マラソン後のお酒は回復に悪い?論文と睡眠中の心拍で見るアルコールの影響

※この記事はPR(楽天アフィリエイトを含みます)。
バナナぴろしバナナぴろし
フルマラソンを走り切ったあとのお酒って、最高に美味しいよね! サブスリーを達成した日は、まさに勝利の美酒だった。
りんごちゃんりんごちゃん
わかる! 頑張ったごほうびだもんね。
ナップル博士ナップル博士
ちょっと待つのじゃ。筋肉を作り直している体にとって、アルコールは天敵なのじゃ。
バナナぴろしバナナぴろし
……実は俺も気になってた。スマートリングで寝ているときの心拍を見たら、お酒を飲んだ夜は全然下がってないんだ。

運動のあとのお酒は、筋肉の回復をじゃまします。練習のあとにたくさん飲むと、筋肉を作る速さが落ち(最大で37%)、傷んだ脚の筋力の戻りも遅くなりました。ただし、体重1kgあたり0.5g(体重60kgでビール約750ml)の少ない量では、筋力の戻りに差は出ませんでした。影響は量しだいです。そして、お酒は寝ている間の心拍を上げ、回復の質を下げます。

この記事では、52歳の筆者(バナナぴろし:サブエガ=2時間49分38秒)のスマートリングの記録「フルマラソンの夜」「お酒を2リットル飲んだ夜」「ふつうの夜」の3つを比べ、アルコールと筋肉・走力・睡眠の関係を論文でまとめます。最後に、レースのあとに飲むならどうするかを紹介します。

マラソン後のお酒(結論)
  • 筋肉を作る速さが落ちる:練習のあとに体重1kgあたり1.5gのお酒で、たんぱく質と一緒でも24%、炭水化物と一緒なら37%落ちた(Parr ほか 2014)
  • 傷んだ筋肉の力の戻りが遅れる:体重1kgあたり1gで、36時間後の筋力の低下が大きくなった(Barnes ほか 2010)
  • 少ない量なら差が出なかった:体重1kgあたり0.5gでは、筋力の戻りに差なし(Barnes ほか 2011)
  • 寝ている間の心拍が上がり、回復が減る:4,098人のデータで、たくさん飲んだ夜は寝始めの心拍が平均8.7拍高く、回復の指標が39ポイント下がった(Pietilä ほか 2018)
  • 運動している人でも同じ:ふだん運動している人も、お酒の影響は変わらなかった
  • 筆者の記録:心拍のいちばん低いところ=ふつうの夜は46、お酒2リットルの夜は57
この記事でわかること
・スマートリングで見た「お酒の夜」の心拍と睡眠
・アルコールが筋肉の再生をじゃまする論文
・練習のあとに飲むと走力にどう響くか
・お酒が睡眠と夜の心拍に与える影響
・どのくらいの量なら影響が小さいか(体重別の目安)
・レースのあとに飲むならどうするか

スマートリングで比べた3つの夜|お酒を飲んだ夜は心拍が下がらない

筆者はスマートリング(RingConn Gen2)をつけて寝ています。睡眠中の心拍を、3つの夜で比べました(RingConnのレビュー)。

夜お酒心拍のいちばん低いところ目が覚めていた時間レム睡眠深い睡眠
4月 かすみがうらマラソンを走った夜飲んでいない5558分(12.9%)29.3%55分(12.2%)
8月 夏休み前の飲み会の夜ビールのジョッキ5杯くらい(約2リットル)571時間10分(15.5%)18.9%1時間25分(18.9%)
10月 ふつうの夜(平日)飲んでいない4620分(5.1%)28.2%1時間(15.4%)
※RingConn のアプリの表示。日付はアプリの表示(起きた日)です。心拍は睡眠中の推移のうち、いちばん低かった値。
RingConnアプリの睡眠画面。10月の夜、睡眠中の心拍は最低46まで下がり、覚醒は20分
ふつうの夜(10月)。心拍は46まで下がった。目が覚めていたのは20分。
RingConnアプリの睡眠画面。8月の飲み会の夜、睡眠中の心拍は最低57、覚醒は1時間10分、レム睡眠18.9%
お酒を約2リットル飲んだ夜(8月)。心拍は57までしか下がらず、目が覚めていた時間は1時間10分。
RingConnアプリの睡眠画面。4月のかすみがうらマラソンの夜、睡眠中の心拍は最低55、覚醒58分、睡眠効率79%
かすみがうらマラソンの夜(4月・お酒なし)。心拍は55まで。睡眠効率は79%で「低」。

