間が違う。

種類例出てくる速さ役割
単糖類グルコース・フルクトース即効(直接吸収)落ちた血糖をすぐ戻す
二糖類スクロース(砂糖)中速単糖のあとをつなぐ
多糖類デンプンゆっくり・持続血糖の土台を保つ
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🍌 ウルトラの補給設計に組み込みやすい2点
ウルトラでは固形の糖質を切らさず、汗で失う塩分も補うことが止まらないための土台です。片手で食べられる羊羹タイプの補給食と、少量で塩分を補えるサプリを組み合わせると補給の計画を立てやすくなります。
価格は2026年9月18日時点

ここが肝心なところで、単糖類だけを摂り続けるのは失敗する。血糖値が急に上がって急に下がる波(スパイクとクラッシュ)が起きて、そのたびに「急にキツくなる」瞬間が訪れるからだ。

ウルトラで理想的なのは多糖類+二糖類を土台にして、必要な場面で単糖類を足す組み合わせになる。市販のジェルやエネルギーバーの多くは、この組み合わせを想定して作られている。

場面選ぶもの
ずっと切らさないための土台おにぎり・エネルギーバーなど固形の多糖類
血糖が落ちてきた合図があるときジェル(単糖類)で素早く戻す
飲みながら少しずつスポーツドリンク(二糖類中心)

※味と胃腸の相性は個人差が大きいので、本番でいきなり新しい銘柄を使わないこと。必ず練習で試す。

バナナぴろし バナナぴろし
フルマラソンの補給から知りたい人へ🍌
エネルギー消費量とジェルの摂り方、30kmの壁を防ぐ糖質の考え方はこっち。

水分と塩分|体のサインで判断する

長時間走れば、水分と一緒に電解質(特に塩分)も失われる。ここは「足りない」だけでなく「多すぎ」もあるのが難しいところだ。

状態体に出るサイン
水分が多すぎる頻繁にトイレに行きたくなる/手がむくむ
水分が足りない口が乾く/尿量が減る/体温調節がうまくいかない
塩分が多すぎる口が苦く感じる/無性に水が飲みたくなる
塩分が足りない全身のだるさ/集中力の低下(低ナトリウム血症の兆候)

「手がむくむ」と「無性に水が飲みたい」は特に見落としやすい。前者は水を摂りすぎ、後者は塩を摂りすぎのサインで、どちらも「もっと水を飲もう」と判断すると悪化する。

ウルトラマラソンの水分と塩分の管理

危険なサインは覚えておく

ここから先は「パフォーマンスが落ちる」ではなく「危ない」領域になる。

症状
低血糖めまい/頭痛/吐き気/筋肉のこわばり/集中力の低下/体温や脈の上昇
低ナトリウム血症運動能力の障害/めまい/吐き気・嘔吐/意識が遠のく/けいれん/尿が出なくなる

意識が遠のく・けいれん・尿が出ないは、走り続けてはいけないサインだ。記録より優先すべきものがあるので、迷わず救護に行ってほしい。


りんごちゃん りんごちゃん
水をたくさん飲めば安心、って思ってました……。

リタイアしないための当日の組み立て

最後に、当日どう準備するかをまとめる。

やることねらい
補給の時刻を決めておく「キツくなったら」ではなく時間で入れる。感覚は当てにならない
固形とジェルを両方持つ土台(多糖類)と即効(単糖類)を使い分けるため
周回コースなら自分エイドを作る彩湖のように毎周同じ場所で補給できるのは大きな武器
本番の補給食は練習で試す胃腸との相性は個人差が大きい。ぶっつけ本番で吐く人は多い
止めたくなったら先に食べる判断は血糖を戻してから。それでも止めるなら、それは正しい判断

最後の行が、この記事でいちばん伝えたいことだ。「やめたい」と思った瞬間の自分は、正常な判断ができる状態にない。だからまず食べる。飲む。歩いてもいい。それから決める。

俺が61kmで止めたとき、この順番を知らなかった。知っていれば、結果は違ったかもしれない。

ナップル博士 ナップル博士
ウルトラを走り切る脚の作り方はこちらじゃ🍍
補給を整えたら、次は練習じゃ。サブテンに効く60kmロング走のやり方を解説しておるぞ。

ウルトラマラソンのリタイアに関するよくある質問

ウルトラマラソンでリタイアする一番多い理由は何ですか?

本記事では吐き気・体調不良、制限時間、故障、心が折れるの4つに整理しています。このうち「吐き気・体調不良」と「心が折れる」はどちらも補給と結びついており、脚のトラブルではありません。ウルトラは走力より、補給と管理でリタイアが決まると考えた方が対策しやすくなります。

走っている途中で急にやる気がなくなるのはなぜですか?

低血糖の可能性が高いです。脳はグルコースを主なエネルギー源にしているため、血糖値が下がると集中力が落ち、疲労感が強く感じられ、意欲が保てなくなります。筆者が61kmで止めたときも、脚は痛くないのに「やめる理由」ばかりが浮かんできました。精神力の問題として片付けないことが大切です。

ウルトラマラソン中はどれくらい補給すればいいですか?

1時間あたり200kcal前後が一般的な目安とされています。ただし体格・ペース・胃腸の強さで適量は変わるため、本番前のロング走で必ず試してください。また「空腹を感じてから」では遅く、時間を決めて先に入れるのが基本です。

ジェルだけを持っていけば足りますか?

おすすめしません。ジェル中心の単糖類だけだと血糖値が上がって下がる波が起き、そのたびに急にキツくなる瞬間が訪れます。おにぎりやエネルギーバーなど多糖類で土台をつくり、落ちてきた場面でジェルを足す組み合わせが向いています。

水はたくさん飲めば安全ですか?

飲みすぎも危険です。塩分が薄まると低ナトリウム血症になり、だるさや集中力低下、進行すると嘔吐やけいれん、意識が遠のくといった症状が出ます。手がむくむ、トイレが近すぎるといったサインが出たら水分過多を疑ってください。異常を感じたら走行を中止し、救護や医療機関に相談してください。

まとめ|止めたくなったら、まず食べる

・ウルトラのリタイアは脚ではなく、補給と心で起きる
・「心が折れる」の正体は多くの場合低血糖。脳の燃料切れ
・目安は毎時200kcal前後。空腹を感じる前に入れる
・糖は多糖類で土台をつくり、単糖類で戻す。ジェルだけは波が出る
・水分・塩分は過多にも不足にもサインがある。手のむくみ・強い口渇は要注意
・止めたくなったら、まず食べてから決める

ウルトラが速い人はフルも速い。でも逆は成り立たない。その差は走力ではなく、ウルトラの走り方を知っているかどうかだ。知識は、当日いちばん効く装備になる。

りんごちゃん りんごちゃん
「やめたい」と思ったら、まず食べる。覚えました!

バナナぴろし バナナぴろし
もう一つのリタイア体験記🍌
彩湖では35kmで止めた年もある。それでも前に進むまでの話。
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