ランニングの怪我予防|効く対策・効かない対策を研究と7年5回の怪我で整理

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りんごちゃんりんごちゃん
怪我しないためには、どうしたらいいの? 「週の距離は10%ずつ増やす」ってよく聞くけど。
バナナぴろしバナナぴろし
俺は7年で5回、怪我で走れなくなった。週の距離は気にしてたつもりなんだけどね。
ナップル博士ナップル博士
最近の大きな研究では、週の合計より「1回の走り」を急に伸ばすことが怪我と結びついておった。研究で効いた対策、効かなかった対策を分けて見ていこう🍍

結論:ランニングの怪我予防でいちばん確かめられているのは、①1回の走りを、ここ30日でいちばん長かった距離より1割以上伸ばさないこと、②筋トレを続けること、の2つです。靴を2足以上で履き分けること、量と強い練習を同じ時期に重ねないことも、筆者の記録と研究の両方から勧められます。一方、ストレッチだけや「週10%ずつ増やす」だけでは、怪我は減りませんでした。

この記事は、7年で5回、怪我で走れない時期があった52歳の市民ランナー(バナナぴろし:サブエガ=2時間49分38秒)が、自分の記録と、PubMed で要旨を確かめた研究5本を合わせてまとめたものです。

怪我予防|効いた対策・効かなかった対策(結論)
  • 効いた:1回の走りを「30日の最長+1割」までにとどめる(それ以上で怪我が1.5〜2.3倍)
  • 効いた:筋トレ(スポーツの怪我が約3分の1に)
  • 効いた:靴を2足以上で履き分ける(怪我が約4割少ない)
  • 効かなかった:ストレッチだけ/「週10%ずつ増やす」計画だけ
  • いちばんの危険因子は、前にした怪我(約1.7倍)。一度怪我をした人ほど予防が大事
この記事でわかること
・研究でわかった「1回の走り」の伸ばしすぎ
・「週10%ルール」が効かなかった理由
・筋トレとストレッチ、怪我を減らしたのはどちらか
・靴の履き分けと、前の怪我の影響
・筆者が7年で5回怪我をした前にあったこと
・今日からできる予防のルール

筆者の5回の怪我の前|3回は「約2倍」の週、2回は「重なり」

筆者は、走れるのに走るのをやめたことは一度もありません。だから、月の距離がはっきり落ちた時期=怪我の時期です。7年分の記録から、その前に何があったかを拾いました。

怪我その前にあったことふだんの量に戻るまで
2019年12月・足の甲2週間でフル2本(つくば・さいたま国際)約5週
2020年夏・足スピード練習とロング走を詰めこんだ約9週
2021年5月前4週の平均の2.0倍の週(82km)約7週
2022年4月7年でいちばん多い週(148km・60km走を2回)約7週
2026年8月・足首前4週の平均の2.1倍の週(97km)約5週

一方で、前4週の平均の1.6倍以上に増やした週は7年で38回あり、そのあと怪我をしたのは3回だけでした。週の合計を増やしただけでは、ほとんど怪我をしていない。怪我の前にあったのは、60km走のような1回の長い走りや、フルの連戦、スピードとロングの詰めこみでした。

バナナぴろしバナナぴろし
2022年は、60km走を1週間に2回やった月のすぐあとに走れなくなった。今思えば、1回の距離がとんでもなかった。

1回の走りを伸ばしすぎない|30日の最長より1割以上で怪我が増えた

ここ30日でいちばん長く走った距離の棒の横に、少しだけ長い棒と、ずっと長い棒が並び、長すぎる棒の上でバナナぴろしが痛そうにしている
比べるのは週の合計ではなく、ここ30日でいちばん長かった1回。

2025年に出たデンマークの研究(Frandsen ほか 2025)は、GPSウォッチをつけた5,205人のランナーを18か月追いかけ、58万回以上のランを調べました。その間に1,820人(35%)が、使いすぎの怪我をしています。

怪我と結びついていたのは、その日の1回の距離が、ここ30日でいちばん長かった距離をどれだけ超えたかでした。

その日の距離(30日の最長と比べて)怪我のなりやすさ
最長以内〜1割増しまで基準(1倍)
1割〜3割増し約1.6倍(1.64)
3割増し〜2倍約1.5倍(1.52)
2倍より長い約2.3倍(2.28)

