マラソンのペース配分|イーブンとネガティブスプリットを実ラップで比較

りんごちゃん りんごちゃん
フルマラソンって、前半に貯金を作っておいたほうが後半ラクですよね?

バナナぴろし バナナぴろし
それで何度も痛い目を見たよ。館山では前半20kmをキロ4分04秒〜4分15秒で気持ちよく走って、最後の3kmで崩れてサブスリーまで77秒。貯金はきっちり取り立てられたんだ。

ナップル博士 ナップル博士
フルの前半の貯金は、後半に利子をつけて返すことになるのじゃ。基本は前半を抑えたイーブンペース。今日は実際のラップで確かめるぞ。

フルマラソンの結果は、走力だけでなくペース配分で大きく変わります。同じ力のランナーでも、前半に突っ込むか、抑えて入るかで、ゴールタイムは数分違ってきます。

この記事では、イーブンペース・ネガティブスプリット・前半突っ込みの違いを整理し、筆者の3つのレースの実ラップ(サブエガ達成・サブスリーまで77秒・35km以降に大きく失速)で、失速しない配分を解説します。

この記事でわかること
  • イーブンペース・ネガティブスプリット・前半突っ込みの違い
  • 前半に貯金を作ると失敗しやすい理由
  • サブエガを達成したレースの配分
  • サブスリーを逃した2レースのラップから分かること
  • 区間ごとの考え方と、暑い日・風の日の調整

ペース配分に加えて、補給や30km以降の失速対策まで、フルマラソンの走り方全体はこちらで整理しています。



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3つのペース配分の違い

配分走り方起きやすいこと
イーブンペース最初から最後までほぼ同じペース失速しにくい。目標ペースを守りやすい
ネガティブスプリット後半を前半より少し速く余力が必要。成功すれば記録が出やすいが、狙いすぎると前半が遅すぎる
前半突っ込み(貯金型)前半を目標より速く30km以降に大きく失速しやすい

市民ランナーにとって現実的なのは、イーブンペース、または前半をわずかに抑えた配分です。後半に自然とペースが上がれば、結果としてネガティブスプリットになります。最初から「後半に上げる」ことを狙いすぎる必要はありません

なぜ前半の貯金は失敗しやすいのか

前半を速く入ると、体の糖質を早く使い、脚の疲労も早くたまります。すると後半に1kmあたり数十秒の失速が起きやすく、前半に稼いだ数十秒の貯金をあっという間に失います


実例①|サブエガを達成したレース(2時間49分38秒)

東京チャレンジマラソン(1周10kmの周回コース・ほぼ無風)で、2時間49分38秒を出したときの組み立てです。

区間走り方・判断
スタート〜10km2時間50分のペース集団の後方につき、余裕を持って入る
11〜20kmペース感覚が安定。20km通過時点で体感の残量80%
21〜30km上げる余裕はあったが、向かい風を感じたのであえて上げず、折り返し後に上げると判断
33km折り返し直後にアキレス腱とふくらはぎが攣り、約18秒のロス。股関節で進む走りに切り替えて立て直す
37〜40kmいちばん苦しい3km。ペースを落としたい気持ちと闘う
ラスト2km残りの力を出し切る

ポイントは「上げられるのに上げなかった」判断です。20kmで余力を残し、30km手前でも上げなかったことで、33kmのトラブルがあっても目標を守れました。詳しくはサブエガ達成レースの記事をご覧ください。


実例②|前半が速すぎた館山(3時間1分17秒・サブスリーまで77秒)

館山若潮マラソン(2025年)は、前半が海沿いのフラットで追い風、後半が向かい風のコースでした。

区間ペース心拍起きていたこと
1〜12km4分08秒〜4分15秒154→175bpmペースは一定なのに心拍だけ上がり続けた
15km4分04秒(最速)168bpm下り+追い風で速く走れてしまった
23〜29km4分12秒〜4分21秒171〜176bpmアップダウンで少しずつ落ちる
31km4分35秒176bpm標高+27mの最大の上り
40〜42.195km4分32秒→4分46秒→5分04秒162〜164bpm心拍を上げられないのにペースが落ちた=脚が終わっていた

39kmまではサブスリーのペースを保てていましたが、最後の3kmで崩れ、あと77秒届きませんでした。前半の追い風区間で気持ちよく走った分が、最後の向かい風区間で返ってきた形です。筆者は次に同じコースを走るなら「前半をキロ4分15秒で我慢する」と決めています(館山若潮マラソンの記事)。