ふつうの夜は、心拍が46まで下がっています。お酒を約2リットル飲んだ夜は57までしか下がらず、目が覚めていた時間は1時間10分。ふつうの夜の3倍以上です。レム睡眠も18.9%と、3つの夜でいちばん少なくなっています。

おもしろいのは、お酒を飲んでいないフルマラソンの夜も、心拍が55までしか下がらなかったことです。フルを走るだけで、体はその夜も興奮しています。そこにお酒が加わると、回復の夜がさらに削られます。

これは論文でも確かめられています。運動している男性10人の夜の心拍を比べたHynynen ほか(2010)では、フルマラソンの夜の心拍は、休んだ日の夜の平均130%まで上がり、心拍のゆらぎ(体が休めている目安)は大きく減りました。筆者の55と46は約120%で、ほぼ同じ傾向です。

バナナぴろしバナナぴろし
フルの夜にお酒を飲んだら、ダブルで回復が減るってことか……。
りんごちゃんりんごちゃん
お酒の夜は、深い睡眠は長いのに、レム睡眠が少ないんだね。
ナップル博士ナップル博士
それも論文どおりなのじゃ。お酒は寝つきをよくして、夜の前半は深く眠らせる。でも後半は目が覚めやすくなり、レム睡眠が減るのじゃ。

アルコールは筋肉の再生の天敵?|運動後の飲酒の論文

運動のあとにお酒を飲むと、筋肉にどう響くのか。運動のあとに飲んでもらった実験を並べます。

研究飲んだ量分かったこと
Parr ほか(2014):運動している男性8人。筋トレ+自転車(持久系とインターバル)のあと体重1kgあたり1.5g(およそ12杯分)筋肉を作る速さ(筋タンパク合成)が、たんぱく質だけのときよりたんぱく質と一緒でも24%、炭水化物と一緒なら37%低かった
Barnes ほか(2010):脚の筋肉を傷める運動(伸ばしながら力を出す運動)のあと体重1kgあたり1g(ウォッカのオレンジジュース割り)36時間後の筋力の低下が大きくなった(お酒あり 約41〜45%、なし 約26〜32%)
Barnes ほか(2011):同じように筋肉を傷める運動のあと体重1kgあたり0.5g筋力の戻りに差はなかった
※どの研究も人数は少なめです。体重1kgあたり1gは、体重60kgの人で純アルコール60g(ビール約1.5リットル)にあたります。
太ももの筋肉の中の工事現場。作業員が傷ついた筋繊維を積み直しているが、ビールが流れ込んで作業員が酔って座り込み、工事が止まっている
お酒を飲むと、筋肉の「修理工事」が遅れる。

マラソンのあとの脚は、筋肉の小さな傷だらけです。その傷を直すのが、筋肉を作る働き(筋タンパク合成)です。Parr ほかの実験では、たんぱく質をしっかりとっても、たくさんのお酒で筋肉を作る速さが落ちました。「プロテインを飲んだから大丈夫」とはいかないのです。

バナナぴろしバナナぴろし
でも、0.5gなら差がなかったっていうのは、ちょっとホッとする。
ナップル博士ナップル博士
そうじゃ。大事なのは量。ごほうびの1〜2杯と、ジョッキ5杯は、まったく別ものなのじゃ。

しっかり練習したあとのお酒は走力UPに悪影響?

練習で走力が伸びるのは、練習で傷んだ体を、休んでいる間に前より強く作り直すからです。お酒は、その作り直しをいくつもの場所でじゃまします。

じゃまするところ何が起きるか根拠
筋肉の作り直し筋肉を作る速さが落ちる。傷んだ筋肉の力の戻りが遅れるParr 2014・Barnes 2010
睡眠寝ている間の心拍が上がり、体が休む時間(回復)が減る。後半に目が覚めやすく、レム睡眠が減るPietilä 2018・Ebrahim 2013
エネルギーの補給お酒で炭水化物(ごはん・麺)が減ると、筋肉のエネルギー(グリコーゲン)の戻りが遅れる。炭水化物をしっかり食べたうえでのお酒なら、24時間後の差はなかったBurke ほか(2003)
水分アルコール4%の飲み物は、汗で失った水分の戻りを少し遅らせた。2%までの薄いものは、ほとんど影響なしShirreffs・Maughan(1997)