反対に、週の合計を前の週からどれだけ増やしたかは、この研究では怪我との関係が見られませんでした。つまり、気をつけるのは週の合計より、1回のロング走をいきなり伸ばすことです。

りんごちゃんりんごちゃん
ここ30日でいちばん長いのが20kmなら、次は22kmまで、ってこと?
ナップル博士ナップル博士
そうじゃ。20kmの人がいきなり30kmは5割増し、怪我の割合は1.5倍ほどになる。30kmに届くまで、何回かに分けて伸ばすのじゃ。

筆者も、ふくらはぎの肉離れから4日後に、21.5kmの帰宅ランをしています。その2日後、4.5kmでアキレス腱が張って止まりました。怪我のあとは「30日の最長」そのものが短くなっているので、怪我明けの1回の長い走りは、ふだん以上に危ないと考えています。

怪我の前にCOROSに出ていたサインを調べた記事:怪我の前にCOROSには何が出ていた?負荷比率と走力の変化を3回分調べた

「週10%ずつ増やす」は効かなかった

「週の距離は前の週の10%までしか増やさない」というルールは有名です。ところが、初心者ランナー532人を2つに分けた研究(Buist ほか 2008)では、10%ずつ増やす計画のグループも、ふつうの計画のグループも、怪我をした人は約2割で差がありませんでした。

週の合計をそろえても、その中の1回が長すぎれば脚は壊れます。上の研究とあわせると、10%ルールが外していたのは「1回の長さ」だったと考えられます。週の合計を見るのはやめなくてよいですが、それだけで安心しないことです。

筋トレは効いた・ストレッチだけでは減らなかった

家の階段の1段目で、バナナぴろしがかかとの上げ下げとスクワットをしていて、りんごちゃんがまねをし、ナップル博士が見守っている
筋トレは家の階段や床でできる。

スポーツの怪我を減らす運動をくらべた25の研究(約2万6千人)をまとめたLauersen ほか 2014では、

予防の運動怪我のなりやすさ
筋トレ約3分の1に減った(0.315)
ストレッチ減らなかった
使いすぎの怪我(運動による予防全体)ほぼ半分に減った

この研究はランナーだけでなく、球技なども含めたスポーツ全体のものです。それでも「筋トレは効く、ストレッチだけでは足りない」という結果ははっきりしています。ランナーなら、ふくらはぎ(かかとの上げ下げ)、お尻と太もも(スクワット・ランジ)、片足で立つバランスが基本です。

筋トレやり方の目安くわしくは
かかとの上げ下げ(カーフレイズ)階段の段に足の前半分をのせ、ゆっくり上げ下げカーフレイズのやり方
スクワット・ランジ週2〜3回・ゆっくりスクワット・ランジ
お尻の筋トレ横向きの脚上げ・ヒップリフトなど大臀筋の鍛え方
片足立ち歯みがきの間に片足ずつ30秒足首のねんざ予防に
バナナぴろしバナナぴろし
ストレッチをしてるから大丈夫、って思ってたけど、それだけじゃダメなんだな。
ナップル博士ナップル博士
ストレッチは気持ちよく動くためにやればよい。怪我を減らしたいなら、筋肉に力を入れる運動を足すのじゃ。

靴の履き分けと前の怪我|一度怪我をした人ほど予防が大事

264人のランナーを22週間追いかけた研究(Malisoux ほか 2015)では、次のことがわかりました。

怪我のなりやすさ
靴を2足以上で履き分けていた約4割少ない(0.614)
ランニング以外の運動(週1時間ふえるごとに)約15%少ない(0.848)
前に怪我をしたことがある約1.7倍(1.722)

筆者は、ふだんのロードの練習、芝生、大会で靴を分けています。芝生を走るようになってから、すねの痛みが出にくくなったと感じていて、昔の記事にも書きました。

見落としやすいのが前の怪我です。一度怪我をした人は、また怪我をしやすい。筆者が7年で5回なのも、その1つかもしれません。怪我から戻ったあとの数か月こそ、予防のルールを守る時期です。