バナナぴろし バナナぴろし
ペースが同じなのに12kmで心拍175。今思えば、ここが「速すぎる」のサインだったんだ。


実例③|35km以降に失速したかすみがうら(3時間2分23秒)

かすみがうらマラソン2026は、気温21℃・湿度61%の中でのレースでした。

区間区間ラップ目標(キロ4分12秒)との差
0〜5km21分27秒+27秒
10〜15km20分59秒−1秒
中間点通過1時間29分31秒(通過タイム)
25〜30km20分53秒−7秒
30〜35km21分25秒+25秒
35〜40km23分41秒+2分41秒
40km〜ゴール10分38秒約+1分25秒

ハーフは1時間29分31秒、30kmまではサブスリー圏内でしたが、35〜40kmだけで2分41秒を失い、3時間02分23秒でした。暑さは有力な要因の1つですが、気温だけに原因を断定はできません。筆者は次回、暑い日は序盤を数秒落とす案を持つことにしています(かすみがうらマラソン2026の記事)。


失速しないペース配分の考え方

区間ごとの考え方

区間考え方
0〜5km混雑で遅れても焦らない。目標より数十秒遅い通過でもよい
5〜20km目標ペースに乗せて一定に。ペースが同じなのに心拍が上がり続けるなら速すぎ
20〜30km余力があっても、まだ上げない
30〜35kmここでペースを保てているかがすべて
35km〜ゴール余力があればここで上げる

コースと天気で「目標ペース」を変える

  • 追い風・下りの区間:速く走れてしまうので、あえて抑える
  • 向かい風・上りの区間:1kmあたり数秒〜10秒ほど落ちても受け入れる。取り返そうと踏ん張らない
  • 暑い日:序盤を数秒落とすなど、目標ペースそのものを見直す

5kmごとの通過タイムで確認する

GPSウォッチの距離はずれることがあるので、コースの5kmごとの距離表示で通過タイムを確認すると、ペースの乱れに早く気づけます。

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🍌 ペース配分を守るための2点
レース中にペースと心拍を確認できるGPSウォッチがあると、「ペースは同じなのに心拍が上がり続ける」サインに気づけます。後半に向けて補給のジェルも用意しておきましょう。

マラソンのペース配分に関するよくある質問

フルマラソンは前半に貯金を作ったほうがいいですか?

おすすめしません。前半を速く入ると糖質と脚を早く使い、後半に大きく失速しやすくなります。筆者は館山で前半を速く入り、最後の3kmで崩れてサブスリーまで77秒届きませんでした。

イーブンペースとネガティブスプリットはどちらがいいですか?

市民ランナーにはイーブンペース(または前半をわずかに抑えた配分)が現実的です。後半に自然と上がれば結果的にネガティブスプリットになります。最初から後半に上げることを狙いすぎる必要はありません。

ペースが速すぎるかどうかはどう判断すればいいですか?

ペースが同じなのに心拍が上がり続けるのは、速すぎるサインの1つです。筆者の館山のレースでは、ペースは一定なのに1kmで154だった心拍が12kmで175まで上がっていました。

30kmで余裕があったら上げてもいいですか?

35km以降まで待つのが安全です。筆者はサブエガのレースで、30km手前で上げる余裕がありましたが、向かい風だったため折り返し後まで待ちました。

暑い日はペース配分をどう変えればいいですか?

目標ペースそのものを見直し、序盤を数秒落とすのが基本です。気温21℃のかすみがうらでは35〜40kmで2分41秒失いました。後半で大きく失うより、序盤の数秒を使うほうが結果的に速くなることがあります。


まとめ|前半の我慢が、後半の数分になる

基本前半を抑えたイーブンペース
前半の貯金後半に利子をつけて返すことになる
サブエガの例20km通過で残量80%・30km手前でもあえて上げなかった
館山の失敗前半の追い風で速く入り、最後の3kmで崩れて77秒届かず
かすみがうらの失速気温21℃・35〜40kmで2分41秒のロス
見直すサインペースが同じなのに心拍が上がり続ける

フルマラソンのペース配分は、前半に速く走れる区間ほど我慢することに尽きます。筆者の3つのレースでも、余力を残して入ったレースは目標を達成し、前半に気持ちよく走ったレースは後半に大きく失いました

りんごちゃん りんごちゃん
「追い風の区間ほど抑える」、次のレースで絶対に意識します!

バナナぴろし バナナぴろし
我慢した前半が、ゴールで笑わせてくれるよ。

前半の追い風と後半の向かい風で配分が試される館山若潮マラソン。全区間のラップと攻略はこちらです。



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