つまり、キツい練習の日の夜にたくさん飲むと、練習で作った「伸びしろ」を、お酒で削ってしまうことになります。週に何回もそれが続けば、同じ練習をしても伸びにくくなります。

バナナぴろしバナナぴろし
だから俺は、キツいトレーニングの後は絶対に飲まないって決めてる。

お酒と睡眠・夜の心拍|4,098人のデータで分かったこと

フィンランドのPietilä ほか(2018)は、ふだんの生活で心拍を記録した4,098人のデータから、お酒を飲んだ夜と飲まない夜の「寝始めの3時間」を比べました。

お酒の量(体重1kgあたり)体重60kgなら寝始めの心拍心拍のゆらぎ(HRV)回復の指標
少ない(0.25gまで)純アルコール15gまで(ビール約375ml)+1.4拍-2.0ms-9.3ポイント
ふつう(0.25〜0.75g)15〜45g(ビール約375ml〜1.1リットル)+4.0拍-5.7ms-24.0ポイント
多い(0.75gより多い)45gより多い(ビール約1.1リットルより多い)+8.7拍-12.9ms-39.2ポイント
※ビールの換算はアルコール5%として計算(純アルコール量=飲んだ量ml×度数×0.8)。

少ない量でも影響は出ていて、量が増えるほど大きくなりました。そして、ふだん運動している人も、運動していない人と同じように影響を受けていました。「鍛えているから平気」とはいかないのです。

睡眠そのものについては、お酒と睡眠の研究をまとめたEbrahim ほか(2013)が、お酒は寝つきを早くし、夜の前半の深い睡眠を増やす一方で、夜の後半は目が覚めやすくなり、量が多いとレム睡眠が減るとしています。筆者の8月の夜(深い睡眠は長いのに、レム睡眠が少なく、目が覚めていた時間が長い)は、まさにこの形でした。

夜の寝室。左はお酒を飲んだバナナぴろしが寝苦しそうに寝返りをうち心臓がドキドキしている。右は飲まなかった夜のバナナぴろしがぐっすり眠っている。指にはスマートリング
同じ7時間でも、お酒の夜は体が休めていない。
バナナぴろしバナナぴろし
約2リットルは、純アルコールにすると約80g。体重60kgなら1kgあたり1.3g。「多い」の組のど真ん中だ……。

どのくらいなら影響が小さい?|体重別の量の目安

論文の量を、ビールの量に直しました(アルコール5%で計算)。

体重1kgあたり体重60kg体重70kg論文で分かったこと
0.5g純アルコール30g(ビール約750ml)35g(約880ml)筋力の戻りに差なし(Barnes 2011)
1g60g(約1.5リットル)70g(約1.75リットル)筋力の低下が大きくなった(Barnes 2010)
1.5g90g(約2.25リットル)105g(約2.6リットル)筋肉を作る速さが24〜37%低下(Parr 2014)

健康のほうから見ると、厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年)は、生活習慣病のリスクを高める量を、1日の純アルコールで男性40g以上、女性20g以上としています。20gは、ビールなら約500ml(中瓶1本)です(厚生労働省)。少ないほどリスクは低い、という考え方です。

レースのあとに飲むなら|回復を削らない5つのコツ

レース・練習のあとに飲むときのコツ
  • 先に水分と食事:汗で失った水分を水やスポーツドリンクで戻し、炭水化物とたんぱく質を先に食べる
  • 量は体重1kgあたり0.5gまでを目安に:体重60kgならビール約750mlまで。論文でここまでは筋力の戻りに差がなかった
  • 寝る直前まで飲まない:お酒の影響は寝始めの数時間の心拍に出る。早めの時間に切り上げる
  • キツい練習の日は飲まない:伸びしろを削らない。飲むのはレースのあと・休みの前に
  • ノンアルコールビールを使う:「乾杯したい」気持ちはノンアルでも満たせる

ノンアルコールビールには、ランナー向けの研究もあります。ミュンヘンマラソンに出た男性ランナー277人を2つに分けたScherr ほか(2012)では、レースの3週間前から2週間後まで、ノンアルコールビールを毎日1〜1.5リットル飲んだ人たちは、レース後2週間のかぜなど(上気道の症状)が3.25分の1で、レース直後の炎症の値も低くなりました。レースの日だけ飲んだ研究ではありませんが、乾杯をノンアルにする理由の一つになります。