量と強さを重ねない|フル連戦・スピード+ロングの詰めこみ

筆者の5回のうち2回は、週の距離はふつうでした。前にあったのは、2週間でフル2本と、スピード練習とロング走の詰めこみです。どちらも、距離の数字だけ見ていては気づけません。

重ねやすい組み合わせかわりに
フルマラソンを2〜3週間で2本どちらか1本を本気で。もう1本は練習として走る
同じ週にスピード練習とロング走を複数強い練習は週2回まで。間に軽い日を入れる
ウルトラや30km走のあと、疲れが抜ける前にまたロング負荷が下がるまで強い練習を足さない

フォームでは、歩幅を少しせまくして足の回転(ピッチ)を5〜10%上げると、膝や股関節が受ける衝撃が小さくなったという研究があります(Heiderscheit ほか 2011・45人)。怪我が直接減ったかを調べた研究ではありませんが、膝が痛くなりやすい人は試す価値があります。

怪我予防とスピードアップのためのドリル:怪我予防とスピードUPを両立!ランニングドリル8選

筆者の予防ルール|研究と7年の記録から

ルール根拠
1回の距離は、ここ30日の最長+1割までFrandsen 2025(それ以上で1.5〜2.3倍)
怪我明けのロングは、特にゆっくり伸ばす筆者:肉離れの4日後の21.5km → 2日後にアキレス腱
筋トレを週2〜3回(ふくらはぎ・お尻・片足立ち)Lauersen 2014(約3分の1)
靴を2足以上で履き分ける・芝生も走るMalisoux 2015(約4割少ない)
フル連戦・スピードとロングの詰めこみをしない筆者:5回のうち2回
前4週の平均の2倍の週のあと2〜5週は、脚の様子を特に見る筆者:5回のうち3回

痛みが出てしまったら、走ってよいかどうかは「痛み5/10まで・判断は翌朝」で決めています。

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ランニングの怪我予防のよくある質問

ランニングの怪我予防で、いちばん大事なことは何ですか?

1回の走りを、ここ30日でいちばん長かった距離より1割以上伸ばさないことです。5,205人を18か月追った研究(Frandsen ほか 2025)では、それ以上伸ばした日に怪我が約1.5〜2.3倍に増えていました。週の合計の増え方とは関係が見られませんでした。

「週10%ずつ増やす」ルールは守ったほうがいいですか?

守って悪いことはありませんが、それだけでは怪我は減りませんでした。初心者532人の研究(Buist ほか 2008)では、10%ずつ増やすグループも、そうでないグループも約2割が怪我をしています。1回の長さもあわせて見てください。

ストレッチは怪我予防になりますか?

ストレッチだけでは、怪我は減らなかったという結果です(Lauersen ほか 2014)。同じ研究で、筋トレは怪我を約3分の1に減らしていました。ストレッチに筋トレを足すのがおすすめです。

靴は1足で十分ですか?

2足以上で履き分けていた人は、怪我が約4割少なかったという研究があります(Malisoux ほか 2015)。筆者もロードの練習・芝生・大会で靴を分けています。

50代でも怪我は予防できますか?

できます。ここで紹介した対策は年齢に関係なく使えます。筆者は52歳ですが、怪我の前にあったのは年齢より、1回の長い走りや、レース・強い練習の重なりでした。一度怪我をした人はまた怪我をしやすいので、怪我明けの数か月は特に気をつけてください。

まとめ|週の合計より、1回の長さと重なり

  • 1回の走りは、ここ30日の最長+1割まで。それ以上で怪我は1.5〜2.3倍
  • 「週10%ずつ」だけでは怪我は減らなかった
  • 筋トレは怪我を約3分の1に。ストレッチだけでは減らなかった
  • 靴を2足以上で履き分けると怪我は約4割少ない
  • 一度怪我をした人は約1.7倍。怪我明けこそ予防のルールを守る
  • フルの連戦、スピードとロングの詰めこみは、距離の数字に出ない「重なり」

筆者は、怪我をするとやる気が下がって、しばらく走らなくなります。戻るまで5〜9週。だから、量を増やすことより止まらないことのほうが、ずっと大きいと思っています。


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