30kmの壁の原因と対策を完全解説|乳酸・LT値で後半失速を防ぐ – 第38章(サブスリーまで244日)

30kmの壁の原因と対策を乳酸とLT値から解説するバナナぴろし - サブスリーへの道 第38章
後半に足が止まる「30kmの壁」の正体を、乳酸・LT値・エネルギー理論から完全解説します。

りんごちゃん りんごちゃん
前回ウォークブレイクで失敗したよね。次はどう立て直したの?

バナナぴろし バナナぴろし
本気で「30kmの壁」の正体を調べたんだ。そしたら衝撃の事実が分かった。後半に足が止まるのは、根性不足でも走り込み不足でもなかったんだよ。

りんごちゃん りんごちゃん
えっ、じゃあ何が原因なの?

ナップル博士 ナップル博士
カギは「乳酸閾値(LT値)」じゃ。走るスピードがこのラインを超えると、エネルギーが脂質から糖質中心に切り替わり、蓄えた糖(筋グリコーゲン)が早く尽きる。血中の乳酸が増えるのは、その「糖を速く使い始めた目印」じゃ。乳酸そのものが足を止める犯人ではない――犯人は糖の枯渇のほうじゃよ。つまり必殺技はウォークブレイクではなく、「乳酸を溜めずに42.195kmを走り切れるペースを把握し、その速度で走れる身体を作ること」なのじゃ。

バナナぴろし バナナぴろし
そう。今日は、30kmの壁の正体を乳酸とLT値から徹底解説して、佐倉の失敗をデータで分析。そして答えにたどり着いた「芝生ランニング」で、柏の葉フルを3時間1分57秒までPB更新した話までするよ。

※本記事はプロモーション(楽天アフィリエイト)を含みます。
フルマラソン後半、心拍には余裕があるのに、なぜか足だけが動かなくなる。いわゆる30kmの壁を前に、「もっと走り込めば解決するはず」――そう考えたことはありませんか? 実は、フルマラソン後半の失速は、根性不足でも走り込み不足でもありません。原因は、エネルギーの使い方と乳酸閾値(LT値)、そしてペース設定にあります。

本記事では、佐倉朝日健康マラソンでウォークブレイクを試して撃沈した実体験をもとに、「なぜフルマラソン後半で足が止まるのか?」を、糖質・脂質のエネルギー理論と乳酸(LT値)の観点から徹底的に解説します。結論から言うと、フルマラソンでタイムを狙う必殺技はウォークブレイクではありません。乳酸を溜めずに42.195kmを走り切れるペースを把握し、その速度で走れる身体を作ることです。さらに、その答えに辿り着くきっかけとなった芝生ランニングによるランニングエコノミー改善と、そこからの大幅PB更新までをまとめています。
ナップル博士 ナップル博士
「なぜ足だけが止まるのか」を筋肉から知りたい人へ🍌

30kmの壁の正体は、速筋・遅筋・中間筋という筋肉のタイプと乳酸の関係にあります。本章の理論を、筋肉の種類の側から補強する一本。先に読むと理解が一段深まります。


サブスリーまで244日を示す図 - 30kmの壁を解明する第38章
失敗を理論で解き明かし、答えにたどり着いた一章。ここからサブスリーまで、残り244日です。

30kmの壁とは?フルマラソン後半で足が止まる本当の原因

30kmの壁とは、フルマラソン後半に心拍ではなく脚が先に限界を迎える現象です。フルマラソンで足が動かなくなる経験は、俺のマラソン人生における大きなターニングポイントになりました。この記事を読んでいるあなたも、フルマラソン後半で突然ペースが落ちた経験があるのではないでしょうか。

心拍は余裕があるのに、足だけが動かない。この感覚、かなり厄介です。そうなると、多くのランナーはこう考えます。
  • ① 足が出来ていない → もっと走ろう
  • ② スタミナ不足 → もっと走ろう
だから月間走行距離を増やそう――この思考、かなり「あるある」です。正直に言うと、俺もまったく同じ考え方でした。ただ、何度も同じ失敗を繰り返す中で、「足が終わる」とは一体何が起きているのか? そこを本気で調べるようになりました。調べたテーマは、エネルギーの使われ方と筋肉の種類です。
速く走るためには速筋の働きが不可欠です。ただし、速筋を使い続けるには、体内に十分な糖質があることが前提条件になります。ここを理解せずに走り込むだけでは、フルマラソン後半の失速は防げません。

俺は当初、フルマラソンの必殺技はウォークブレイクだと本気で思っていました。しかし、エネルギー生成の理論から考えると、ウォークブレイクはタイム短縮の最適解ではないという結論に至ります。ウォークブレイクは、初心者や長距離に不慣れなランナーにとっては完走率を高める有効な方法です。しかし、速いタイムを狙うフルマラソン戦略としては、別の考え方が必要だと感じました(ウォークブレイクを試した実体験は前章のとおりです)。実際、ウォークブレイクでサブスリーを達成できるランナーは、ペース走でも同等の走力を持っているケースがほとんどなのです。