とはいえ、何か月も練習してきたレースのあとの1杯は、ランナーにとって特別です。年に数回のレースのあとに楽しむのと、キツい練習のたびに飲むのとでは、走力への響き方がまったく違います。

りんごちゃんりんごちゃん
じゃあ、レースのあとは1〜2杯で乾杯して、あとはノンアルにすればいいんだね!
ナップル博士ナップル博士
それなら筋肉にも睡眠にもやさしい。勝利の美酒は、量を決めて楽しむのじゃ。
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🍌 筆者が使っているリングと、乾杯用のノンアル
睡眠中の心拍はスマートリング RingConn Gen2 で記録しています。お酒を控えたい日の乾杯にはノンアルコールビール。
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52歳の筆者のお酒の付き合い方|キツい練習の後は絶対に飲まない

場面筆者の決まり
平日基本、飲まない
休みの前ちょっとだけ
飲み会たまに(8月の夏休み前の飲み会では、ジョッキ5杯くらい飲んだ)
キツいトレーニングの後絶対に飲まない
レースのあとサブスリーを達成した日は勝利の美酒。初めてフルを走った日は、胃が受け付けなかった
バナナぴろしバナナぴろし
サブスリーの日の1杯は、一生忘れない味だった。初フルの日は、胃が受け付けなくて飲めなかったけどね(笑)。
バナナぴろしバナナぴろし
でも、スマートリングの記録を見て、飲み会の夜の体がどれだけ休めていないかがよく分かった。レースのあとは楽しむ。練習のあとは飲まない。これが俺の答え。

マラソンとお酒についてよくある質問

マラソンのあとにお酒を飲むと、筋肉の回復は遅れますか?

量によります。体重1kgあたり1gのお酒で、傷んだ脚の筋力の低下が大きくなった研究(Barnes ほか 2010)があります。一方、0.5gでは差がありませんでした(Barnes ほか 2011)。体重60kgなら、ビール約750mlまでが一つの目安です。

プロテインを飲めば、お酒の影響は消えますか?

消えません。練習のあとに体重1kgあたり1.5gのお酒を飲んだ実験(Parr ほか 2014)では、たんぱく質と一緒にとっても、筋肉を作る速さが24%落ちました。炭水化物と一緒だと37%落ちました。

お酒を飲むと、寝ている間の心拍はどれくらい上がりますか?

4,098人のデータ(Pietilä ほか 2018)では、寝始めの3時間の心拍が、少ない量で1.4拍、ふつうの量で4.0拍、多い量で8.7拍上がりました。ふだん運動している人も、影響は同じでした。筆者のスマートリングでは、いちばん低い心拍がふつうの夜46、お酒約2リットルの夜57でした。

お酒を飲むとよく眠れる気がするのはなぜですか?

お酒は寝つきを早くし、夜の前半の深い睡眠を増やします。でも夜の後半は目が覚めやすくなり、量が多いとレム睡眠が減ります(Ebrahim ほか 2013)。眠りの質としてはマイナスです。

ビールで水分補給はできますか?

アルコール4%の飲み物は、汗で失った水分の戻りを少し遅らせました。2%までの薄いものはほとんど影響がありませんでした(Shirreffs・Maughan 1997)。ふつうのビールは約5%なので、まずは水やスポーツドリンクで水分を戻してから飲むのがおすすめです。

レースのあとに飲むなら、どうすればいいですか?

先に水分と食事(炭水化物とたんぱく質)をとる、量は体重1kgあたり0.5gまでを目安にする、寝る直前まで飲まない、の3つです。乾杯はノンアルコールビールでもできます。

まとめ|勝利の美酒は「量」を決めて楽しむ

  • 練習のあとのたくさんのお酒で、筋肉を作る速さが24〜37%落ちた(たんぱく質をとっても落ちる)
  • 体重1kgあたり1gで、傷んだ脚の筋力の戻りが遅れた。0.5gでは差がなかった
  • お酒は寝ている間の心拍を上げ、回復を減らす。運動している人でも同じ
  • 筆者のスマートリング:いちばん低い心拍は、ふつうの夜46・お酒約2リットルの夜57・フルの夜55
  • 飲むなら、先に水分と食事・体重1kgあたり0.5gまで・寝る直前まで飲まない
  • 筆者の決まりは「平日は飲まない・キツい練習の後は絶対に飲まない・レースのあとは楽しむ」
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