りんごちゃん りんごちゃん
足が止まったら「もっと走り込もう」って思っちゃうけど……それだけじゃ解決しないんだ。ちょっと意外かも。

30kmの壁の正体|乳酸とLT値がフルマラソンを壊す理由

ここからは、フルマラソン後半失速の正体とも言える乳酸について解説します。下の図は、走るスピードに対して、脂質と糖質がどのように使われるかを示した相関図です(脂肪由来のエネルギー=脂質/血中グルコース由来のエネルギー=糖質)。
スピード増加に伴い脂質から糖質へエネルギー使用が切り替わり、LT値を境に糖質依存が急増する図 - 第38章
フルマラソン後半で失速した理由を理解するために何度も見返した図。LT値を超えると糖質依存が一気に高まります。
図の中央に引かれているラインがLT値(乳酸閾値)です。LT値とは、血中乳酸濃度が急激に上昇し始めるポイントを指します。このラインを超えると、糖質の使用量が一気に増加し、乳酸が大量に発生します。その結果、筋肉のパフォーマンスは低下し、さらに糖質の枯渇を加速させます。つまり、フルマラソンにおいてはデメリットしかないスピード領域ということになります。
乳酸が溜まる走り方はフルマラソンではNGであることを示すバナナのイラスト - 第38章
「乳酸が増えるペースで走り続けると、フルでは糖が持たない」。理論を学んで、はっきりそう理解した瞬間です。
乳酸とは、運動中に糖質が分解されるときにできる物質です。かつては「疲労物質」と呼ばれましたが、現在は乳酸自体がエネルギー源として再利用されることが分かっており、乳酸が溜まったから足が止まる、という説明は正確ではありません。血中乳酸が増えることは「糖を速いペースで使い始めた」という目印で、その状態が続くほど糖の蓄えが早く尽きます。なお乳酸は遅筋や中間筋で使われて処理されます。LT値(乳酸閾値)は、トレーニング強度を決める上で、ランナーにとって極めて重要な指標です。
  1. ① 乳酸生成 < 乳酸除去:楽に走れる
  2. ② 乳酸生成 = 乳酸除去:楽の限界
  3. ③ 乳酸生成 > 乳酸除去:急激にキツくなる
②がLT値(乳酸閾値)です。 LT値は、適切なトレーニングを行うことで効率よく引き上げることが可能です。その結果、フルマラソンを乳酸を溜めずに走れる速度域が広がります。ここまで勉強して、フルマラソンでタイムを狙う上で、絶対に外せない結論に辿り着きました。

フルマラソン42.195kmを、ペース走で走り切れるスピードを把握する。

必殺技はウォークブレイクではありません。乳酸を溜めずに走り切ること。これこそが、フルマラソン最大の必殺技です。

バナナぴろし バナナぴろし
これが分かったときは鳥肌が立ったよ。必殺技はウォークブレイクじゃなくて、「乳酸を溜めないペースで走り切る」ことだったんだ。歩くかどうかの前に、そもそもの走る速度が間違ってたんだね。

佐倉朝日健康マラソンの失敗分析|フルとハーフは別のスポーツ

佐倉朝日健康マラソンでの最大の敗因は、自分の走力を正確に把握していなかったことでした。さらに、ウォークブレイクを前提にしたことで、結果的に速すぎるペース設定になったことも大きな失敗でした。ここで、直近2レースを比較してみます。
大会平均ペース失速地点シューズ
さいたま国際キロ4分30秒35km付近アシックス GEL-INFINI
佐倉朝日健康キロ4分05秒25km付近ナイキ ズームフライ フライニット
この比較から分かるのは、ペースを速くした分、失速地点が一気に前倒しになったという事実です。これは偶然ではありません。前の見出し「30kmの壁の正体」で解説したLT値(乳酸閾値)を超えるペースで走った結果です。ここで、もう一つ重要な気づきがありました。

【フルマラソン】と【ハーフマラソン以下の距離】の決定的な違い。それは、距離が違うだけではなく、まったく別のスポーツだということです。

ハーフマラソンやそれ以下の距離での成功の道

体内エネルギーをフル動員して走る。高いペースでの持久力が求められ、乳酸が溜まる前提で耐える能力が必要です。

フルマラソンでの成功の道

糖質の消費を最小限に抑えて走る。フルマラソンでは、長時間にわたる疲労管理・糖質を使い切らないペース設定・LT値以下で走り続ける戦略が、何より重要になります。

この違いに気づいてから、「ただ速く走る練習」ではフルマラソンは攻略できないと理解しました。距離ごとに求められる能力・戦略・トレーニングはまったく異なる。それぞれの距離特性を理解した上でトレーニングを積むことこそが、フルマラソン成功への近道です。

りんごちゃん りんごちゃん
同じ「走る」でも、フルとハーフは別のスポーツなんだ……。ハーフが速いから即フルもいける、って考えが落とし穴だったんだね。

30kmの壁を越えるために必要な3つの能力

これまでの失敗と学びを振り返って、フルマラソンで結果を出すために本当に必要な能力がはっきりしました。マラソンに必要な能力は、次の3つです。
  • 要素① 乳酸性閾値(LT値) → 乳酸を溜め込まずに走り続けられる能力
  • 要素② 最大酸素摂取量 → 多くの酸素を取り込み、長時間運動を維持できる能力
  • 要素③ ランニングエコノミー → 無駄のないフォームで、エネルギー消費を抑えて走る能力
フルマラソンでは、糖を無駄に使わずに走る力が極めて重要です。そのためには、無駄のないランニングフォームで走ることが欠かせません。ここで、声を大にして言いたいことがあります。

フルマラソンは気合と根性ではありません。

なぜなら、フルマラソンの失敗は精神論ではなく、身体のメカニズムで説明できるからです。この3つの能力を「科学」として体系的に学び直したいなら、次の一冊が心強い相棒になります。
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🍌 「根性」を「科学」に変える2冊。後半失速の理屈と、ペース設計の教科書
『最高のランニングのための科学』で30kmの壁や乳酸・LTの正体を理解し、『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』でVDOTに基づく練習ペースへ落とし込む。感覚頼みを卒業すると、後半の粘りが根拠に変わります。
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フルマラソンは気合と根性ではありません。必要なのは、乳酸を溜めない走り・糖を使い切らないペース・無駄のないフォーム。そして、これらを同時に鍛えるために辿り着いたのが、次に紹介する芝生ランニングでした。

対策に有効だった芝生ランニング|柏の葉で3時間1分57秒へ

フルマラソンで失敗を繰り返した結果、最終的に辿り着いた答えがランニングエコノミーを高める練習でした。そして、そのために最も効果的だったのが不整地ランニング、具体的には芝生ランニングです。
ナップル博士 ナップル博士
芝生のような不整地は、地面が不安定なぶん、自然と体幹と接地を整えないと走れない。だから無駄な力みが抜け、ランニングエコノミーが磨かれるのじゃ。しかもクッション性が高く、脚への衝撃も少ない。LT値を上げる練習をしながら、フォームと故障予防まで同時に手に入る――まさに30kmの壁対策にうってつけなのじゃよ。

この佐倉朝日健康フルマラソンの失敗をきっかけに、芝生ランニングを本格的に取り入れることにしました。その後の流れを、できるだけシンプルに書きます。佐倉の翌月、1か月間ほぼ芝生ランニングのみを実施しました。
河川敷に広がる芝生エリア。30kmの壁対策として芝生ランニングを行った実践場所 - 第38章
佐倉朝日健康マラソン後、1か月間ひたすら走った河川敷の芝生エリア。アスファルトを避け、ランニングエコノミー改善だけを意識して走っていました。
そして、1か月後。柏の葉爽快フルマラソンにエントリー。結果は――
柏の葉爽快フルマラソンで3時間01分57秒・第4位入賞した公式賞状 - 第38章
芝生ランニングを継続した1か月後に出したフルマラソンの公式成績。悪条件の中でも自己ベストを更新できた結果です。
3時間01分57秒(3kmの周回コースを14周・気温23度)。
柏の葉公園内を周回する柏の葉爽快フルマラソン3kmコースの走行ルート図 - 第38章
柏の葉爽快フルマラソンで実際に走った3km周回コースのルート図。一定ペースを維持しやすい環境で、乳酸を溜めない走りを意識して周回しました。
悪条件の中でも、大幅な自己ベスト更新。いちばん大きかったのは、芝生ランニング中心に切り替えたことだと思っています。もちろん、それまで積んできた走り込みの下地と、佐倉の失敗で見直したペース設定もあります。それでも、芝生中心の1か月で走りが変わった手応えは本物でした。だからこそ芝生ランニングは、フルマラソンで結果を出したい人が試す価値のある練習だと思っています。次回からは、この芝生ランニングを掘り下げていきます。まずは、月間走行距離をあえて落とした理由と、菜の花ロードでの芝生30km走の話です。

りんごちゃん りんごちゃん
後半に足が止まるのは、気合じゃなくて身体のメカニズムだったんだね。しかも答えが「芝生ランニングだけ」でPB更新なんて、すごく希望が持てる!

バナナぴろし バナナぴろし
「もっと走り込む」じゃなくて「乳酸を溜めない走りを作る」。この発想の転換が、サブスリーへの本当のスタートだったんだ。次回はその芝生ランニングを実践編で、菜の花ロードの芝生30km走の話だよ。お楽しみに!

関連記事との役割分担
この章は、佐倉のフルで失速したあとに調べた30kmの壁の実録です。後半の失速を防ぐ練習を情報として整理した記事はマラソン後半の失速を防ぐ方法|35kmで落ちる原因と「疲れた脚」を鍛える練習にあります。
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バナナぴろし バナナぴろし
PB更新の答え「芝生ランニング」を深掘りしたい人へ🍌

30kmの壁の答えとなった芝生ランニング。そのメリットとトレーニングでの活用方法を、初心者にもわかりやすく紹介します(前編)。



▶ 次の話:第39章「芝生ランニングで30km走|松戸・菜の花ロードの不整地トレーニング」
第39章「芝生ランニングで30km走|松戸・菜の花ロードの不整地トレーニング」
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